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ボーダー 二つの世界鑑賞。
それなりに暮らしていけていたとして、それでも世界と自分の間に溝を感じていたとして、そこで本来自分がいるべき世界・自分と同じ存在に出会ってしまったら。自分に欠陥があると思って生きてきて、でも本当は世界の方が間違っていたら。そんな、世界からの疎外感を誰しも多かれ少なかれ感じているんじゃないかと私は勝手に思っているのだけれど、こんな形で見せられてしまって、なんだかすごくどんよりした気持ちになった。ティーナの見た目にギョッとした自分にもガッカリだし、自分が彼女の立場だったらと考えてもこんなに孤独なことってないなーと。
初めて正しいと思えた身体や世界を、良心に従って裏切る。もうねー、最後、彼女が死んじゃうんじゃないかと思った。幸せになってほしいなー。

別れる決心鑑賞。
張り込み中の「彼女を観察する」と「彼女の生活に入り込む」が両立する見せ方が独特で面白かった。そういう境界が曖昧になるような観察をしたから、ヘジュンの捜査官としての誇りは崩壊したし、ヘジュンを観察したソレも崩壊してしまったのだろう。二人の恋愛的な心の動きはともかく、後半の事件の動きがあまりよくわかってない…。
数は多く観てるわけじゃないけどパク・チャヌクにしてはそんなにエロくないなと思った。窃視の話なわりにはあまりねっとりしてないというか、映像が綺麗だからさっぱりして見えるというか。でももしかしたら男性目線(もっと言うと、ヘジュンのような、男性の目線)に私が入り込めてないからかもしれない。だって「その女、あかんじゃん…」って、最初から思っちゃうし。ガジェットはいちいち今っぽいけど、そういう女にハマって崩壊していくというめっちゃクラシックな話で、思い返すと好きさが増す。
『お嬢さん』といい、(すっぽんは海じゃないけど)海産物の使い方、面白いよね😂

ベイビーわるきゅーれ鑑賞。
評判はよく聞いていて楽しみに観たのに、わりと序盤からノリがキツくて観てらんねー…と思ってしまった。たぶん、笑いが致命的に合わない。というわけで、アクションもすごいんだろうけど、楽しむとこまで気持ちがいっていない。自分が彼女たちと同年代でただ「かっこいーなー」とか、それか今よりもっと上でただ「かわいーなー」って気持ちになれるならもっと楽しめたかも。まぁ、私の映画じゃなかったってことだ。

ドライブ・イン・マンハッタン鑑賞。 

どうでもいい人にしか話せないことってあるよねという点と、たいしたことない話だけどこの二人だから見ていられるという点で面白かった。こういうの、嫌いじゃない。

宮本から君へ鑑賞。
序盤から何か良くないことが起こったのだろうとは思ってたし(井浦新を疑ってた、ごめん)、案の定キツめの表現があって、別にそれが理由ってわけじゃないけど、終始ノレなかった。みんな怒鳴りすぎてて苦手、という完全なる個人的好みは置いとくとして。宮本の暑苦しさが良いってのもわかるし、みんな演技も良いってのもわかるけど。なんだかなー。当事者の女、置いてけぼりじゃん。こんな『最後の決闘裁判』みたいな感想を抱いてしまったせいで、私には合わなかった。
救急車が来て「お父さん、落ち着いてください」って言われてるとこは好き。宮本がしっかり(してるか微妙だけど)ちゃんとお父さんだ。

港に灯がともる鑑賞。続き。 

その灯が「長田に行ってみたらおばあちゃんのことを思い出した」と、父親と話せるようになっている。電話での距離とはいえ。父親は「今までさんざん言ってきたじゃないか」というけれど、自分の経験によって、自分の人生に関係があると思って初めてその話が灯にとって意味を持つ。そこが良いなぁと思ったし、同時に意志の疎通?教育?がうまくいってない。
家族という閉じた場所にいて何度も何度も聞く話より、外に出て仕事として出向いた先で出会う人・生活を通して知ること、社会に出ることで経験と実感が結び付く。外の人と繋がって生きることが、ルーツを含め自分自身や家族をより知ることに繋がっているし、彼女の精神面にも反映されているのかなぁと思った。外を向くことで自分を知るのが、何もかもわからなくなって身動きが取れないみたいな精神状態からの脱出になったのかなと。

