Pushpa2、 

上映の45日前というショートノーティスは、基本的には短期決戦で上映実績を作るため(本来の目的はインドで日本映画を公開する方)ということなのか。しかし一方で3時間42分の作品で今日時点で56館のブッキングというのは大化けを狙ってるか(松竹のパワーを見せつけてる)。一方でMVの方は一時の勢いと数合わせで買い付けた会社が、結局扱いかねてニッチ作品を扱うプロダクションに下げ渡したというところか。
eigakan.org/theaterpage/schedu

Hridayam (Malayalam/2022)をオンラインで。 

は作為が感じられるが、立ち直りの契機としてはそれなりの説得力があった。それにしてもモーハンラール、プリヤダルシャン、シュリーニヴァーサンの子供達の映画を見て楽しむことになろうとは。/最後まで見ての感想。いわゆるComing of Ageもので、複数の恋愛経験で初めて大人の男女が完成するというAutographやPremamの系譜。さらにBad Girlや’96の要素もある。芝居の上ではダルシャナ・ラージェーンドランに一番の見せ場。カリヤーニは、やや型にはまったキャラクターで、後半に登場してかなり早回しの中で演技させられていたような感じ。後半の社会人編ではヴィニート監督らしい綺麗事の御伽噺がやや目立った。プラナヴの演じるアルンは前半で「ストーカーなどしない、正面から挑む」と新世代の言明をするが、それでも相手を裏切る行動をしてしまう。それにより愛を失い、手痛い経験から学んで成長する。その辺のリアリティーがとても良い。音楽は、ムスリムのMDなのにカルナーティック風味が随所にあるのが珍しく、ところどころにアラビックなテイストも。

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Hridayam (Malayalam/2022)をオンラインで。 

172分の長尺、2日に分けて観た。全15曲もあり、サントラは約45分の音楽映画でもある。まず前半だけ見た時点での感想。ヴィニート・シュリーニヴァーサン監督作と知らずに見てたけど、ヴィニートが監督として随分成長していた。同じ若者のロマンスを描いていても、昔の悟り澄ましたような頭でっかち青臭ロマンティシズムから脱皮して、暗部もきちんと描けるようになってる。久しぶりに見たプラナヴも大変良い。どこにでもいそうなトッぽいニイちゃんなんだけど、名状しがたい趣きがある。薄っすらとラクシト・シェッティに似てるけど、より柔らかな何かを持ってる。32歳にして本格デビューから4作目。スーパースターの息子の特権を、お膳立てされた鳴物入りヒーローデビューではなく、いい脚本に会うまで待つ時間や、メディアシャイを通すことに使っている。前半ヒロインのダルシャナ・ラージェーンドランもいい。ボリウッド型ケバ系美女の制度的綺麗どころとしてのワンパターンから完全に自由。ヒシャーム・アブドゥル・ワハーブの音楽もいい。カレーシュ・ラーマナンド演じるセルヴァのキャラ

The Fall (English/2006)をヒュートラ有楽町で。 

あれこれレビューを拾っていたら、インスピレーション元のひとつにパラジャーノフの『ざくろの色』があるという情報。それで何かカチリとはまるものがあった。本作は映像詩として完成された美しいものであるけれど、究極ではない。いわば広告コピーにシンクロさせて秒あたりの予算も広告並みに注ぎ込んで完成させたMV。しゃれたストーリーもある。一方『ざくろの色』は、広告コピーではなく民族の文化の源泉たる詩の世界の映像化。どう考えてもステージが違う。

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The Fall (English/2006)をヒュートラ有楽町で。 

ほぼ予備知識なく見た。まず主役のリー・ペイスの顔が少し前のカナダの首相にそっくりに見えた。そして予想通り石岡瑛子のPARCO的な世界の連続。途中の挙行しそこなった結婚式のシーン、旋回舞踊のせいで結婚式と認識できずに終わった。終盤になると病院スタッフや患者が王国の中の人物と照応していることが分かってくるのだが、1回の鑑賞では照応関係がきちんと把握できなかった。特に女性看護師と映画の主演女優のどちらが王国にヒロインなのか分からないまま終わった。悪役であるヒーロー俳優にはルドルフ・バレンティノの面影があるか。矢の床、目隠し、泳ぐ象など、叙事詩的なイメージも散見されるが、ストーリー全体に神話の再話の意図は感じられない。冒頭のモノクロの映画撮影のシーンは、もしかしてR3の火を噴く列車のシーンの発想の源か。監督はCMディレクターをやっていた人らしく、15秒で勝負するCMのキメ映像がずっと続く印象。ふわりと宙を舞うようでいながら確実に落下していく物体のイメージへのオブセッションがこれでもかと繰り返される。創始期の映画へのオマージュ。

