Sabar Bonda (Marathi/2025)をヒュートラ有楽町で。 

フィルメックスのコンペ作品、邦題は『サボテンの実』。バカっぽい感想だけど、アート系リアリズム映画なので、台詞がぶっきらぼうで縦字幕でも余裕で訳せる。字幕はFM氏。普段見ている作品はリアル寄りに見えてもやはり台詞には作為性が高いんだと思う。30過ぎたゲイ青年が父の葬式を行うため遺体と共に村に戻る。村の葬式は古風で厳格なため、10日の服喪を耐え忍ばなければならない。青年はムンバイ暮らしだが、おそらくコールセンター勤務で特に裕福ではなく、また亡き父も運転手をしていたので下層あるいは中流の下位といっていい。しかし両親は慎重にタイミングを選んでしたカミングアウトを何とか理解した。祖父により利発だったと言われた田舎の叔母は正反対に他の親族と共に若者の未婚を責める。田舎の幼馴染はヤギの放牧でカツカツの暮らしをしているが、実はゲイであることが分かってきて二人は心を通い合わせ、情を通じるが、それがリアルなのか夢なのかは曖昧。都会の青年のアップがやたら多いのに対し、田舎の恋人の方は最後まで顔がよく分からなかった。Sairatの音楽。

Sumathi Valavu (Malayalam/2025)をオンラインで。 

タイトルの「スマティのカーブ」はトリヴァンドラム近郊Mylamooduの実在のホラースポット。1950年代に妊娠した女性が恋人の手で殺された場所であるという。それ以降、夜間に通行する車のライトが消えたり、バイクのライダーが放り出されたりすることがあるという。しかしそれは、怪談に付け込んだ犯罪者の仕業との説もある。作中に何度かヤクシーという語が口走られるが、伝統的なそれではなく、いわば現代のヤクシーの話。ストーリーは古典的で、ぬるま湯の田舎コメディーの中にお決まりのあれこれをそつなく配置して進む。祟る霊というよりは、正義の味方に近い。思わせぶりにトライブにも言及されるが、効いていない。批評はほぼコテンパンだが、それでも興収で10位につけ、パート2が計画中。アルジュン・アショーカンは前年のBramayugamで初めて俳優として認識したが、同じホラーでも振れ幅がすごい。しかしお人好しの田舎者を演じられるヒーローとして貴重ではないか。ヒロインのマーラヴィカ・マノージは子役かと思った。シッダールト・バラタンは無駄遣い。

Baahubali The Epic (Telugu/2025)の最終興収なる数字。 

Telugu States – 23 crores.
KA, TN, KL – 9.80 crores.
Hindi – 8.45 crores.
Overseas – 12 crores.

Total collections — 53 crores. #1 Highest ever for a re-release.
日本の興収はカウントする気がないのか。
x.com/letscinema/status/199105

Neeli (Malayalam - 2018)をDVDで。 

アルターフ・ラフマーンはデビュー監督。本作はほとんど話題にならなかったので、これ一本で消えたか。冒頭のレイプで殺された女性が祟るエピソードは本編と関係ない。若い未亡人が愛娘とともに実家のカッリヤンカーットゥのタラワードに戻る。祭りの晩にその娘は何者かに誘拐されて行方不明になる。同時に彼女の身の回りには超常的な気味悪い出来事が起こり始める。そこでゴーストハンターのレニーが登場し、秘められた闇の領域に迫る。要約して書けば正統派ホラーに見えるが、実見するとちぐはぐなエピソードの連なりが苦痛。特にラストの種明かしとも言えない開示は何なんだというもの。あまり登場シーンが多くないニーリはフレンドリーゴーストという位置づけか。マムタが演じるラクシュミにもニーリの伝説との重ね合わせはある。となるとゴーストハンターはカダマッタット・カッタナールということになるのか。ムスリムらしき霊媒師の女性の大仰な芝居がクサすぎる。しかもこの霊媒師が夜は戸締りして一歩も出るなと言ってるのに夜の森がクライマックスだし。二人のコソ泥のコミックリリーフも利きが悪い。

