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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ鑑賞。 

クリスマスに家族がいない、ひとりぼっちの寂しさ、惨めさ。学校に残った三人が共有する孤独。よくある映画といえばよくある映画な気はしている。先生と生徒の擬似親子関係とか全寮制の男子校とか。ポールとアンガスの交流の良さはもちろんあるけど、それに新鮮な味を加えているのがメアリーの存在だと思う。あの無言でタバコをふかしたりする表情、校長室の外でアンガスに無言で差し出す手。それにクリスマスパーティーでとうとう抑えていた気持ちが決壊してしまうシーン。人が大勢いる場所だからこそ感じる孤独と悲しみが伝わってきて、すごく良かった。
(一部鼻持ちならない)いいとこの子ばっかりで「戦争に行く」の選択肢がほぼゼロな生徒たちの中で「ここをやめさせられたら陸軍学校に送られる」という言葉の重み。あるいはメアリーの息子カーティスの追悼会…間近にある戦争・不公平の重み。この冬休みで、自分の人生を捨ててもポールがアンガスを守ろうと…守りたいと考える姿勢が生まれたのだと思うとしみじみ良い作品だった。

ディアスキン 鹿革の殺人鬼鑑賞。 

いろんな意味で切れ味がすごい…😳めちゃくちゃ笑った🤣
最初のジャケットのどこがダメだったの…ちょっと落ち着こ?くらいの変さから始まるんだけど(処分方法がもうだいぶおかしい)、地味な絵面なのにどんどん変になっていくから、なぜ/いつから精神のバランスが…とかいろいろ考えかけたのにそんなことどうでも良くなってしまって、軽い気持ちで(?)楽しんだ。武器!何閃いてるんだよー🤣研ぐ?のと試し斬りも最高だったし、終わり方もなんだこれー🤣
あまりに変すぎて、ツッコミも追いつかない。穴浅い…フランスだからジャケットも土葬なのかな…などと無駄に考えてしまった。

パイラン/ラブレター パイランより鑑賞。
あまりにもパイランがかわいそうで泣ける。イ・カンジェという人間は存在しても、世界で一番親切なカンジェさんなんて、存在しないのに。それだけが彼女が生きるよすがだった。歯ブラシを二つ買うところの健気さたるや!ラブレターやビデオに感じ入ったカンジェの姿…と思っていたので、終わり方が結構ショックだった。
何もかも終わったところから話が始まって、ラブレターを手にするというのが良い作りだった。

ザ・ウォッチャーズ鑑賞。 

意外といろいろと説明してくれる親切な映画だった。とはいっても、ミナが双子(それも、ルーシーは顔に傷がある)であるとか、鳥の名前がダーウィンとか、意味があるはずだと思うのだけれど、まだ確たる理解には至っていない。
罪の意識があるから自分以外の誰かになりたい。そういう気持ちにつけこむ存在…みたいな話だったら、いくらでも嫌な感じのホラーにできそうなのに、そうではない。妖精物語のようなファンタジー要素はもともと嫌いではないんだけど、これは中途半端(もっとしっかり踏み込んでもいいのに)と思った。
外の何かに見られているというのがメインだけど、実のところ、鏡=自分と向き合わなければならないという話で、ミナの"自分"に関する物語であるのは印象深いし、マデリンがずっとそこにいること、彼らからも異質な存在であることは面白かった。
床のラグの下なんてさぁ…普通に気づく場所な気がするなぁ…。

インランド・エンパイア鑑賞。
すごい!わからん!😂どこまでが作品でどこまでが現実なのかもだんだんわからなくなってくるし、昨日の私と今日の私と明日の私がいりくっている。時間も彼我も境界が曖昧になってゆく、それこそ内奥の帝国なのかも…と掴めそうな気もするんだけど、なにしろ全然わからん。電話兎とか、お姉さんたち?のダンス?とか。なんか面白いけど、意味は全然わからん。わからんしか言ってない。でもわからないのが面白くないということではなくて、時間や作品と現実の関係の中に「もしかしたら私、今、わかりかけてる!」という瞬間がなんとなくあって、そのなんかわかりそうな感覚を求めてまた観たくなる、のかもしれない。