Yakshi – Faithfully Yours (Malayalam/2012)をDVDで。 

久しぶりに字幕なし。83分しかない低予算映画(宣伝文句としては実験的作品と言ってたらしいが)。ストーリーは単純で、19世紀ぐらいのケーララのどこかで、ナンブーディリ・バラモンの息子ウンニが雨の夜に出会ったナーガヤクシに誘惑されて関係を持つ。しかし彼は親の決めたミーナークシと結婚するためあっさりとヤクシを捨てる。新婚初夜にミーナークシに取り憑いたヤクシはウンニを殺し、自身の宿主も殺す。一方、現代の若者4人組がヤクシ伝説に興味を持ち、ドキュメンタリーを撮ろうとしてかつてウンニの一族が住んでいた廃屋に忍び込むが、中心人物ヴィシュワ以外の者が殺される一部始終がフッテージとして示される。19世紀部分はカラオケのイメージ動画風の安っぽい演出とぎこちない芝居、一方現代の方は、フッテージなのに効果音やBGMが入るご都合主義。ヤクシ役のアヴァンティカ・モーハンは、ホステス風でいいとこなしの上に、肝心の憑依のシーンはパールヴァティ・ナーヤルに任せるしかないというダメっぷり。エンドロールのヘビメタが印象的だった。

Identity (Malayalam/2025)をオンラインで。 

150分盛り沢山アクション。まず不幸な生い立ちにより強迫性障害となった男ハラン導入。コインバトールのアパレル店での試着室盗撮とそれを材料にした恐喝。その犯人が郊外の倉庫で何者かに惨殺される。その捜査で証人保護保護プログラムの元匿われるバンガロール・ベースの女性ジャーナリスト。目撃した犯人の顔をスケッチさせるが、彼女は事故の後遺症で相貌失認であることが分かる。スケッチを担当したのはハラン。やがて捜査を担当しているカルナータカ州警察のアレンが一連の性犯罪録画による恐喝に深く関わっていることが分かり、ハランとアレンのくんずほぐれつの戦いが始まる。ハイウェイでのカーチェイス、旅客機爆破の試み、プライベートジェット内での死闘、ダレはしないけど詰め込みすぎで不完全燃焼。試着室盗撮犯の元締めみたいなセコい悪人がプライベートジェットで逃亡のお膳立てをされる大物になるのが最大の謎。レントゲン室のエピソードはわかりにくかった。ハランの幼時のトラウマは別になくともよかったんじゃないか。証人保護といっても劇中の犯罪現場が白昼堂々で意味なさすぎ。

サタジット・レイや 

パヤル・カパーリヤーなどの映画は国内・国外の両方を見据えているので、2つ以上の読みが存在するのが前提だという注釈。

English Vinglish(Hindi/2012)は新しいタイプのナショナリズム映画、という説を聞いて、なるほどと思っている。

メモ:日本の映画興行は10年間でどう変化 

過去にグローバル市場の分析をした際、それぞれの国の市場構造を3つのタイプに区分したのですが、日本は高単価で限られた人を相手にする“集中型”の市場なんです。逆にアメリカや韓国、フランス、インドでは安価なチケット料金で多くの動員を目指す“拡大型”。日本は「国民1人あたりの映画鑑賞本数」が年間約1.17本の計算ですが、アメリカや韓国に比べると半分以下という水準です。
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通常、SNSの拡散量は作品公開とともにピークを迎えて下り坂を形成していくのですが、入場特典告知のおかげで、公開後にもたびたび拡散量の上昇スパイクが起き、作品の認知拡大に一役買っていました。

入場特典がこれだけ話題化する背景には、日本の“推し活文化”の後押しがあるのだと思います。推し活市場は映画市場の10倍以上にも上る3兆円と言われていますから、ファンが喜ぶ特典を配布して作品を応援してもらうというやり方は理にかなっていますよね。
natalie.mu/eiga/column/648967

