20センチュリー・ウーマン
ラストカットが桁外れに美しすぎる。二人乗りの飛行機が、水平線上に着地して終わる瞬間、素晴らしすぎる。風通しの良さ、描かれた時代の外、奥行きが見えるそれぞれの顛末。生まれた時代の違う人間が理解しようとする姿。真正面から対峙する親子の構図、親子にとっては回り道をしていた物語を真っ向から対話していく真摯さ。スケボーは自分の前を進んで追いつけなかったが、最後は並走していくスケボーと車に感動。
美しいラストカットに、息子が関わってない所が今作の風通しの良さ。何でもかんでも、血縁者が重要な場面に、人生のドラマチックな瞬間には携わっていない点。今迄に登場もしなかった人物こそが、最高の瞬間を作り出してくれるかもしれない。この世界の広さを感じる。
多様性を謳うというなら、正に今作がそれだ。母親と息子では、生まれた時代が違って、価値観が違う。そんな人間が相手を理解する為に、行動・実践する姿は、どうしようもなく尊かった。