クラッシュ鑑賞。
事故に性的興奮をおぼえるって、普通だったら理解できないし、実際私にはちょっと早い概念だったと思うけれども、もし理解者に出会ってしまったら…という点では面白かった。相手が誰とかでもなく、事故そのものに欲望を掻き立てられる。分かり合える瞬間がそこにしかない、満足が自分の中にしかない。そういう人たちが手近にまあまあいて、出会ってしまったら。倒錯を共有し、自分たちで作り出し、加速する。命を削るまで。究極に理解しあえているのか、究極に自己中なのか、私には判断がつかないかもしれない。
ロザンナ・アークエットの足…あれが一番変態チックというか、こだわりを感じた。関係ないけど私は『イグジステンズ』が好きです。

バティモン5 望まれざる者鑑賞。続き。 

スラムを一掃する市長が、良い人そう?穏やかそう?に見えるところがまた意地が悪いというか、私の先入観がダメというか。つまり良い配役ってことなんだけど。自分がちょっと怖い目にあったくらいのことで強硬策をとる(それだけが原因ではないだろうけど、そう見える)。野心のある小物…。問題を解決する能力はないのに横暴な決断はする。火をつけようとするブラズに、自分の子どもは助けてくれって言うの、見るに堪えない。自分はたくさんの人、老人から子どもまでの住居を奪っているのに!良い、悪い人の役だった。

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バティモン5 望まれざる者鑑賞。 

怒りの物語。貧困層の移民がスラムからすら追い出される、その出来事の苛烈さももちろんだけれど、強く頭に残ったのは何でもない押し合いくらいのことがちょっとしたきっかけでピリつくという表現。たとえば警官がヘルメットのガードをおろす仕草。あ、今ムッとしてる…と思った時にはもう空気が怒りに染まっている。あまりにもな横暴に、「暴力で解決するのは良くない」と思う穏健な私が「でもあいつらマジムカつくから車も家も燃やしてやろうぜ」と思う過激な私にちょっと負けそう。映画としては市長(行政)と市民の対立だけど、そもそも社会の構造があのエリアをスラムにしてしまっていて、そこを解決することって、簡単ではないだろうなぁ。アビーあたりは解決の糸口を見つける思考を持てそうなのだけれど。映画の中だけの問題ではない、とつきつけられる現実の重さも感じる。

チャレンジャーズ鑑賞。続き。 

まぁでも個人的には(映画が長かったのもあって)人生全部をテニスに費やしてる人たちが、その全てを賭けてやるような話か?とは思っていて、そこを映像と音に誤魔化されている気がする。なんかかっこいいなー、と。『ウェストサイド・ストーリー』でものすごく注目したマイク・ファイストがメインだから、さらに上乗せで誤魔化されてる。まあいいや!

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チャレンジャーズ鑑賞。 

略奪愛とhome wreckerってちょっと意味が違う気がする…と、予告の印象と違ったなという意味で思った。アートとパトリックのカップル(ではないけど)を引き裂くタシという三角関係。でもある意味単純な話を描くには冗長…?かっこよくキメた音楽とスローモーションも多用されるとこれギャグなのかな?みたいな気持ちに…。
タシは本気のテニス、予想もできない結果、コントロールできないものへの欲望がある。プレイできなくなった今、テニスも生活も夫婦のパブリックイメージもコントロールしているから、何を押したり引いたりすれば彼らが思い通りに動くかを計算しているように見える。最高のプレイを見たい欲求のためだけに、二人を利用する。自分の何もかもを使って。それでも最終的に男二人はタシに利用されることすら気持ちいいんじゃないだろうか。結果がわからないあの最後のラリーの瞬間こそ、三人だけがわかる、三人でキスをした時のような高揚感が生まれたのだろう。倒錯的?フェティッシュ?とはまた違うんだけど、奇妙に捩れた関係はゾクゾクするものがある。

