‪『カーズ クロスロード』師匠と弟子という関係に、作劇が自覚的になるのが遅い。師匠と弟子、どちらの面目も立てたいという欲望なのか、師匠側が老い衰えを認めはするけど、先っちょだけは関わりたいという自我が、やはり邪魔。そこは素直に、始めから代われよな。これってクリエイターの欲望もあるのか?‬

カーズ2を全部見直してないけど、先日地上波放送された冒頭のスパイアクションだけは拝めた。正直、これだけでクロスロードよりも楽しかった。

『カーズ クロスロード』 

勝手ながらロッキーで言うなら、新作カーズは「ロッキー4/炎の友情」の最新トレーニング機器・テクノロジーの賜物ドラゴvs周り一面が雪原の大自然でトレーニングするロッキーの対決が取り入れられて。「ロッキー・ザ・ファイナル」のような、一度は現役を退いて隠居気味な所を奮起して復帰する迄が取り入れられている。いいじゃん!!スゲー好きなジャンルだよ。でも、何で不快になるんだ、と思う訳だがココにもう一本追加させて貰う。「クリード チャンプを継ぐ男」が入ってくる。要は主人公の後継者、自分より若い人を育成して送り出すという事も取り入れられている。これは取り合わせが悪いのだ、やりようによっては上手くいくかもしれないが、結果はこうだ。ロッキーvsドラゴにおいて“試合中”なのに、やっぱりアドニスが俺の後継者だし、お前が戦うんだ!!って急に選手交代して送り出すという物だ。ロッキーは半分戦って、あとの半分をアドニスに戦わせるような形態を取っている。相手は選手交代なんてしませんし。本当に不快。

『カーズ クロスロード』然しながら、“大人の鑑賞に耐えうるアニメ”っていうフレーズは嫌い。長時間かけてドラマを構築しましたからと言って良いと思わない。何度も溜め息を吐いて立ち止まり思いつめた表情を浮かべていき、活劇を弛緩させてまでやるのが大人の見世物とは思わない。キャラが何か思い耽る度に俺は退屈していた、そんな所で劇場で鑑賞していた子供も退屈したのか泣き喚く。余計に始末に負えない。『カーズ2』の方がアクションも良く出来ていて、今作よりも愉快痛快なのは間違いない。

『カーズ クロスロード』終盤の逆転の仕方とか不快でしょうがない。ルール的にアリなのかが分からないが、どちらにせよ不快。物語を一から十まで、とりあえず語っていく形式が不味い。本来なら際立たせるポイントを見つけて重点的に描写する所。たらたらと見せ場にならないレース映像をとりあえず流していく、尺に見合ってない。温故知新は一作目で散々やったのに、また再演するから新鮮味が無くなっている。主題が明確になるのが遅過ぎる。主人公が指導者になって教える側になるというのを見出すのが遅いから、土壇場クライマックスが不快になる。せめてレース前に託すという事に気付く構成にするべき。チョンボでしょアレは、だから不快。

『メアリと魔女の花』少女が古ぼけて枯れた箒を握りながらネバネバした液体をベタベタと塗りたくると箒がムクムクとドクンドクンと太く大きく固くなった箒は少女をドスンドスンと上下にピストンのように動かした後に空へとビュッーーーー!!!!と飛んでいく、そんな様子は超絶馬鹿馬鹿しくて面白い。

『メアリと魔女の花』よく分かんねーけど、ヤックルみたいな奴が出てきて笑う。

『メアリと魔女の花』バランスが変 

前半は珍妙で、妙に長くて締まらない自宅の周りにいる人物たちとのコミニュケーションの数々。ただ、庭師と花の手入れをしている部分、不器用なメアリは花の茎を折ってしまう。後で、魔法の花を毟り取るのと対応関係か、最後に花を棄てていく。不器用だったが魔法の花の効果で、魔法のおかげでメアリは器用になるが、最後は花を魔法を棄てて成長を示す。魔法の花=魔法を棄てる点だけは悪くないが、実を言うと魔法を完全に無効化する魔法が登場してしまう点がバランスの悪さ。魔法の花と同程度に凄いものが何気無く登場してしまう。然も、無効化の魔法をクライマックスの土壇場で使いたがる構成がおかしい。魔法を棄てる話なのに、やっぱり魔法を使って救うのだ。そこら辺バランスがおかしくて、そこは魔法を使わず不器用ながらもメアリの自力で救う手段を創造すべき。着地点が確かに在った筈で、どういう作用が起こったのか、元ある着地点を見失って別の場所に着地している。

