『ブラック・クランズマン』の感想です。 (3/3)
日本でもヘイトスピーチやヘイトクライム花盛りだが、商業映画でこういうテーマには、とんとおめにかからないねぇ。
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『ブラック・クランズマン』の感想です。 (2/3)
同僚たちは、ヒドイのは一部で、基本的にヘイトは秩序を乱すもの、取り締まるべきもの、という考えの人たちで、ちょっとほんとかな? という気もした。
かえって、いまより1970年代のほうが、ふつうの人たちが、正義や理想を素直に表現していたかもしれないけど。
最初の方で、主人公に「そんなやつが大統領になるわけない」と言わせ、最後にトランプやシャーロットビルの実写映像をもってくる。
あからさまに現実を指さしているのは、映画としては破綻なのかもしれないが、わたしには全体がすっきりまとまっているように見えた。
ハリー・ベラフォンテが出てきたのにはびっくりした。
『ブラック・クランズマン』の感想です。 (1/3)
軽~いノリの予告編を見て、こんなのどうやってギャグにするんだ?と思ったが、本編は笑えるところもあるものの、笑いものになっているのはレイシストの白人。
全体にテンポはよいが、軽く描いているわけではなくて、安心して見ていられた。
黒人やユダヤ人の刑事が、仕事だから平気な顔でレイシストに合わせているように見えるが、こんなの続けたらメンタル破壊されるよね、と、ひやひやしながら見ていた。
活動家の恋人(恋人未満かな)が、警官を「ピッグ」と呼ぶのに、「すべての警官が悪いわけじゃないだろう」と抗弁する主人公。自分の立場から出てくる言葉であると同時に、個人を見ないで人をカテゴリーで見る思想の危うさも伝えている。
この女子学生が、若さの生硬さとキュートさを両方見せていて、魅力的だった。
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『麻薬王』の感想です。
70年代のプサンが舞台で、麻薬で大儲けする人物が主人公、と聞いただけで、あー、あのノリね、と感じてしまうくらい、ヤクザものとかノワールっていうと、プサンが出てくるのよね。
こっちが食傷気味ということもあるだろうけど、なんだかしまらない脚本だ。
せっかくのソン・ガンホも、最後の20分くらいしか見せ場がない。
麻薬で荒稼ぎしながら、昼はセマウル運動に熱心に取組み、さまざまな名誉職も、という二面性も、ありそうだね、で終わってしまう。
ペ・ドゥナは、まったく俗物っぽく見えないので、本来のキャラクターは役にはまってないのだけど、それなりに見えるし、彼女が出ると、画面に動きが出るのがいいね。
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『グレイテスト・ショーマン』の感想です。
とにかく、楽曲がいい。それにつきる。
逆に言うと、楽曲以外の部分はあんまりいただけない。
\"This is me\" は力強くすばらしい曲だし、パフォーマンスもよかったが、見世物じゃない人間としてのフリークスには、残念ながら迫れていなかった。
底は浅いけど、マジョリティに感動を売る程度にはよくできていた、というところか。
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『ビール・ストリートの恋人たち』の感想です。 (3/3)
窓の外の雨の音、街の音、音楽だけではない、そのような音がとても効果的だった。
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『ビール・ストリートの恋人たち』の感想です。 (2/3)
愛する人に抱き寄せられるときめき、安心感、そして、いくらもがいても前に進まない、ほしいものはどんどん遠ざかっていく、悪夢のような現実。どちらも、わたしにとって親しみ深いものだが、もう長いこと忘れていたものでもある。
つらいストーリーだが、ヒロインの家族がささえあって生きているようすが、救いだった。
とくに、母親役のレジーナ・キングがすばらしい。
オスカーで助演女優賞をとったということだが、当然だろう。
1970年ごろの黒人女性の装い、そして、ティッシュの母や姉と、ファニーの母や姉の髪型や衣装の違い。
そのあたりも、語っているものが多い。
『ビール・ストリートの恋人たち』の感想です。 (1/3)
前作『ムーンライト』がとてもよかったので、期待いっぱいで出かけたが、期待を裏切られなかった。
冒頭、歩いてくるふたりを見て「なんて美しい人達なんだろう」と思ったんだけど、その次のシーンでは、男は刑務所の中で、ガラス越しの面会。ふたりともやつれていて、もう、あまり美しく見えない。
彼らの美しいラブストーリーと、差別によってひきさかれている現実が二重写しになって、相反する感情が強く呼び覚まされ、見ていて苦しかった。
『運び屋』の感想です。 (2/2)
イーストウッドらしい、静かなのだがダレ場のない演出。
とくに、自分が運んでいる荷物がなにか知ったあとの、ずっと微妙な緊張感がまとわりついている感じがみごとだ。
