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キラキラした映画よりもギラギラした映画が見たいね

『ちはやふる -結び-』も『リメンバー・ミー』も出来が良い作品だったが、個人的にはその二つよりも『素敵なダイナマイトスキャンダル』の方が遥かに素敵だった。

1960年代後半から1980年代の“エロ・グロ・ナンセンス”(グロはあんまりなかったけど)のど真ん中をたくさん詰め込んだ本作を平成が終わろとする今年に公開したのは大い。
キラキラした映画が多い中で『素敵なダイナマイトスキャンダル』は一服の逆清涼で、末井昭というモンスターらしい映画だ。

『ラ・ラ・ランド』は21世紀のミュージカル映画において傑作で、20世紀の名作ミュージカル映画にも勝るとも劣らない。

が、肝心のミュージカル映画を得意とする専門家ですらわからない、肌にあわない人がいるぐらい。

まあ95%は映画が始まり数秒の仕掛けに気がつかないし、「Another day of sun」の楽曲の良さが解って初めて話になる作品。

仕方がないです。

じょ~い@えいがどん さんがブースト

LaLaLand
最後に2人が結ばれたかどうか何でどーでもよくね?お前120分近く何を観てたんだよwwwアホちゃう???
LaLaLandの話を友人とすると、よく、上のように思う。だから、LaLaLandの話は友人とはしたくないのである。
傑作のジレンマ。
そもそも、LaLaLandは、恋愛しか興味のないお前のような人間とは対極の立場にいる人間のための映画なんだぜ。
まぁ、恋愛に全く興味のない人間もそれはそれで問題だが。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』② 

最近見た日本映画で『今夜、ロマンス劇場で』の昭和30年代半ばの撮影所周りや『焼肉ドラゴン』の1969~71年の大阪の下町など、これらも日本の時代を描いていたが、
『素敵なダイナマイトスキャンダル』における各時代の描写はこの比にならないほど凄かった。
雑然としたデザイン会社の机で無造作に食べるカップ麺、こたつの上でも編集作業をする生活感、末井さんの奥さんのファッション、髪型、1980年前後のダサ可愛いエロ雑誌の素人の女の子、湖の湖畔のボートデート、ポカリスエットの缶からなど、あらゆるファッションや美術、小道具に時代の感覚がしっかりしっかり出ていた。
ストーリーがきちんとしただけならテレビドラマやアニメで十分。『素敵なダイナマイトスキャンダル』は久しぶりに時代の匂いがする映画を堪能させてくれた。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』 

「写真時代」や「パチンコ必勝ガイド」の編集長末井昭氏の同タイトルのエッセイの映画化。というか、「パチンコ必勝ガイド」を出すまでの末井さんを見事に映画化。
各時代のエピソードを出しながら時折トラウマのような実母の駆け落ち&ダイナマイト自殺エピソードを挿入。
キテレツな末井昭氏の人生と1955年から1980年代末期までの末井昭氏周辺の日本・時代の空気を見事に再現!
昭和30年代の岡山の田舎の雰囲気、空気、60年代後半の工場の現場やデザインの仕事の空気、70年代のキャバレーや雑誌編集部、喫茶店の風景など、微妙なくすみ具合がリアリティ。『ALWAYS 三丁目の夕陽』や『パッチギ』どころではない時代の生々しさが現れてた希有な映画だった。
この30年以上ににも及ぶ末井バイオグラフィーがどことなく寺山修司の『田園に死す』や天井桟敷チックな匂いもほのかにする。末井さんと寺山修司は邂逅してないはずだが不思議とそれを感じた。

リメンバー・ミー 

ピクサーお得意のひねりと道徳心くすぐりはあった。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』や『コープス・ブライド』との違いは音楽や「死者の国」などメキシコ的な文化をふんだんに取り入れ押し出した所。

中盤ぐらいまではピクサーにしてはぎこちなく引っ掛かりがある作品だったが、そのネタバレに当たる部分が豪快に効いた作品で、結果的にピクサーの作品として納得出来る。

音楽の素晴らしさはもちろんだが、邦題にもなっている「リメンバー・ミー」は『パッチギ』での「イムジン河」の泣き要素とフォー・シーズンスの「君の瞳に恋して」の製作秘話が重なったようなキラー・チューンでやはり作品の要になっていた。

映画が気になっている方は見て損はない。

じょ~い@えいがどん さんがブースト

グレテーテストショーマン
友人の勧めで鑑賞。前評判からしてクソ映画かと思ってましたが、案外良かった。
演劇のミュージカルをそのまま映画にしたような感じなので、少し物足りなさも感じつつではあるものの、普通に面白い。

とはいえ、LaLaLandがいかに偉大な映画であったか、というか、ダミアンチャゼルのセンス凄かったんだなと再確認した。
ミュージカルをそのまま映画にしただけだと、やっぱ、なんていうか、弱い。物足りない。。。
ディズニー映画とか、LaLaLandは、ミュージカルを映画にしただけじゃないんだよね。うまく言えないけど。。。

もういっちょ『ボストン・ストロング』 

このテロで主人公ジェフは両足切断からの再起という困難・苦難も十二分に描いているが、それ以上にテロ事件のトラウマ、PTSDの描写が非常に上手かった。
それこそ『ジャックナイフ』や『ランド・オブ・プレンティ』のそれに相当する。

両足の目に見える部分の演技も流石だが、精神的苦痛を出す部分もお見事だった。
さすがは『ブロークバック・マウンテン』、『ゾディアック』、『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールである。