Akam (Malayalam/2013)をDVDで。 

現在温めているテーマ関連で10年以上ぶりに見た。2009年にカムバックしたファハドが超売れっ子になり1年で12本に出演した時の1作。1967年の小説『Yakshi』の映画化。トリヴァンドラムの建築事務所に勤める裕福なアビは同僚のターラと恋人同士。同時にサヴィという同僚からも秋波を送られるが拒絶する。しかしターラとドライブの最中に事故に遭い顔半分を損傷し、足も不自由になる。ターラと疎遠になった時に会ったラーギニという女性と結婚する。2人の周りには、映画館での崩落など幾つかの不幸な事件が起き、いつしか彼は妻がヤクシなのではないかとの想念にとらわれ、妻に殺される前に相手を殺そうと考える。通俗ホラーではなく、芸術よりの文芸映画なので、ヤクシが猫目になったり、牙を剥いたりすることはなく、ひたひたと静かに怖さを演出する。ラーギニーを演じるアヌモールは大ぶりな美女でとてもいいが、その後もB級作ばかりに出続けている。Bhargavi Nilayamを思わせる浜辺や灯台のシーン、クライマックスでの旋回、そしてオフィーリアみたいなラスト、どれもいい。

Odum Kuthira Chaadum Kuthira (Malayalam/2025)をNTFLXで。 

ファハドのマラヤーラム語作品としては今年唯一のものだが、コテンパンに批判されフロップ。150分と近年のマ映画にしては長い。結婚式に白馬の王子をやろうとして落馬し、300日の昏睡状態から生還した男が周りの奇妙な人間たちに翻弄されながらなんとか復帰するまでを描く。しかし見てるこちらが認知症になったのではないかと恐怖にかられるほどに抑揚がなく、かつ辻褄が合わない奇妙なエピソードが数珠つなぎに現れる。一方で本作を擁護する意見も散見され、(たぶん監督が語った)鬱抜けのプロセスをブラックユーモア仕立てにした斬新さを評価している。監督インタビューのまた聞きでは、ウディ・アレンのコメディーを意識したものだそうだ。そう言われてみれば、素っ頓狂なあれこれは多少は分かる。ただアレン作品にはあったグルーヴが欠けている。印象的な挿話に登場するグルメな男イッティ役のディヤーン・シュリーニヴァーサンは久しぶりに見た。もう主演格ではない。スレーシュ・クリシュナは老けた。監督は前作でも癌患者とその家族を描いていた。

Sabar Bonda (Marathi/2025)をヒュートラ有楽町で。 

フィルメックスのコンペ作品、邦題は『サボテンの実』。バカっぽい感想だけど、アート系リアリズム映画なので、台詞がぶっきらぼうで縦字幕でも余裕で訳せる。字幕はFM氏。普段見ている作品はリアル寄りに見えてもやはり台詞には作為性が高いんだと思う。30過ぎたゲイ青年が父の葬式を行うため遺体と共に村に戻る。村の葬式は古風で厳格なため、10日の服喪を耐え忍ばなければならない。青年はムンバイ暮らしだが、おそらくコールセンター勤務で特に裕福ではなく、また亡き父も運転手をしていたので下層あるいは中流の下位といっていい。しかし両親は慎重にタイミングを選んでしたカミングアウトを何とか理解した。祖父により利発だったと言われた田舎の叔母は正反対に他の親族と共に若者の未婚を責める。田舎の幼馴染はヤギの放牧でカツカツの暮らしをしているが、実はゲイであることが分かってきて二人は心を通い合わせ、情を通じるが、それがリアルなのか夢なのかは曖昧。都会の青年のアップがやたら多いのに対し、田舎の恋人の方は最後まで顔がよく分からなかった。Sairatの音楽。

Sumathi Valavu (Malayalam/2025)をオンラインで。 

タイトルの「スマティのカーブ」はトリヴァンドラム近郊Mylamooduの実在のホラースポット。1950年代に妊娠した女性が恋人の手で殺された場所であるという。それ以降、夜間に通行する車のライトが消えたり、バイクのライダーが放り出されたりすることがあるという。しかしそれは、怪談に付け込んだ犯罪者の仕業との説もある。作中に何度かヤクシーという語が口走られるが、伝統的なそれではなく、いわば現代のヤクシーの話。ストーリーは古典的で、ぬるま湯の田舎コメディーの中にお決まりのあれこれをそつなく配置して進む。祟る霊というよりは、正義の味方に近い。思わせぶりにトライブにも言及されるが、効いていない。批評はほぼコテンパンだが、それでも興収で10位につけ、パート2が計画中。アルジュン・アショーカンは前年のBramayugamで初めて俳優として認識したが、同じホラーでも振れ幅がすごい。しかしお人好しの田舎者を演じられるヒーローとして貴重ではないか。ヒロインのマーラヴィカ・マノージは子役かと思った。シッダールト・バラタンは無駄遣い。

Baahubali The Epic (Telugu/2025)の最終興収なる数字。 

Telugu States – 23 crores.
KA, TN, KL – 9.80 crores.
Hindi – 8.45 crores.
Overseas – 12 crores.

