Celluloid Man (English - 2012)をNTFXで。
垂涎の156分だが日本語字幕は酷い。英語字幕で見た方がストレスはなかったはず。とはいえ、登場する人物の8割が英語をしゃべっているので、字幕がついているのは多分残りの2割だけと思われ、痛し痒し。固有名詞のカタカナ表記も酷いが、セクレタリアット(州政府庁舎)を事務局としているとか、一般的な翻訳にも問題あり。これは訳者というより愛のない発注・検品者が悪い。インドの映画人に対する「自転車泥棒」と「羅生門」の巨大なインパクトが分かって面白い。第一線の映画人が語り部として登場するのが壮観だが、ニーナーサム演劇学校との繋がりで、アーカイブの映画を見ることになったカルナータカのド田舎の農民の話が非常に印象的だった。この村人が語っていた「ふくろうの村」という外国映画が気になったのだが、ちょこっと検索しただけでは何もヒットせず。気になる。やはりPKナーイルの著書YESTERDAY’S FILMS FOR TOMORROWは何としてでも入手しなくては。
Loev (Hindi - 2015) をNTFXで。
全く予備知識のないところにポスター一枚でイチコロになった。来れのためにNTFX加入したようなもの。そして期待を裏切られなかった。三人の男のゲイロマンス。っしかしカミングアウトだとか家族との緊張とか、よくあるモチーフは全くない。普通に考えたらありえない微妙に揺れ動く三角関係を説得力をもって描く。MH州のロケ地には行ってみたい。 https://eigadon.net/media/N6oc14-gLanyOzOspYo
『牯嶺街少年殺人事件』
ずっと観てみたいと思っていたがVHSを手にするまでには至らず今回念願の初鑑賞を体験できた。とてつもない映画体験だった。青春映画でもあり暴力映画でもありノワール映画でもあり恋愛映画でもあり何より家族映画だった。
確かに236分は長いし途中うとうとしたところもあったが、この長さがないと行けない所まで連れて行かれた感じだ。暗く閉塞的で不穏な空気がずっと流れているのにも関わらず、いつか自分があの場所で青春時代を過ごしたことがあるかのような郷愁にかられた。
おそらく何回観ても全容を把握することはできないのではないか。登場人物が多く様々なイベントがいきなり放り込まれるので、話の本筋が全然掴めない。世界がごろっと無造作に横たわっているような感覚。そして全てがクライマックスに繋がったときの衝撃。
監督自身は188分版を決定版としていたそうなのでそれもいつか観てみたい。
Onaayum Aattukkuttiyum (Tamil - 2013) をオンラインで。
やっと字幕付きで見られた。しかしここまで単純な話だったとは。2時間23分のうち、台詞が喋られていたのはせいぜい30分ぐらいじゃないだろか。それなのに原語脚本は620ページもあり、ト書きでびっしり埋められ、絵コンテが連なる。所々に、全く関係ない写真(黒澤明のポートレートとか)が混じっていて、つまりこれはミシュキンのポエム帳なのだと思った。主演のミシュキンがカメラを正面から見て告白するシーン以外は、全てがクール。単純なスト―リーの中に現れる各種モチーフ、静まり返る夜の街路、行き倒れとそれをスルーする冷たい人々、無情な殺し、障碍者の物乞い、ミシュキンの集大成といった趣き。