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港に灯がともる鑑賞。 

阪神・淡路大震災関係の映画ということは事前に知っていて、予告もなんか苦しんでるシーンが多かったので、つらいだけの話だったら嫌だなぁと、ほんの少し思っていた。でも震災や被災に関してよりも、灯と家族についての話で、しかも家族から離れて仕事で出会う他人や地域を通して、改めて自分や家族を知るという話になっているのが面白かった。
嫌だなぁというのは、こんなに大変でした!こんなにつらいことがありました!と言われても、自分のことのようにずっと同じように悲しむって私にはあまりできなくて、だからもしそれだけの映画だったらしんどいなぁという意味で。作中にもあったけど地元の人にしたって、「いやー正直何とも思ってない、よくわかんないし」みたいなスタンスの人だって実際いるだろうし、灯も父親のする苦労話にうんざりしていて、違うやり方じゃなきゃ通じないって、普通にある。

シンパシー・フォー・ザ・デビル鑑賞。 

まぁそれしかないよなという流れではあるんだけど、ニコラス・ケイジの顔芸が面白かった。むしろそれを観に行ったと言っても過言ではない。それに加えてジョエル・キナマンが出ずっぱりだったので大満足。かっこいいよねー。…そこそこ面白かったけど、それくらいしか、言うことがない。

聖なるイチジクの種鑑賞。 

観終わって最初に思ったのは、なんか『シャイニング』みたいだったな、だった。消耗して現れた父親の狂気が家族に向けられる。それは怖さなんだけど、この家族=この国と受け取れて、黙らされて嘘つき扱いされて抑えつけられている体制を下の世代がぶち壊そうとしてると見ると、ちょっとだけ救いにも感じる。
意識的にだろうけど、父親が職場でどんな仕事をしているのか映らないのもあって、後半転がり落ちるように暴かれていくというのが怖かったし面白かった。一見良い暮らしだけど、抑圧された家庭というのは節々に見られたし、姉と家族のやりとり、姉を疑った両親が妹に吐かせようと条件を持ち出すとかも「お父さん、仕事でこういうことやってんだろうなー」感が見えて、すごい気持ち悪かった。
言いたいこと・やりたいことはわかるし、必要だとも思う。でも銃が消えるというサスペンスまでだいぶ時間があるし、ちょっと長い…だいぶ長い…。

おんどりの鳴く前に鑑賞。 

え?この人、警察官なの?と思ったくらい、なんかこう、情けなーい、うだつの上がらなそうな感じが役にもぴったりで良かった。
権力者がいろいろ抑えつけてる村社会の暗部みたいな嫌さもひしひしと感じたし、そこで生きる普通の、ちょっと権力の側にいるけど弱くて優柔不断でどうしようもない男の生き様っていうのも観た甲斐があった。
「果樹園さえあれば(自分ももっとちゃんと生きられるのに)」とか、たいして親しくもない女性にプレゼント用意しちゃうとか、部下にだけはやたら当たりが強いとか、もう本当にダメなやつなんだけど、それでもその一戦だけは越えない。最後があまりにも突然な(あとなんかちょっと緩い)バイオレンスだったし、向こう側に丸め込まれなかったことで、彼を許す気になってしまう。ダメそうな見た目がピッタリすぎるんだもの…。

