『牯嶺街少年殺人事件』
ずっと観てみたいと思っていたがVHSを手にするまでには至らず今回念願の初鑑賞を体験できた。とてつもない映画体験だった。青春映画でもあり暴力映画でもありノワール映画でもあり恋愛映画でもあり何より家族映画だった。
確かに236分は長いし途中うとうとしたところもあったが、この長さがないと行けない所まで連れて行かれた感じだ。暗く閉塞的で不穏な空気がずっと流れているのにも関わらず、いつか自分があの場所で青春時代を過ごしたことがあるかのような郷愁にかられた。
おそらく何回観ても全容を把握することはできないのではないか。登場人物が多く様々なイベントがいきなり放り込まれるので、話の本筋が全然掴めない。世界がごろっと無造作に横たわっているような感覚。そして全てがクライマックスに繋がったときの衝撃。
監督自身は188分版を決定版としていたそうなのでそれもいつか観てみたい。