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★チャンピオン:牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

‪①人生タクシー
②傷物語〈Ⅲ冷血篇〉
③マリアンヌ
④20センチュリー・ウーマン
⑤ハルチカ
⑥ドクター・ストレンジ
⑦‪SING/シング‬
⑧ラ・ラ・ランド
⑨‪夜は短し歩けよ乙女‬
⑩ハードコア

頻繁に映画館へ映画を観ている俺だが、映画の日は滅茶苦茶に混んでるから行くのは出来るだけ回避したい所だが、安くなるし実際はよく行く。だが、マナーの悪い客と同席する可能性も高く、こういったリスクは回避したい所だ。特にパイレーツ・オブ・カリビアンの初日はヤバイはず。

‪『ジェーン・ドウの解剖』冒頭のつかみ、地下室に降りていくと、真っ白な肌をした端正な顔立ちをした美女が、茶色い地中から上半身・乳房だけが曝け出され発見されるというシチュエーションの禍々しさに凍りつく。‬

ジェーン・ドウの解剖 

生身の人間を演出する人間は、時には誰しもが欲する美しさを備えた身体を自由に演出し操作する事が出来る。なんにしても俳優に演出して指示するのは、そういった職業で、それに応えるのが俳優という職業なのだろう。

生身の肉体という本来は不可侵な領域を見回し凝視する気分にさせられ、でも映画だからOKという。検死官だからOKという暴虐のような。でも、暴虐とは違って暴虐を空想しているに過ぎない。死体と検死官、役者と演出家、はイコールの関係性と思わされた。厭らしいが面白い。

今作の美女というのは死体という役柄なのだが、何をされても動いてはいけない。代わりに死体だから何をしても構わなくて、肉体を完全に託している状態。乳房を陰毛を頭蓋を晒して、その身を映画に捧げている姿に感動した。

ジェーン・ドウの解剖 

顔を映し、誰の内臓かを強調。映像作品を観て久し振りに吐き気を催した。検死官が主人公なのだからリアリティのある解剖を描くのは的確で素晴らしい。解剖される人間の腹を裂いて肋骨をハサミで切り落とす瞬間に、解剖される人間のクローズアップを挟むのが厭らしく面白い。

解剖を通して変死した美女を理解していく行程は探偵物的な面白さに満ち溢れ。腹を開いている最中に“誰しもが腹の中に隠し事を持っている”という気の利いた台詞。腹を裂くからソレは解き放たれ無差別に人が死ぬ。死ぬのは誰でもよくて、浄化ではなく罰、暴力を撒き散らす装置。始まりと終わりで暴力が発散され、連鎖を起こしていく。正しい暴力映画の末路。

まず舞台が地下という密室で、遺体安置所と部屋を繋ぐ動線である廊下の曲がり角に配置されるカーブミラーの存在、廊下を怪しく照らす蛍光灯と配置の仕方、昇り降りする為のエレベーターの存在、それ以外に地上に上がる手段の階段と蓋の存在、 などなど空間の設計が巧い。

祟り呪い悪魔などの類を発動する手段採用の仕方と、検死官という職業との相性の合わせ方、設定が巧い。

『正解するカド』 

なんで爆笑なのか、それは不憫で不憫でしょうがないから。スマホの画面から流れる映像が、彼にとって一番不憫過ぎて吹き出した。救済ENDも用意してくれた方がいい。

『正解するカド』の一話だけでも観ると面白いっすよ。『シン・ゴジラ』まんまな作劇の仕方なので。

『正解するカド』 

物語の主題に一貫性はあって、着地として巧くある。最後の演説での異星人と人類の接触した事による生じた現象から正解と、人類の今後の提示の仕方とか、全体を締め括りも巧くいっている。変だと思いつつ、理にはかなっている。

と思いつつ爆笑した最終回でした。

正解するカド 

BLに殺意を感じもするが、同時に深い愛も読み取れる。悲恋という側面で見たら、確かにこれは泣く。俺は泣き笑いした。‬

正解するカド 

‪水面下で観続けていたんだけど、最終回は予想もしていない展開の連続で爆笑。急に裏の読み合いが重視される能力者系漫画のような心理戦から、BLをボコボコに目の敵にして粉微塵に光へ化していく殺人。‬

‪『シン・ゴジラ』を連想するような第一話から、論理的に異星人と政治を繰り広げる作劇ではなく、気付いたらドラゴンボールみたいに変貌。特に手の先からオーラを纏った巨大なブレードを出して攻撃したら、それを身体一つで受け止める瞬間から半笑いが止まらなかった。対異星人用の特殊スーツデザインも、意味があっても格好が悪くリアリティも無い。‬

‪つまんない訳じゃなくて、爆笑させられたっていう点で超絶面白かったのは確か。‬

パトリオット・デイ 

見る前からイマイチと予想した割に楽しんだ部分が多かった。爆破から阿鼻叫喚を表す為の、執拗に映す欠損した脚部の連続。膝から下を切断する手術を夫婦交互に見せる編集。‪血濡れたランニングシューズが転がる爆発現場、現場を擬似的に再現し検証する時にも血痕の付いたシューズは登場し、大量のシューズが犠牲者に捧げられ、ラスト付近においてシューズが形作るマークへの昇華まで。シューズという小道具の採用が、細部の演出に効果的に響いてくる。‬マラソン大会を舞台にする訳だから、脚部の目立つ映画だった。

冒頭からカメラが役者に寄り過ぎて、ドアを蹴破り突入する場面とかは状況が掴め辛い。カメラの近さは、決定的で確かな表情を捉えて切り取る為じゃなくて、リアリティやドキュメンタリーなニュアンスで撮っている。爆発直後の混乱した現場や、地面に滴る血液を真正面に広がっているのはアリ。