『ボストン・ストロング』 

『パトリオット・デイ』と同じく2013年4月15日のボストンマラソンを題材に、被害者ジェフの再起のヒューマンドラマ。
このジェフのおかげで事件の犯人が捕まったことから「ボストン・ストロング」の象徴、英雄みたいに祭り上げられたが、そこからの人間ジェフ・ボーマンの再起を描いている。
ポイントは主人公ジェフの頑張りとか奮起ではなく、むしろ弱さやボンクラ、ダメっぷりを描いている。

また、このジェフを「ボストン・ストロング」の英雄として持ち上げようとする家族たちも実に人間臭く味わいがある。このボーマン家周辺のコミュニティに『男はつらいよ』の「とらや」周りのコミュニティのダメアメリカン版とでも言うか。このボーマン家、そして世間一般の人が抱く「ボストン・ストロング」の一人歩きっぷり、幻想による迷走も見所。そして何度も家族とジェフに振り回される恋人エリン。

これは単なるテロ事件の犠牲者のお涙頂戴ではない。重厚なストロングな人間のヒューマンドラマである。

『オー・ルーシー!』の閉塞感がある社会・日常に流されなんとなく英会話教室に辿り着く寺島しのぶにかつて『シャル・ウィ・ダンス?』がダブる。この英会話教室の生徒役で出てくる役所広司がこれに拍車をかける。

寺島しのぶ主演映画『オー・ルーシー!』、英会話教室に通う中年独身OLのアメリカ道中記。冒頭のホームのシーン、会社のシーンなどから日本社会特有の閉塞感や寺島しのぶによる中年独身OLのやさぐれ&ズレっぷりが見事に機能した秀作。

いい加減な英会話教室やジョシュ・ハートネット演じるジョンのキャラクターバッグボーンもしっかりしている。アメリカ在住の日本人監督の長編デビュー作にして、日本映画界に久しぶりに超新星が現れた!

『私はあなたのニグロではない』はまとめ方はいいし入門編にはいいが、個人的には踏み込みの足りなさを感じたアメリカ黒人史のドキュメンタリー映画だった

『フロリダ・プロジェクト』 

経済的に逼迫したシングルマザーの親子の日常をディズニー・ワールド周りの色彩豊かな風景をふんだんに使った映像センスで彩る。

絶えず食料・家賃・日々の銭稼ぎ・暑さしのぎなど、ディズニー・ワールドのそばでの暮らしがいつ終わるかわからないギリギリ感と周りの風景の美しさのギャップが心地好い。
そしてこうした諸問題の裏に隠されたキナ臭い事実が後半からじわりと出る。そこにはバイオレンス等の刺激的な物はないが、終盤になればなるほどじわりじわりと来る。

『フロリダ・プロジェクト』 

『タンジェリン』でトランスジェンダーたちの『ラブ・アクチュアリー』を見せたショーン・ベイカー監督の『フロリダ・プロジェクト』は前作とはタイプがまるで違う少年・少女とシングルマザーの日々の物語。型としては小津安二郎の『生まれてはみたけれど』や『お早う』タイプの子ども視点にタトゥーだらけでプータローのだらしないシングルマザーとの底辺ギリギリの逼迫生活プラスそれを厳しくも優しい眼差しで見つめる支配人、といった生活臭プンプンのドラマ。『ラブ・アクチュアリー』から一点、ダルデンヌ兄弟やケン・ローチのようなドラマをフロリダのディズニー・ワールド近くでやっているというのがポイント。

2008年に発生したサブプライム住宅ローン危機の余波に苦しむ貧困層の人々の物語とかまさにケン・ローチ的なアプローチ。前作の『タンジェリン』はトランスジェンダーというのもあったが、メインキャラクターらの根っ子の問題に経済の困窮もあった。
そして、今回の『フロリダ・プロジェクト』。まさかショーン・ベイカーがケン・ローチの弱者への優しい眼差しを引き継ぐとは……おどろいた!

LGBTのうちのTは『ボーイズ・ドント・クライ』、『トランスアメリカ』から『タンジェリン』、『ナチュラルウーマン』の時代にはなったが、まだまだ発展途上な印象がある。
ヨーロッパの移民問題やアメリカを中心とした人種問題から“寛容”“多様性”というのが新しい映画のテーマとなりつつあるが、そこにLGBTのTが深く食い込んで欲しい。
ちなみに、『スリー・ビルボード』、『君の名前で僕を読んで』と『ザ・スクエア』も“寛容”をテーマとして見れる、取れる。

『焼肉ドラゴン』は元々演劇版がある作品だが、親子の苦労エピソードなどに木下恵介の『喜びも哀しみも幾年月』やラストシーンに小津安二郎の『麥秋』が被る。最近の日本映画では見応えがある映画だった。

『焼肉ドラゴン』、焼肉屋さんの映画というか『血と骨』の姉妹作品のような色濃い在日韓国人の物語。泥臭く、重いエピソードが多いが、不思議と下町の愛嬌があるような映画だった。

『君の名前で僕を読んで』、わりとストレートなG、Bの映画だが、後半の周りの反応は「ほ~、そう来るか」という展開。悪くない。

『タンジェリン』の監督の新作『フロリダ・プロジェクト』。ディズニーワールド近くの安モーテルに住むシングルマザーの母娘の日常をベースにしたドラマ。“夢の国”の灯台もと暗しなド底辺ライフにじんわりとした感覚が心地好い。キナ臭さやアクションはほとんどないがそこがまた味がある。

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