ドライブアウェイ・ドールズ鑑賞。 

たいそう重大で深刻な事件に巻き込まれていそうで、その実クソしょーもないブツを運んでいる、クソしょーもない話。なんだけど、そのしょーもなさは結構しっかり現実の重大さ?を表してもいるのだとも思う。現実に、男も女もわりとしょーもないことにこだわりすぎている。デフォルメというか、"生きづらさ"をそのままのそのもので出すなんて、バカバカしく表現して笑い飛ばす力技。ここまで露骨だと、バカすぎてスッキリしちゃう😂それでも意外とちゃんと(?)、奔放で直情的なジェイミーと頭でっかちでクールなマリアンの友情と、互いに歩み寄るような愛情が描かれていて面白かった。Drive-Away Dykes! 6月に観て良かったー(そうか?)

ブルー きみは大丈夫鑑賞。続き。 

昔も、そしてこれから先のいつかも、さよならも言わずに彼の存在を忘れるのはビーの方なのに、カルのことを思い出してもいないのに、IFは安心を与えてくれる存在であり続ける。なんと健気なんだろう。思い出すだけで泣ける。そしてそれがライアン・レイノルズの顔をしている!😂(少しだけくしゃくしゃ顔のピカチュウを思い出した)
ベンジャミンとIFの面接?就活?・彼の元にやってきたIFも、すごくかわいかった。

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ブルー きみは大丈夫鑑賞。 

イマジナリーフレンドの話で、子ども向けかな…と思っていたのにわりとしっかり泣かされた。オープニングの仲の良い家族の映像とその陰り、そしてお父さんが望むより少々大人びてしまったビーというのが、スピーディーだしわかりやすくて上手いなーと思った。
子どもたちに必要とされなくなってしまった空想の友達という寂しさ、見えなくなっても背中を押してくれる存在であるという優しさ、両方に泣かされたし、何しろカルがよかった。ビーが大人びているのと同様、カルもいろいろなものを諦めて今の彼になったのかもしれない。
『高慢と偏見』に挟まれた栞と、クマIFの話すカルについてでなんとなく予想がついていたので、「もうさよならを言いたくない」とビーが泣くシーンで、ビーがつらさをやっと口にできたことにも泣かされたけれども、大丈夫だと抱きしめるカルの表情にも泣かされた。

容疑者X鑑賞。『容疑者Xの献身』のインド版。 

『容疑者Xの献身』の映画はずいぶん前だけど見たことあって、ほう…インドだとこういう感じかーと思った。インドだとというか、インドでも、か。どこの国でもその国ナイズして作れそうで面白い。
数学教師のなんというのか…堤真一よりずっと…うーん残念なおじさん感というか…やるせない感じ?が、すごく良かった。頑張って練習してもお隣さんと話せないとか。涙ぐましい…。植毛について調べてるシーンなんていたたまれなすぎたんだけど、それすら実は計画の一部で…っていうのとかゾクゾクしたし、友人の刑事が容疑者を彼女から変えた時の「かかった!」という感触が見てて気持ちが良い。風采のあがらないおじさんが、なんならちょっとイケてる刑事を手玉にとるみたいなところも実は面白かった。ガリレオがいない方が(気持ち的に)見やすいw

マッドマックス/サンダードーム鑑賞。
これまた世界観は共通しながら全然テイストが違って面白かった。全体的な完成度は圧倒的に2の方が高いんだけど、マックスというキャラクターを知る?見る?には良かったかなー。いっつも動物連れてるなとか、非情なところもありながらなんだかんだで他人の面倒見ちゃうんだなとか。サンダードームの戦いでとどめをさせないところ、あっ!と思った。ああ、そう来ると、マックスにはできないんだ、って。あの一瞬で無理だってわかるのがすげー。
バータータウンがなんとなくそれなりに文明を感じさせるせいで、「ウェイストランドが主人公であるマッドマックスというシリーズ」のスピンオフを観ているような気持ちになる。ちゃんとマックスが主人公でマックスの掘り下げがされているのに、なぜか余計にそう思う。

ハロルド・フライのまさかの旅立ち鑑賞。続き。 

それをイギリスののどかーな美しーい景色と、なんかバズって乗っかてくる人とかの面白みと共に歩く。一度ホスピスの玄関まで行ったのに入れなくなる気持ち、めちゃくちゃわかるな。

