パトリオット・デイ
見る前からイマイチと予想した割に楽しんだ部分が多かった。爆破から阿鼻叫喚を表す為の、執拗に映す欠損した脚部の連続。膝から下を切断する手術を夫婦交互に見せる編集。血濡れたランニングシューズが転がる爆発現場、現場を擬似的に再現し検証する時にも血痕の付いたシューズは登場し、大量のシューズが犠牲者に捧げられ、ラスト付近においてシューズが形作るマークへの昇華まで。シューズという小道具の採用が、細部の演出に効果的に響いてくる。マラソン大会を舞台にする訳だから、脚部の目立つ映画だった。
冒頭からカメラが役者に寄り過ぎて、ドアを蹴破り突入する場面とかは状況が掴め辛い。カメラの近さは、決定的で確かな表情を捉えて切り取る為じゃなくて、リアリティやドキュメンタリーなニュアンスで撮っている。爆発直後の混乱した現場や、地面に滴る血液を真正面に広がっているのはアリ。
ラストに連なる実際の映像や本人インタビューは、今まで展開してきた劇映画への没入感を破壊する。あと銃撃戦は微妙。