まぁあと、観ていて普通に面白くないっていうのも難点。

『メアリと魔女の花』魔法学校に到着した辺りから主人公のキャラに付いていけない。一日だけ魔女になれるというコンセプトを殆ど活かしてない。魔法学校の同級生あるいは生徒を登場人物として出さない。学校という舞台機能を活かす気配がない。魔法学校の生徒がボディビルをしたりロッククライミングしている情報量が無駄に多い場面、画面を下降しながら全体を見せていくのは変なテンションがあって面白い。あくまでも、“変”な所が面白い。魔法学校の内装のデザイン、中身がスカスカで真新しい物が無い。庭に所狭しと“変”な魔法生物?のような物がグニョグニョ動いてるとか、“変”というかコンセプトが定まっていないデザインが大量にあるのがイマイチな所に、まぁユーモアがあるような無いような。

『ジョン・ウィック チャプター2』ルビー・ローズをキャスティングし、この華奢ながら強者オーラを出したボディガードというハッタリの効いた役柄にバッチリハマっていた。造形・スーツの着こなし、ある肉体特徴も相まって萌え度が高く、キアヌとのやり取りも萌え。ボディガードの職務を全うする為に依頼主を外に出す。それを見送る依頼主の表情。扉がピシャリと閉まるタイミングとか良いじゃん。ルビー・ローズに護られたいんじゃ。滅茶苦茶クールビューティー。
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ジョン・ウィック チャプター2 

vsコモンでのナイフ戦はウィンターソルジー入ってた。BGMが似ていて意識したのは間違いない。どっちが上かというと難しくて、後者は状況と武装の変化を段階踏んで行ってナイフ戦に移行するのがスマートで綺麗。前者はプライベート・ライアン風の泥臭さ。キアヌとコモンが粘ちっこく交互にマウントを取り合い身体が絡み合うのは見所ですね。

ジョン・ウィック チャプター2 

やっぱりアクション映画なんだから生身で無理した事を詰めこなきゃと言わんばかりに、階段から生身でゴロゴロ転げ落ちていくキアヌとコモンの体を張ったアクション。vsコモンの達人同士の戦いは常人の我々からするとシュールに映るが、いちいち周りの一般人の視点が介在しないのが余計に達人だけの世界を形成する。一面が白い壁の大きな通路で高さの違う場所から互いに歩行しながらサイレンサー撃ち合いは、超絶シュール。地下鉄内での長い待ちからの接近戦も良い。ここは一般人の視点を入れたらコメディになりそうで、MCUとかは絶対にやりそうな物だ。達人が睨み合い接近に終始していて特殊な空間を形成する。この達人フィールドに惹かれる。何が面白いか?それは、映画製作者が創作ハッタリ世界の彼等に対して真顔でマジだから。半笑いしそうな可笑しな殺し屋世界の設定とか盛り沢山でオマケに世界観の風呂敷を広げてくるわで面食らう。然しながら、映画製作者は本気で真顔だから嘲笑したくはないと、そう思わされる。彼等はマジ、だから支持できる。

ジョン・ウィック チャプター2 

一本完結型の映画ならば、弾丸を一発食らわせてエンドクレジットに移行していいものの、ストーリーの落とし前を生真面目に行う。ハッタリが効きまくった殺し屋世界の設定からして後始末は必須で、設定に囚われて自由が効かない面も感じるが、主人公に対する突き放し方が面白い。最近観た『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』のようなシリーズ物の最新作においてキャラを大事にし過ぎ、所轄キャラ萌え的なアプローチとか、過去話を足して設定を増やして溺愛する傾向と比べると、ジョン・ウィックは世界観設定と対立して人物を厳しく突き放す。二本の映画を連続で観て、どちらも続編物なのだが、アプローチが違うと感じて勝手に比べる。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』→新しい小道具を設定して、キャラを呪いから解いて自由にする。

