ジェーン・ドウの解剖
生身の人間を演出する人間は、時には誰しもが欲する美しさを備えた身体を自由に演出し操作する事が出来る。なんにしても俳優に演出して指示するのは、そういった職業で、それに応えるのが俳優という職業なのだろう。
生身の肉体という本来は不可侵な領域を見回し凝視する気分にさせられ、でも映画だからOKという。検死官だからOKという暴虐のような。でも、暴虐とは違って暴虐を空想しているに過ぎない。死体と検死官、役者と演出家、はイコールの関係性と思わされた。厭らしいが面白い。
今作の美女というのは死体という役柄なのだが、何をされても動いてはいけない。代わりに死体だから何をしても構わなくて、肉体を完全に託している状態。乳房を陰毛を頭蓋を晒して、その身を映画に捧げている姿に感動した。