クライング・フィスト鑑賞。
落ちぶれボクサーと非行少年(青年か)なので、師弟関係になる話だと勝手に思い込み、それぞれの場所で進んでいく話を見ながら、いつ出会うのかな?と思っていた。そんな話ではなかった。
それはともかく。どちらの話も丁寧に泣かせにくるので、最後どっちも勝ってほしくて、しかもボクシングシーンに合わせてボクシングっぽくない(かどうか知らないけど)メロディアスな曲が流れるので、よけいに泣けちゃって。息子も来るしさ、ばあちゃんも来るんだもん。泣くしかない。序盤のサンファンのどうしようもなさ・怖さがあっての最後ばあちゃんに向かっていくとこ、テシクのどうしようもなさ・ダメさがあっての息子が駆けつけてくるとこ、すごく良かった。
全然息子に良いこと言えないし、最後以外かっこいいとこ見せられないテシクのダメなやつさが悲しいんだけど面白くて、良いダメさ(?)だった。

型破りな教室鑑賞。 

こんなの良い映画に決まってるものー!普通に面白かったし普通に泣いた。
ただでさえ「試験のための勉強」なんて生きる上で意味がないと思うんだけど、あんな、日常的に通学路で人が殺されてるみたいな環境で、学校の勉強なんか本当に価値はない。だけどそれでも、可能性と信頼を無条件に示されて、本当に学ぶことの意味を知ってしまったら、もう戻れないよなー。そういう生徒の側の面白さもあるし、フアレス先生の側の悩み、校長とのやりとりも面白かった。あの環境で教師がどこまでできるのか、生徒からの信頼を裏切らないでやっていけるのか(学ぶことの本質をわからせたいというのはどこの国だって他人事じゃないんだけど)難しいなぁ。
パロマやニコはもちろん印象的だけど、幼いきょうだいの面倒を見てるルペの表情がすごく良かった。お母さんの妊娠検査薬を目にした時のあの無言の絶望感…かなり突き刺さってきた。

Broken Rage鑑賞。
お遊び作品!北野武作品を2作くらいしか観たことないし、全然情報を入れずに観たのもあって、最初のパート、なんか不自然でわざとらしく、こんなもんなのか?と思った。次のパートがそんなもんじゃなかったので、まぁ『カメラを止めるな!』みたいなもんかな。かといってコントとしてめちゃめちゃ笑えるっていうのでもなかった。みんな楽しそうは楽しそう。

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド鑑賞。 

エンドゲームまでしかMCUを嗜んでない私ですが、セレスティアル島とかよくわかんないなりにまあまあ楽しめた。ドラマ系よりむしろ『インクレディブル・ハルク』の予習が必要でしたね…全く覚えてねーわ。なんならリヴ・タイラーを観て、バナー博士の彼女ってジェニファー・コネリーじゃなかったっけ?くらい思ってた。
予告でレッドハルクが出てくることは知ってたから(それが話のメインだと思っていたので)そこに至るまでがそこそこ長くて、若干退屈…。ただ、キャプテン・アメリカという名前の重圧と人々の希望、そして生身の人間だからこそ普通の人が憧れられるサム・ウィルソンのかっこよさというのは存分に味わえた。バッキーとの会話がホアキンとの会話で響いてくるの、めっちゃ良い!
スターンズはすごい頭脳になったらしいのに、心臓を止める?装置が、手動で目視の距離なダイヤル式なのは納得いってない。サムと対面する場所との距離がどれくらいなのか知らんけど、わざわざあの訓練施設まで行ったの?暇なの?

ハイパーボリア人鑑賞。 

全然わからなすぎて笑ったし、映像も独特すぎて、私にはまだ早い世界だった。盗まれた映画をできるだけ再現した映画ですという枠の中で
、ある映画を探すことになって〜みたいな構造になっていて、地球空洞説と南米にナチの残党…ていうかチリの地下?でヒトラー?の再生産?がなんとかかんとかで…で、最初の場面に戻ってきてる?うーん、やっぱりわからん!何かの実験みたいだった。

嫁姑・母娘にしても、というかこれはたぶん性別関係なく誰でもある気がするんだけど、足を引っ張る精神ってなんなんだろう。自分がした苦労を他人もしないと気が済まないってことなのか、他人が幸せだと自分の取り分が減る気がするのか。新しいものも便利なものも人が暮らしやすくなるように作られるんだから、どんどん利用すればいい。これは自省/自戒の気持ちも込めてだけれど、「昔はこんなに大変だった」に続く言葉が「だからもう誰もそんな苦労しなくていいよ!」であるような、寛容な人間でありたい。

