「古山子 王朝に背いた男」
意味がわからんサブタイトル。どうせ説明するなら「地図」という言葉を入れるべきだろう。
古山子は「コサンジャ」と読み、主人公の号です。本名はキムジョンホ。
チャ・スンウォンの無駄遣い。
後世に名を残した人物が、同時代ではただの偏屈ものや奇矯な人で、家族は大迷惑、というよくある話。
朝鮮八道の美しい風景は堪能できるが、ストーリーがぐだぐだ。
人物の性格付けと行動が合ってない。
愛国心あおるのもダサい。
旅する場面と地図を描く場面は出てくるのだが、ただ歩いたって地図ができるわけもなく、そのへんの技術や工夫がまったく出てこないので、見ててぽかーんとなってしまう。
主人公は地図以外頭にない地図バカで、それはいいのだが、地図の戦略的意味をどうしても理解しようとしなかったり、あまりに愚鈍でうんざり。
役者はよかったんだけどねー、というか、韓国映画で役者がよくないのはあんまり見たことないが。
「イコライザー」
イコライザー2がやってるけど、最初のを見てないので、どうかしらんと思って見てみた。
フークアなので、かなり期待。
マグニフィセント・セブンでのデンゼル・ワシントンは体型があまりにもっさりしていて、実はいまいち納得いかなかった。リーダーだし、キレキレの動きは別の人がやってるから、映画としては問題なかったんだけど。
本作では、アクションてんこもりで、めっちゃいい人(ためらわず殺人を犯せるという意味では違うけどw)という役なので、キャラクターどおりばっちりです。
そのへんにあるもの、なんでも使って相手の肉体を破壊するというのが、ひとつの見どころになっていて、おもしろいのはおもしろいんだけど、クライマックスのホームセンターでは、そんなもん使う必要あるか? みたいな感じも。
ヘイリー・ベネットがとても哀切でよかった。
で、劇場に2を見に行ったかというと、もたもたしているうちにレイトショーだけになってしまったので、見ずじまいになりそう。
昼間なら行ったんだけどねぇ。
「ルイスと不思議の時計」
当地では吹替しかやってないので、しかたなく東京に出た折に字幕版見ましたよ。
冒頭のクレジットにカイル・マクラクランの名前を見て、こいつが悪役だろ、と思ったら大当たり(笑) というか、だれでも予想つくか。
アメリカで長年愛されている児童小説が原作ということで、友達の気をひくためにとんでもないことをしでかす子供の心理は、よく描けてるなぁと思った。でも、それは原作の手柄だよね。
映画としては、気持ち悪い人形たちと時計だらけの屋敷の美術とか、ちょっと昔(70年代?)のアメリカの雰囲気とか、映像は美しかった。
だけど、なんだかおじさんと隣のおばさんの人物像がよく見えない。JBとケイト様のキャラに頼りすぎじゃね?
そういう意味では、かなり子供向けという感じ。
しかし、顔だけおっさんのJBベイビーはまったくいただけない。どんなクリーチャーより気持ち悪かった。
「クレイジー・リッチ」
1,100円サービスデーだというのに、夕方からの回に行ったら、観客はわたし含めて4人。こりゃ、当地では早々に打ち切りになりそう。見に行ってよかった。
楽しいラブコメで、テーマも古典的。家族と個人の相克。
都会で成功した女性が、地方の大金持ちの御曹司とそれとは知らずに恋に落ち、「親にあいさつ」ということで連れて行かれて、カネ目当てと思われて騒動になる。
これが、アジアからアメリカに渡った移民だとこういう話になるのね、という感じ。
御曹司の彼氏はめっちゃいい人なのだが、家族という装置の抑圧性にまったく気づいてないところが、後の悲劇を感じさせる。
大金持ちの彼氏の親族より、小金持ちの友達一家のほうが幸せそうだ。
ハリウッドで白人俳優使って作ったらふつうの映画だが、役者全員アジア系を使うと、政治的なイシューになる。
まあ、移民というのは、生きてるだけで政治的な存在だからしかたない。
邦題で "Asian" がはずれたあたりも。
「1987、ある闘いの真実」
新宿で見てきた。
東京にはほかにも用があったんだけど、どっちかというと、そっちがついでで、この映画を見るというのは主目的。
しっかりエンタメしていて、韓国現代史とか、このころのことをぜんぜん知らない人が見ても、十分楽しめると思う。
だけど、わたしはこの時代を実際に知っているから、やはり純粋に映画としては見られない。おそらく、一定年齢以上の韓国の観客もそうだよね。
一部をのぞいて、登場人物は実在している。最後に、民主化闘争の主要人物だった、文益煥牧師の映像がちらっと出てくるが、ムン・ソングンはこの人の息子だ。
カン・ドンウォンが大学生? いくつだよ? と最初はびっくりしたが、それほど不自然じゃなかったからたいしたものだ。まあ、それを言えば、キム・テリも20代後半なので、大学1年の役は苦しいが、こちらも問題なかった。
当時の街の様子、人々の服装など、再現度がすごかった。CGもたぶんかなり使ってるんだろうなぁ。
オールスターキャストで韓国映画の力強さがびしびし感じられる。そして、韓国の民主主義が、なぜこれほど強いのかも。
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プレデター(1987年)
シリーズまったく見てない状態で「ザ・プレデター」見て、それはそれでおもしろかったけど、1作め見たら、いろんな文脈がわかった。あの仰々しい音楽も、これを意識してるのかーとか。いや、新作の音楽、よかったんんだけども、ちょっと古くさい感じだったから。わざとだね。
そういえば、この時代は、怖いものは、はっきり見えないほうが怖いから、なるべく引っ張って正体わからないようにするのが常道でした。見えちゃうと、作り物っぽさが目について、ちゃっちい感じになっちゃうし。
だけど、プレデターのデザインが秀逸なので、最初からぽんと出てきても悪くなかったかも。あのプリズムみたいな偽装?もかっこよかったけど。
ほとんどのアメリカ人が、ベトナム戦争の濃い記憶とともに行きていた時代。軍人はベトナム帰りがうようよいて、この話のコマンド部隊もそういう人たち。
ジャングルの中で見えない敵と戦うっていうと、ベトナム戦争のゲリラ戦とまっすぐ結びついてしまうが、この映画のおもしろいところは、相手が高度のテクノロジーを持っていて、こっちはしまいには弓矢や槍の原始人になっちゃうところ。
映画は劇場で見たい。韓国映画多めです。
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