Red Rain (Malayalam/2023)をDVDで。 

(Malayalam/2013)だった。

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War (Hindi/2019)をDVDで。 

邦題は『WAR ウォー!!』。これまで食指が動かなかったのを続編のために見たが、長くて疲れた。邦人レビューを読んで、WARとはRAWのアナグラムであることを知る。しかしこれ、シッダールト・アーナンドのアクションの中では一番いいんじゃないか。北氷洋でスーパーカーのチェイスをするような荒唐無稽と踊りなどの娯楽要素と体を使ったアクションの配分が、Bang BangやPathaanよりもうまくいってる気がする。ありえない超絶の整形手術というのはもしかしてYevaduからいただいたか。まあ、ヒロインにあたるキャラクターが本当に最初から死亡フラグおっ立てて登場するとか、粗はいくらでもあるけど。ヒロインの重量感あるダンスは良かった。しかし民間スパイにかなり酷いことを頼む。逐一モニタリングできるくらいなら自分で何とかしろと言いたい。タイガーも役者としては見せ場が十分あったけど、ハーリドというキャラクターとしては随分な扱いだった。しかし彼の前半のウルウルは役作りだったとしても見ていて嬉しくない。アクションとしてはリスボン市街のバイクチェイスが一番良かったかな。

分かってはいたけど、それにしてもボリウッド 

がプロパーの人たちが持つ俳優の身体性に対する認識のつまらない均質さにはあきれる。大先生にしてからがジュニアの「デブ時代のもの」をいくらやっても仕方ないというような考えを隠しもしないし、笑えると思ってる。別のボリ・プロパーの人なんて、WAR2ですら、「リティクと並ぶと(鍛えてるとはいえ体が貧相で)可哀そうとか言ってた。彼らがそうだということは、北インドの観衆も大体そんな感じなんだろう。デブ時代から贔屓にしてきたこちらとしては、何言ってんだ、だが。あの丸々とした童顔の若造が持つ演技力と秘められた底知れない業の淀みを見抜き、全面的に受け入れたテルグの衆の見識の高さはすごいのだ。
cinemaasia.hatenablog.com/entr

マ映画鑑賞本数。 

2012:55/2013:55/2014:38/2015:38/2016:23/2017:20/2018:17/2019:20/2020:09/2021:12/2022:09/2023:09/2024:14/2025:12(暫定)。今年はまだ10年前の半分も行ってない。DVDメディアの消滅、コロナ禍、ブログでの紹介をやめたこと、肉親のあれこれ、それに業務の多忙でこんなことになった。何か論じるにはまず本数を見ていなければならないのに、これではいけない。

Red Rain (Malayalam/2023)をDVDで。 

近年快作を連発してホラーの第一人者になりつつあるラーフル・サダーシヴァン監督のデビュー作。低予算で製作された本作が興行的に失敗したあと2022年Bhoothakaalamまで沈黙した。何とも言えない奇妙な映画。2001年に実際にイドゥッキで起きた、赤い雨の降雨と火を吐く何かが空を横切った事件に想を得ている。科学者が恩師の孫娘、弟分の青年、2人のイタリア人とともに、侵入禁止の山中に分け入り、恐怖体験ののちに地球外生命体と邂逅するという物語。ドラマとしてはダメダメで、101分しかないのは途中で資金が尽きたからなのかと疑わざるを得ない。科学者の行方不明の弟のエピソードが宙ぶらりん、道行の意図も不明。道中の沿道での不気味なあれこれも雰囲気を盛り上げるだけで終わっている。邂逅後を端折りすぎ。シャーリの顔が怖い。地球外生命体がチャチ。しかし冒頭パーラッカードでの不可思議な火柱が空を横切るシーンの予兆に満ちた描写は見事。途中からフッテージものの技法が挿入される。無音や、生活音の一部だけを抽出するような音響処理も含め全体としてホラーの作り。

Avihitham (Malayalam/2025)をオンラインで。 

Padminiでほほうと思ったセンナ・ヘグデ監督の最新作。僅か100分超。カーサラゴードのど田舎カーニャンガードが舞台。家を離れて泊まり込みで働くことの多い宮大工の男の妻が隣家の男と不倫をしている(ただし女の顔ははっきりとは見えない)のを目撃した近所の男が、宮大工の家に恩義がある仕立て屋にそれを打ち明け、次の夜には2人で張り込み、疑惑を確信に変える。そして2人は不倫妻をとっちめなければならぬという使命感に燃え、夫やその父の棟梁などに知らせ、さらに多くの人とそのことを共有することになる。この間のPonmanでもそうだったけど、「スーパーマンでも聖人君子でもない、欠点もあるカタギの一般人」の許容範囲がどう考えても日本人よりも広い。そういう意味でマラヤーラム語映画の世話物は怖い。ただまあ、限界集落ヴィレッジ・ホラーにもなりえる素材を本作はギリギリのところでコメディーにしている。カーニャンガードは調べてみれば景勝地もあるエリア。舞台となる家を取り囲むのは緑豊な自然だが、美しさよりは田舎の退屈さの方が印象に残るようになっている。