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82年生まれ、キム・ジヨン鑑賞。
人間って心の栄養が足りないと簡単に壊れちゃうんだなぁ。憑依状態の時の人格がジヨンを守ってくれていた(あるいはジヨンが守りたいと思う?)女性なのも、女性として生きる苦しみの一つにも思える。そのみんなが味わってきたことだから、「わかるよ」「ごめんね」を含むような守り方。赤の他人で、ジヨンを詰る側に女性がいるのも、ジヨンを守る女性がいるのも強く印象に残った。
ものすごく嫌な人も出てくるけれども、例えばその人がいなかったとしてジヨンの生きづらさが消えるわけではない。誰か一人が特別悪いってわけではないのが、根深い問題だしリアルだと思う。リアルと言えば、カフェで盗撮事件の顛末を話した後、女性たちが吐くため息が、ズシッときた。冗談みたいに笑い飛ばせもしない、どうしようもない時のため息。

僕らの世界が交わるまで鑑賞。
誰と誰の世界が交わるのか、ポスターもあらすじもろくにチェックしないまま見始めたので最初あまりわかってなくて、あーそういう話か!となる終盤がすごく面白かった。最後にやっとお互いを”見つけた”。映像として映るものは静かなんだけど、最後、ほんとめちゃくちゃ良かった。結局似てるんだよね、反骨精神とか、好きな人にエゴを押し付けるようなところとか。もしかしたら、そうやって身近な人の中身が見えてくることで、自分自身を知ることにもなるのかもしれない。
好きにもいろいろ種類があるんだろうけど、社会問題に対する姿勢が好きなのに、その内容には注意を払わないし何一つわかってないんだな…というジギーの軽薄な若者感が素晴らしい(褒めてない)。が、単純に疑問なんだけど、好きな人の好きなものって知りたくならないんだろうか。

野生の島のロズ鑑賞。めっちゃ泣いた! 

観る前から泣くと思ってたけど、やっぱりすごく泣いた。ロズには必要とされることが仕事で、あれだけ一生懸命(空回りの)プロモーションをして、初めて必要としてくれたのがキラリだった。利用してやろうと近づいたチャッカリ。そうして出来上がる家族。そもそもああいうタイプの家族ものに弱いのもあるし、みんないいやつでさぁ🥲
子育てってこういう感じだなーよりは自分の親ってこんな気持ちだったのかなーという方向ではあるんだけど、デコボコ家族の子育て・子離れの面でも泣いたし、チャッカリが意外としっかり寂しがりなのもめちゃめちゃかわいくて泣いた。ひとりぼっちなのは、三人ともそうだったのか。
ロズもだし、周りの動物たちも、プログラムされたものから変われるということと、変化への戸惑いや葛藤も含めて変わったことで築かれる関係が愛しい。

ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇鑑賞。
え、うそ…こんなの奴隷じゃん、現代の話でしょ?ってなる。夜道を歩いてたらいきなり拉致されて気づいたらもう船の上だったとか。何年も働かされ続ける。今なら帰れますと手を差し伸べられても「もうここで妻子がいて今の生活があるし…」って、10年とか20年とか、元の人生よりも長いくらいそこにいる人までいて、もう何とも言えない重苦しい気持ちになってしまう。
タイの(違法)漁業の現場もすごいけど、そのまぁ言ったら奴隷扱いされてる人を、ただそうすべきだと思ったという動機で助けようと活動してる人もすごい。本当に。
例えば屠殺の過程を見てお肉食べられなくなる人っていると思うけど、食卓の魚料理から巻き戻っていくという最後の見せ方が面白くて、魚自体がどうっていうのじゃないのに魚食べるの怖くなるね。

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映画ドン-映画ファン、映画業界で働く方の為の日本初のマストドンです。

映画好きの為のマストドン、それが「映画ドン」です! 好きな映画について思いを巡らす時間は、素敵な時間ですよね。