Total collections — 53 crores. #1 Highest ever for a re-release.
日本の興収はカウントする気がないのか。
x.com/letscinema/status/199105

Neeli (Malayalam - 2018)をDVDで。 

アルターフ・ラフマーンはデビュー監督。本作はほとんど話題にならなかったので、これ一本で消えたか。冒頭のレイプで殺された女性が祟るエピソードは本編と関係ない。若い未亡人が愛娘とともに実家のカッリヤンカーットゥのタラワードに戻る。祭りの晩にその娘は何者かに誘拐されて行方不明になる。同時に彼女の身の回りには超常的な気味悪い出来事が起こり始める。そこでゴーストハンターのレニーが登場し、秘められた闇の領域に迫る。要約して書けば正統派ホラーに見えるが、実見するとちぐはぐなエピソードの連なりが苦痛。特にラストの種明かしとも言えない開示は何なんだというもの。あまり登場シーンが多くないニーリはフレンドリーゴーストという位置づけか。マムタが演じるラクシュミにもニーリの伝説との重ね合わせはある。となるとゴーストハンターはカダマッタット・カッタナールということになるのか。ムスリムらしき霊媒師の女性の大仰な芝居がクサすぎる。しかもこの霊媒師が夜は戸締りして一歩も出るなと言ってるのに夜の森がクライマックスだし。二人のコソ泥のコミックリリーフも利きが悪い。

Red Rain (Malayalam/2023)をDVDで。 

(Malayalam/2013)だった。

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War (Hindi/2019)をDVDで。 

邦題は『WAR ウォー!!』。これまで食指が動かなかったのを続編のために見たが、長くて疲れた。邦人レビューを読んで、WARとはRAWのアナグラムであることを知る。しかしこれ、シッダールト・アーナンドのアクションの中では一番いいんじゃないか。北氷洋でスーパーカーのチェイスをするような荒唐無稽と踊りなどの娯楽要素と体を使ったアクションの配分が、Bang BangやPathaanよりもうまくいってる気がする。ありえない超絶の整形手術というのはもしかしてYevaduからいただいたか。まあ、ヒロインにあたるキャラクターが本当に最初から死亡フラグおっ立てて登場するとか、粗はいくらでもあるけど。ヒロインの重量感あるダンスは良かった。しかし民間スパイにかなり酷いことを頼む。逐一モニタリングできるくらいなら自分で何とかしろと言いたい。タイガーも役者としては見せ場が十分あったけど、ハーリドというキャラクターとしては随分な扱いだった。しかし彼の前半のウルウルは役作りだったとしても見ていて嬉しくない。アクションとしてはリスボン市街のバイクチェイスが一番良かったかな。

分かってはいたけど、それにしてもボリウッド 

がプロパーの人たちが持つ俳優の身体性に対する認識のつまらない均質さにはあきれる。大先生にしてからがジュニアの「デブ時代のもの」をいくらやっても仕方ないというような考えを隠しもしないし、笑えると思ってる。別のボリ・プロパーの人なんて、WAR2ですら、「リティクと並ぶと(鍛えてるとはいえ体が貧相で)可哀そうとか言ってた。彼らがそうだということは、北インドの観衆も大体そんな感じなんだろう。デブ時代から贔屓にしてきたこちらとしては、何言ってんだ、だが。あの丸々とした童顔の若造が持つ演技力と秘められた底知れない業の淀みを見抜き、全面的に受け入れたテルグの衆の見識の高さはすごいのだ。
cinemaasia.hatenablog.com/entr

マ映画鑑賞本数。 

2012:55/2013:55/2014:38/2015:38/2016:23/2017:20/2018:17/2019:20/2020:09/2021:12/2022:09/2023:09/2024:14/2025:12(暫定)。今年はまだ10年前の半分も行ってない。DVDメディアの消滅、コロナ禍、ブログでの紹介をやめたこと、肉親のあれこれ、それに業務の多忙でこんなことになった。何か論じるにはまず本数を見ていなければならないのに、これではいけない。

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