Padakkalam (Malayalam/2025)をオンラインで。 

現地で評価が二分された面白い例。学園を舞台に、黒魔術を使い学内政治で優位に立とうとするキレ者教授と、そのライバルの色々問題を抱えた教授、黒魔術の場を偶然覗いてしまった冴えない奥手の学生と仲間たちが繰り広げる三つ巴騒動。魔術遣い教授から呪物を盗み出した学生が呪物に手を加えるとボディスワップが起きてさらに混迷する。学園物との組み合わせとか新機軸はあるが、昔から連綿と作られてきた黒魔術映画のバリエーション。ボディスワップが3人の男の間で起きるという設定により芝居を見る楽しみが増幅し、シャイフッディーン、スラージ、サンディープ・プラディープがそれぞれに上手かった。特にシャイフッディーンはもう少し注目しようと思った。怪異の起きるロジックは、科学的にはもちろん、劇的必然性もなく、ストーリーを動かすためだけにあるご都合主義のでたらめだけど、とりあえず笑えたし、スワップが起きてからも借主が酒を痛飲すると体の元の持ち主が急性アルコール中毒で倒れるるなど全く意味不明。ラストシーンで「何を期待してるんだ、第二部はないぜ」というのが笑えた。

Ponman (Malayalam/2025)をオンラインで。 

知人が激賞と聞いて。先日再見のMangalyam Thanthunanenaに続き、金の宝飾品へのオブセッションを描くものだった。冒頭のコッラム讃歌は面白い。KUBOの世話物に特徴的だが、ヒロイズムを体現した登場人物がおらず、誰もが強欲・虚言・自己中心・暴力などの欠点を持つ一般人なのだが、その許容範囲がどう考えても日本人よりも広い。借りたものをごまかして返さないという時点でヒロインの一家は極悪サイコパスだと思うが、決定的な罰は与えられない。見る文化人類学だ。ラテン・カトリック家庭での持参金をめぐるハードコア・コメディー。結婚式出席者が祝い金を出す習慣や、ダウリの金製品ブローカー業は初めて知った。三分の一ぐらいから登場するアジェーシュは見かけはともかく、超人ヒーロー然として不敵な笑みを絶やさず、肉体的に優位な相手に対しても仕掛けたり挑発したりするが、いざ戦いになると全然強くない。不敗のスピリットだけがある感じ。マラヤーラム語映画はコメディーの体裁で一般人に潜む獣性を淡々と描く。 極悪島のロケ地はMunroe Thuruthu。

2025.11.19現在の日本の映画興収ランキング。 

鬼滅・国宝・コナン~と40位までランキング表示。40位の「事故物件ゾク 恐い間取り」が10億円。そこから0.01億円まで並び、インド映画は0.1億円の『KILL 超覚醒』(封切り1週目)だけが書きだされている。ツ社のどんな作品ものってこなかったか。
pixiin.com/ranking-japan-boxof

Andondittu Kaala (Kannada/2025)をオンラインで。 

昨日ユヴァを見たから、試しに兄のヴィナイを見ておくかと思ったが失敗した。2時間ないのにダレダレ。どうしようもなく組み立てがヘタ。2021年に撮影開始した(プニートがゲストだった)のが遅れに遅れてやっと今年公開された。田舎の映画館の映写係の息子に生まれた男が、プッタンナ・カナガールに憧れて監督を志望し、大志を抱いてバンガロールに出て、苦しみながら映画監督として独り立ちして成功者になるまでを描く。本作でデビューの監督の自伝的要素があるらしい。お約束の悪の巷としてのバンガロールの描写、愛をめぐる問答、おかんセンチメントもあり。しかし、ヴィナイの生硬な芝居、テーマのふらつき、とってつけたようなカンナダ語礼賛、不必要なフラッシュバックなど、色々酷い。アルジュン・ジャニヤやラヴィ・ヴァルマンの壮絶な人生を読んでいると、作中の苦労などお遊びにしか思えない。ゲストで自身の役でラヴィチャンドランが出てくるが、そのトークショーのシーンがまた長い。唯一よかったのはハーサン県マヴィナケレという設定のロケーション。実際の場所だろうか。

