12月7日公開の『旅するダンボール』を見た。
段ボールから財布を作る島津冬樹さんにスポットを当てたドキュメンタリー。
何よりも島津さんの物の見方、価値観、発想に驚かされる。
段ボールのドキュメンタリーというのでシズル感が非常にわきにくいが、見たら驚く。みうらじゅん的な感覚。心に響いた。
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『蜘蛛巣城』(1957)をDVDで。
例によって贈答用の英字幕付きが格安で出ていたので押さえで買った。よく言われることだけど、黒澤映画は劇的な盛り上がりから活舌が悪くなったりするシーンも多いことから、ところどころ英語字幕のお世話になってしまった。本当に必要なのは日本語字幕。ランタイム110分と、普段見ているものと比べれば短く、ちゃちゃっと見られそうなのに、途中息苦しくて何度か止めた。この息苦しさは何だろうと思ったが、ホラーのそれだったのではないか。通常ホラーを見る際と違い、既に粗筋・結末を知っているにも拘らず、やはり怖い。グロテスクな描写がないのに怖い。つまりホラーとして、より厳密にはサイコホラーとしてよく出来ているということ。有名な矢の雨あられシーンはもちろん凄いが、それよりも「森が動く」シーンの、冷え冷えとした湿気が足元から這い上がるようなあの感じが心に沁みた。それにしても、「●●が起きない限り、お前は死なない」(●●は通常物理的に不可能な事象)と言われて、まさにその●●が起きるというの、Bhakta Prahladaを否応なく思い出すけれど、ああいうプロットは世界共通のものなのか。
『ファーストマン』
いやー、月面着陸の重みを映画館で感じさせる。ジェミニ計画参加から約9年もの間を一気に駆け抜ける。
アポロ11号に至るまでのドラマは若干駆け足気味で『ドリーム』や『ライトスタッフ』と比べると淡白だが、この映画的にはそういう感動ドラマを狙ったわけではない。
とてつもない距離と時間と時代、その間に起こった幾つもの苦難のミッションと妻&子どもたちの家族のドラマなど、そういうのを一切合切詰め込み、その要所要所を感じることで、終盤に訪れる月面のグラヴィティを感じさせてくれる。
それは『2001年宇宙の旅』が50年経った現在でも通じるように、『ファーストマン』は50年もの時空を越えて月面の地の重みを映画館で感じさせてくれる。
『ゼロ・グラヴィティ』のラストが地球の重力なら『ファーストマン』は月面と時代と家族の重さ。
これである。
スティーブン・スピルバーグ提供