『ジョン・ウィック チャプター2』→呪いを強引にルールを破って解くが、世界観設定から追われ戦う。

この対比は甘いと思いながら、然しパイレーツに関しては再度呪いと直面しそうでもあるからね。まぁ、どういった続編になるか主題も分からないしコレでいいや。

『ジョン・ウィック チャプター2』超面白い。実写で生身を使うからこそ面白いアクションの数々とアイディアに好感。冒頭からカーチェイスや、体術を盛りに盛って出迎え、車がよく跳ねて、車を車に車を生身にぶつけて遊んでくれる。だからアクション映画って面白いよねと実感。シューティングも良質。エピローグには困惑。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』超つまらない。 

進行が停滞しがちでシナリオ構成が雑。特に序盤付近で人物同士がなかなか合流しないで牢屋に閉じ込められる・鎖に繋げられる描写を何度も繰り返す。描写の反復が演出としてではなくて、進行に手間取っている印象。大掛かりのセットを使った強盗などは楽しめそうな物なのに、アクションの主体が強盗物に向かわないで酔っ払い千鳥足気味のジョニー・デップに向かうのが駄目。アクションは活きてこずに、シナリオの都合上でヒロインと初遭遇を優先する。屋外の大アクションよりも、つまらないギャグ・屋内
を優先する。二次創作・同人でやる内容でも構わない。然し、やりたい設定・シチュエーションの数が多くて互いに食い合って物語を制御出来ず一貫性が無くなっている。『フォースの覚醒』のようにしたいのか、これだったらスター・ウォーズの方がクレバーで、マトモ。案の定エンドロール後にオマケ映像が流れるんだが心底どうでもいい。続編を匂わせる物で、その件をまた引っ張ってくるという発想、製作者のアイディア不足を痛感。本当にこれも二次創作的発想で困った。そのまんまアイツが登場して来ないと願う。

Netflix加入して良かった、プライベート・ライアン冒頭30分見放題だしな。

オクジャ 

楽しい活劇からのアクションシークエンスが多くて大変嬉しい。但し、アクションが前半部に偏っており後半はイマイチ活劇が乗って来ない。ただ、後半に移行していくと少女の服が血に濡れて現実を直視せざるを得ないように話を運んでいき、痛みを伴い誠に真実を理解して知恵を付けて判断していく行程は熱い。オクジャが搭載されたトラックを追ってからのシークエンスは本当に良くて、俺の観たい活劇が詰まっていた。ドンドン坂道を下って走っていく少女を捉えていくのは良いセンス。序盤、少女が崖から落ちそうな所を滑車のように救う事を決意したオクジャの視線が熱い。

オクジャ 

ティルダ・スウィントンとポール・ダノとジェイク・ギレンホールが其々に、奇怪な演技で存在をアピール且つイデオロギーを披露する為の時間を無駄に割いていて、尺のバランスが宜しくない。ここの部分は個々人の行動原理の証明やらなので、あった方がいいのは勿論だ。俺が気に入らないのは個々の長さで、例えばポール・ダノ率いる動物解放戦線側の薄暗いトラックの中での説明・説得・会話シーンの長さ、ティルダ・スウィントン食品経営者側の全体が白くて明るい会議室での説明・相談・結論までの会話のシーンの長さ、ジェイク・ギレンホールの地下にある研究所での悪酔いしながら嘆くシーンの長さ。面白い長さになっていないのが辛い所、地下研究所はビジュアル的に美味しいのだが、ジェイク・ギレンホールの悪酔いクドイ演技が大き過ぎる。もっとシェイプアップして短く出来ると感じた。

『オクジャ』
観たんですけど普通に面白い。但し“普通”が外せないのが重要で、滑稽なブラックジョークを演出しようとしながら、やっぱり主題に対して真面目に利口に作っている所が世渡り上手な所なのだが、これが良くも悪くも“普通”に押し留めている。ちゃんと作品内部で結論を導いて納得出来て且つ苦味を感じつつも救える者は救うというバランスの付け方などは、やはり出来が良い。ちゃんと長編を観て主題を作品内部で消化すると気持ちが良い。

❶キング・アーサー
❷新宿スワンⅡ
❸キングコング髑髏島の巨神
❹ひるね姫
❺ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
❻虐殺器官
❼劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー未来からのメッセージfromスーパー戦隊
❽ザ・コンサルタント
❾ネオン・デーモン
➓名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)

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