Ekka (Kannada/2025)をオンラインで。 

前日のVaamanaがアレすぎたんで、とてつもなく素晴らしく思えてしまう。初めて見たユヴァ・ラージクマールは本作が実質的に第二作目という。見た目はもっさり平凡だが、カンナダの平均値からすると華がある方か。これもまたアンダーワールドもので、田舎からやってきた純朴な若者が大都会バンガロールの洗礼を浴びて、都市の文化や豊かさを享受する前に犯罪組織に絡めとられ、ご都合主義的な身体能力の高さから、たちまち若頭に上り詰めるというもの。多少工夫したのは、田舎でも人を騙すことが横行している現状を描いたこと、ツインヒロインがどちらも冷蔵庫に詰め込まれなかったこと(しかし似すぎて見分けがつかない)か。バンガロールのメインの舞台はシヴァージーナガラか。00年代には一応ヒーロー役だったアーディティヤがキレ者風の警察官としてカッコつけて登場するが、不発気味。最終シーンなんて自分じゃ手を汚さずに主人公の復讐にタダ乗りしてマフィア一掃を図るとか、カッコよくない。ラージクマールへの言及は懐メロソングを流すぐらい。リードペアがベナレスで別れ別れになる理由の説明なし。

Memo:『鬼滅の刃』日本映画史上初の全世界興行収入1000億円突破 

公式から。

<日本国内>
観客動員:2604万5587人
興行収入:379億2758万9200円
※7/18~11/16までの公開122日間

<全世界>
累計観客動員:8917万7796人
総興行収入:1063億7056万8950円
※1ドル=145円換算
※11月16日時点
x.com/toho_movie/status/199036

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映画としての評価の前に、ゴアとして 

耐えられるか無理かという部分でもっぱら話題になってる『KILL 超覚醒』、たぶん『TKF』や『HIT3』を見た自分なら平気なのだろうけど、『TKF』も『HIT3』も、まあ何とか大丈夫だったというだけで、特に楽しくはなかった。なので『KILL』もスルーでいいかもしれない。

Memo:『鬼滅の刃』日本映画史上初の全世界興行収入1000億円突破 

7月18日の日本での初日から16日までに興行収入379億2758万9200円、全世界で4億7202万550ドル(684億4297万9750円。1ドル145円換算)を記録。日本を含む全世界累計の興行収入が1063億7065万8950円となった。

ちょうど1カ月前の10月17日に、同13日までに、日本を含む全世界で興収が約948億円(6億5400万ドル=1ドル145円換算)累計観客動員7753万人、を記録し、2025年に公開された全ての映画の中で、現時点で全世界興行収入5位となったと発表していた。
news.livedoor.com/article/deta

Vaamana (Kannada/2025)をオンラインで。 

全く知らない若手俳優ダンヴィール・ガウダが主演。すでに5年以上のキャリアがあると知るが、いいところなし。ぎこちない童顔、表情に変化なし、ダンスも下手、背は高いようなのにそれを感じらせないずんぐりとした体躯、通常ならヒーローにぶちのめされるモブのグンダーの一人でしかないタイプ。ダルシャンに心酔していることを作中でも明示しているが、コネか何かあるのか。ベタベタのありきたりアンダーワールドものでもシュリームラリがやればさまになったかもしれないけれど、このニイちゃんでは無理。2つの対抗するギャングの片方の下部組織で鉄砲玉として殺しなどを常習している男が、対立組織するトップに手をかけ、結果としては自分が属する方の組織もせん滅する。その過程で何回かの捻りも加わっているが、どれもダレダレ。警官・ギャングを問わずアクションの前に長々と決め台詞を口にするスタイル。ダシャーヴァタールから始まり例によって神話からの引用が多い。主人公がなぜ堅気女性から惚れられるのかも説明なし。アチユト・クマールやターラがこのレベルのものにも出てるかと思うとクラクラ。

Grobe Trotterのティーザー&タイトルお披露目式典、 

結局最後までダラダラ斜め見してしまった。うむむ、結局神懸かったテイストのものになるのか。マヘーシュを主役にしたお洒落な諜報部員が世界を股にかけてアクション行脚する、いうなればDookuduの冒頭部をパワーアップしたようなものになるのかと思ってたので肩透かし。それにしても、あれほどの盛大なイベント、世界に向けた発信でも、基本的にテルグ語で行うというのに感銘した。そしてまさかのプロジェクタ不調。現場担当者の胃のキリキリを想像してこっちもキリキリ。間を持たすためにあれこれアドリブしてた中で、SSRが明かしたティーザーのリークが衝撃的だった。SNSタイムラインにもイベントが始まったばかりの時点でそのリーク画像を得意げにシェアしてるアカウントがあって???状態だったのだけど、そういうことか。日本語の公式実況twも色々酷かった(スクラーマンとか)。

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映画ドン-映画ファン、映画業界で働く方の為の日本初のマストドンです。

映画好きの為のマストドン、それが「映画ドン」です! 好きな映画について思いを巡らす時間は、素敵な時間ですよね。