ラストに連なる実際の映像や本人インタビューは、今まで展開してきた劇映画への没入感を破壊する。あと銃撃戦は微妙。

『ハクソー・リッジ』狂ってる人間が撮った映画は、大変狂っていて可笑しいですね。

‪今月観ようか迷っている作品‬

‪・ありがとう、トニ・エルドマン‬
‪・パトリオット・デイ‬
‪・レイルロード・タイガー‬
‪・セールスマン‬
‪・怪物はささやく‬
‪・家族はつらいよ2‬
‪・ジェーン・ドウの解剖‬
‪・マンチェスター・バイ・ザ・シー‬

『キング・アーサー』
主人公の子供時代の早回し&ガイ・リッチーの千切り編集ダイジェストは見辛くて目眩がする、これじゃ情報の圧縮になってねーよ。隠し金を集めるのは良いよ、目的があっていいけど、それをどう使うかが見所なんだよ。そしたらなんすかアレは、重ねた描写無駄じゃん。何の為だよ。

ヴァイキングの尻に矢が刺さってヒゲを切る、のくだりあるけど正気を疑うような千切り編集。台詞も絶妙に合ってなくて没入度が低く、所々の情報の出し方も下手で、そもそも何の目的で、この場面を引き延ばしているのか意味不明。ちょこちょこ笑わせようとするのも不愉快、キモい。

『キング・アーサー』
つまんない映画に毎回言うが、上映時間長過ぎ。脳筋映画を作るんだったら、半分でいい。筋肉モリモリに仕上げた俳優を配置、馬鹿っぽくオラオラさせるのに、何故に立ち止まる性格にした。さっさと悩みを吹っ切り、ぶん回せよ。勿体ぶる割に場を持たせられない、だから長くなる。主人公のウジウジは本気で殺意が湧いた。彼には理由があるから仕方ないではなくて、映画という媒体の限られた時間の中で、よりにもよって思い悩んでウジウジする場面を積極的に選択をしてしまい、オマケにつまらなく仕上げた所に殺意が湧く。

近しい人間が目の前で、首を掻っ切らる描写を二度繰り返すのだが、ハッキリ無駄だろう。この殺人行為は主人公にとって戦う動機で、観客にフラストレーションをもたらす作用があり、一回で十分。なのに、一回目の時に活劇に繋げられずに保留。ましてや、次の場面で女を口説くなんて論外。一回目で死ぬのが女性なだけに余計。

肝心の“聖剣無双”もCG使い過ぎ、観ていて別にどうでもいい仕上がり。

『キング・アーサー』
久し振りに体調が悪くなって気分悪い程につまらない。今年ワースト筆頭。もう全部駄目。惰性で撮ったような映像に、ガイ・リッチー作品特有のチャカチャカ編集で千切りした映像の羅列は、気味が悪いし、カタルシスも無い。主人公のうじうじ性格が物語を停滞させ、終始ストレス。

聖剣を引っこ抜いた主人公に“気絶”というアクションをさせてしまうのが、今作の最も駄目な所で、作品全編に渡るウジウジと、歯切れの悪さを正に反映している。聖剣を引っこ抜いて、それを保留にしたまま物語を展開するという発想が駄目、この発想の時点で活劇が死んでしまい物凄く退屈。小道具たる聖剣の使い所を勿体ぶって、序盤から中盤まで使わないという発想について行けない。正しく言うと過去のトラウマから“使えない”状態を持続させるが、その状態を面白く引っ張れていたのか。巨大コウモリの生息する島に放り込んでいくが、舞台立てが意味不明で因果性も無い。主人公を追い込んで“使えない”状態から、美味しいタイミングを見つけて“使う”状態に持っていけてない。せめて強力な力を発揮している様子を傍観、立ち竦んでしまう視点とかが有ればいいのに。

‪『20センチュリー・ウーマン』
夜な夜な、エル・ファニングがベッドの横に寝転がりに来るというシュチュエーションに萌える(エヴァのアスカかよ)。彼女を横スクロールで映すのもキュートなんだけど、実はそれを別の人物が目撃するというのが、何回も言っている今作の風通しの良さに直結している。‬

その後に、エル・ファニングを追っていくのも良い。二人がタバコを吸いまくるシークエンスとか良い。タバコを吸う因果もよく考えられてるのが、本当に抜け目なくて怖い。

『20センチュリー・ウーマン』
生理!
せ、せ………
生理!
せ、生理……
生理!
生理!!
生理!!!
生理!!!!
生理!!!!!
生理!!!!!!
生理生理生理生理生理生理生理生理生理

20センチュリー・ウーマン 

ラストカットが桁外れに美しすぎる。二人乗りの飛行機が、水平線上に着地して終わる瞬間、素晴らしすぎる。風通しの良さ、描かれた時代の外、奥行きが見えるそれぞれの顛末。生まれた時代の違う人間が理解しようとする姿。真正面から対峙する親子の構図、親子にとっては回り道をしていた物語を真っ向から対話していく真摯さ。スケボーは自分の前を進んで追いつけなかったが、最後は並走していくスケボーと車に感動。

美しいラストカットに、息子が関わってない所が今作の風通しの良さ。何でもかんでも、血縁者が重要な場面に、人生のドラマチックな瞬間には携わっていない点。今迄に登場もしなかった人物こそが、最高の瞬間を作り出してくれるかもしれない。この世界の広さを感じる。

多様性を謳うというなら、正に今作がそれだ。母親と息子では、生まれた時代が違って、価値観が違う。そんな人間が相手を理解する為に、行動・実践する姿は、どうしようもなく尊かった。

『20センチュリー・ウーマン』超絶大傑作。

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