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ハロルド・フライのまさかの旅立ち鑑賞。 

本当に許さなければならなかったのは…と考えると結構泣けてしまった。予告から勝手に、奇跡や希望を求めるコメディっぽい旅の映画だと思っていたところ、結構パーソナルでシリアスな物語だったので驚いた。漠然と信仰とかの話であるよりは、個人の信念や近しい人・あるいは自分を許す話である方が好みなので、そこがは私には合っていたかも。
先日観た『ミッシング』とも少し重なる部分があって、傷ついているに決まっている相手の気持ちが、自分の悲しみでいっぱいになると見えなくなる。わかりやすく感情を表出できる人ばかりではないのに。夫婦なのに。だから、とんでもなくひどい言葉で傷つける。そのせいで25年も仮面夫婦だったハロルドとモーリーン。800㎞の時間と距離はハロルドに必要だったけれど、モーリーンにも必要だった。クイーニーに許されることがゴールではなくて(何ならそのゴールは、そもそもクイーニーが彼を恨んでいないとわかって消失する)喪失に向き合うこと、傷を受け入れて夫婦が向き合えるようになるための旅路だった。

マッドマックス:フュリオサ鑑賞。続き。 

というか、シタデルパートをもっと削ってもなんとかなりそう、と思ったり。とはいっても、怒りの~の時はただの脳筋くらいにしか思ってなかったリクタスにドン引きしたり、嫌さの厚みが増して良かったところはある。
主人公がそうなってしまったという残酷な面…みたいな終わり方とかマッドマックス1作目な感じはあったし、マックスが犬缶食べてるー☺️とか2作目(と怒りの〜の時期に出たゲーム)を思い出したり、そういうのは楽しかった。

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マッドマックス:フュリオサ鑑賞。 

アニャ・テイラー=ジョイ、とてもかわいいイメージがあるので、フュリオサ?大丈夫か?と少し心配だったけど、しっかり怒りと復讐の物語の主人公だった。大きいかわいい目が、顔隠してたりするだけで目つき悪く見えるもんだなぁ(でもやっぱりかわいいけど)
フュリオサを助けるために命をかけた人がいた、それであのフュリオサができていったというフュリオサの背景は面白いんだけど、映画としてはなんか薄いかも…。直前に『怒りのデス・ロード』を見直して評価と期待をあげてしまったのも原因の一つ。まあそれは私が悪いから仕方ないとして、前日譚だからイモータン・ジョーの砦に繋げなければならないのはわかるんだけど、ディメンタスとジャックをもう少し丁寧に見せてほしかった。フュリオサは無口で無骨なマックスの中にジャックを感じたのかもしれないとか、ディメンタスにかけられた呪い「お前と俺は同じ」的な言葉から解かれたかったのかもしれないとか、なんとなく思うのだけれども。だったらせめてあの二人だけでも描写が増えればなぁ。

マリウポリの20日間鑑賞。
これは今の私が観ておかなければダメなんじゃないかと思って別の映画と迷った末、こっちに決めた。
しんどかった…そんなのわかりきっていたけれども。どんどん人が運び込まれてどんどん死んでいく病院の映像もひたすら心が痛むし、市の職員?死体を処理する人の映像も本当にきつい。穴どころかもはや溝。溝を掘って死体袋を投げ入れる、あるいは袋すらなく投げ入れる。たった数日のうちにそうせざるを得なくなるほど、普通の住宅街や病院までも攻撃される。人も荒む。自分たちの街を自分たちで壊して略奪したり。怒りも悲しみも全部記録に残して、決死の思いで送る映像は「フェイクだ」って言われる。だから、生きて、世界に届けなければいけない。そこに生きている人を見捨てても。そういうの含めて、落ち込む。
『関心領域』とセットで観たようなかたちになったせいで、生き延びて届くものがなければ、またそういうものが届き続けなければ、簡単に壁の向こうを見ないふりをして生きられてしまう怖さも感じた。しんどい…。

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