ブラッドリー・クーパーは「アリー スター誕生」でも、魅力全開で、これはヒロインが惚れるのも無理ない、と感じるできだったが、本作でも実にかっこいい。
そのほか、主要なキャストは見た顔ばっかりの芝居巧者ぞろいで、そこも楽しめる。
とくに、別れた妻のダイアン・ウィーストが、死の床で「あなたを生涯愛していた、そして、あなたが最大の苦痛の元だった」と語る場面は胸に迫った。
イーストウッドが老境に至って作った映画のテーマが、家族の大切さ、家族との和解をこれだけストレートに押し出したものだというのも、年取るとやっぱりそこに行くのかーと感慨深い。
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『運び屋』の感想です。 (1/2)
mule ってラバのことだが、隠語で運び屋の意味だと初めて知った。頑固者って意味もあるからぴったりだ。
90歳という設定の主人公のクソジジイぶりがすばらしい。
人の言うことは聞かず、常にマイペース。
家族よりも仕事だし、外の人間関係がだいじで、いい顔をしたい見栄っ張り。
若くてきれいなお姉ちゃんが好きなのはご愛嬌としても、黒人を「ニガー」と呼び、自分は年寄りなんだから、親切にしてやってるんだから許されるだろう、と言わんばかり。
白人ばかりのダイナーにラテン系の見張りを連れていき、周りからじろじろ見られた挙げ句、案の定警官から職質され、言い訳になにをいうかと思えば、「自分が彼らを雇っている。よく働くよ」などと白人の旦那様風を吹かせる。
身勝手な白人男を煮詰めたようなやつだ。
しかし、運転しながら音楽に合わせて歌うようすは、はたから見ても気分がいい。見張っている側もついつりこまれていっしょに歌っちゃう場面は楽しい。
『黄山ヶ原』の感想です。 (2/2)
出陣の前に家族を斬り殺したという階伯の有名な逸話は、ラストに描かれるが、子供を抱き寄せ、身勝手な夫に反論するキム・ソナがとてもよかった。
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『黄山ヶ原』の感想です。 (1/2)
イ・ジュニク監督の初期の作品。その後、続編『平壌城』も作られているので、やはりおさえておきたいところ。
新羅、百済のそれぞれの陣営が、慶尚道と全羅道の方言で演じていることは、前から聞いていて、ひょっとして理解不能かしらと思ったら、中級程度のわたしの韓国語力でも、じゅうぶんわかりました。
字幕は、平均的な日本語になっていて、ムリに方言にしていなかったけど、これはこれでいいんじゃないかな。
初っ端から、唐、新羅、百済のそれぞれの皇帝・王が一堂に集まってそれぞれの事情を話し、ののしりあうという演出で、途中までは戦争もかなりお気楽に描かれている。
しかし、ラストが近づくにつれ、どんどん血生臭くなり、救いがなくなってくる。さすがに最後までおふざけではなかったが、コメディ部分と印象が割れることもなく、いわば松竹新喜劇的な演出。
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『キャプテン・マーベル』の感想です。 (3/3)
あのメイクと衣装では、実は最後までだれだかわからず、エンドロールでやっとわかったんだけどね。
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『キャプテン・マーベル』の感想です。 (2/3)
やっぱりこの人は、単純な正義の味方じゃなくて、ひとクセあるほうが似合う。
女性のエンパワメントが、大きなテーマになっていて、主人公のキャラクターもそうだし、尊敬する博士、親友のシングルマザー、それぞれの設定と演技がよかった。
でも、「あなたの承認はいらない」という決め台詞にぐっと来たかというと、そうでもない。
そもそも戦闘機のパイロットをめざすというスーパーウーマン指向である上に、棚ぼたとはいえ、特別な能力を持つ正真正銘のヒーローなのだから、女性としての弱みをけっとばせるのは当たり前だ。
狙いすぎ、きまりすぎだとちょっと引くという、ぜいたくな観客なので。
ともあれ、ジュード・ロウのかっこいい姿がたくさん拝めて眼福でした。
あと、リー・ペイスをひさしぶりに拝めたし。
『キャプテン・マーベル』の感想です。 (1/3)
始まってから終わるまで、モヤモヤするところもなく、とても楽しく見ることができた。
宇宙人を描くとき「奇妙だけど美しい外見=味方」「醜い外見=敵」みたいなところに、はまっていないのもよかった。
どんな姿にでもなれるんだけど、でもそのままの姿がいいよ、と、最後に子供に言わせて、実に気配りが行き届いている。
しかし、真相が明かされる前に「この敵の宇宙人、いやに人間臭い描き方だなー」とは思ったのよね。
もっとも、敵の事情を詳しく描き、魅力をもたせるというのもよくある文法なので、そこではどんでん返しはわからなかった。
どっちかというと、最初から怪しかったのはジュード・ロウの小憎らしい上司だよね。
一見理解があるようなふりをしながら、実は女性を抑圧し、搾取する男。
映画は劇場で見たい。韓国映画多めです。
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