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Kalloori (Tamil - 2007)をDVDで。 

百万言を費やしても外国人観客には実感として理解されにくい、絶望的なまでの階級差を、登場人物の肌の色で一瞬にして説明する映画の力。短い大学生活を懸命に生きる学生たちが、カーストのことを一言も口にしないというのも、学園もの特有のリアリティ。

Sarbjit (Hindi - 2016)をDVDで。 

骨太系現代史ドラマなのだけれどやや退屈した。敵対的な外国で無実の罪でとらわれるという筋書きからどうしても『神に誓って(Khuda Kay Liye)』と比較してしまうが、後者にあった大きなうねりのようなものがない。事実上の主人公であるアイシュが喧がしすぎるという批評もあったが、意図的な演技なのだと思う。ただ、自分を取り巻く世界の情勢に無知な田舎の主婦が、やがて弁舌の達者な運動家になっていく過程が省略されすぎて、いきなりの豹変が唐突かもしれない。人道的見地から解放されてインドに戻った爺さんが、捕らわれた際に何をしていたのかを問われて「スパイしていた」とか言っちゃうエピソード(実話なのだと思う)が一番印象に残った。

Chinna Gounder (Tamil - 1992)をDVDで。 

これもやはりラスト1/3で韓流っぽい展開になってバタバタと終わるのだが、そこに至るまでの呑気な農村の人間模様がとてもいい。久しぶりに田舎映画の幸福感に包まれた。

Kranthiveera Sangolli Rayanna (Kannada - 2012)をhotstarで。 

いわゆるPolygar Warsものの一つとしてどうしても見ておきたかった一作。宝塚調のキラキラ衣装のスチル写真を見て、嫌な予感はあったけど、低迷一途のダルシャンの出演作としては評価が高い方でもあるので、2時間50分を頑張った。しかしまあ、例によって金の使い方を間違えてる。一番の謎は、キットゥールのチェンナンマ王妃とラーヤンナの強い紐帯のよって来るところが全く説明されないことか。マレナード出身のラーヤンナがどのようにしてキットゥール王家のお抱えとなったのか。そして両者ともに愛国演説を絶叫しているばかりで単調。反英闘争において、キットゥールのためにでもなく、インドのためにでもなく、カルナータカの大地のために戦うというのはカンナダ映画のお約束。意外にも二色旗のソングシーンはなかった。ヒロイン然として登場したニキータが、主人公の死を待ち望む人物として後半に再登場するアイディアは面白い。

Amman Kovil Kizhakale (Tamil - 1986)をDVDで。 

一言でいうと韓流ドラマ。こんなに簡単に説明できてしまうのもどうかと思うが。劇中歌Poova eduththuの中にあるkalyano kaccheri eppodhuというフレーズは、O Kadhal Kanmani (Tamil - 2015)のラストソングに引き継がれているか。それもカンマニというヒロインの名前もか。

Samurai (Tamil - 2002)をYTで。 

辛抱強く探せば質のいいDVDがあるはずなのだけれど、急いでいたため止む無くYT字幕なしテルグ語吹き替え版で見る。イマイチな出来なのは予想できていたのだが、見終わって何か変と思って、ハタと気が付いた。ソングが全4曲中3曲もカットされてる。で、ソングだけはタミル語の公式動画があったので、後からまとめ見した。こういう滅茶苦茶な鑑賞もこんなものと受け流せる程度に自分も大陸化してる。

川口スキップシティでDuvvada Jagannadham (Telugu - 2017) 、英語字幕付きで。 

設定が雑で笑いどころが子供っぽいのはマイナス。バニーの踊りはどれも良かった。踊りがうまいので難易度高いステップなのに、何でもないことしてるように見える。数々の残虐アクションを正当化するに足りる、クライマックスでのエモーションが見当たらない。いずれにしてもスキップシティの映像は神。60点の映画を75点までもっていく。イマイチな日本語字幕+ブルーレイ画質で映画祭上映されるのを見るよりも、絶対こっちをとる。

Thithi (Kannada - 2015)をNTFXで。 

カンナダ映画界を超えて絶賛された一本だけど、どんなものか。「マレナード物語」の世界に近いものがあって好きなはずなのだけれど、調子っぱずれのブラスバンドを持ってきて可笑しみを出すところなど、いかにもなフォーミュラを見せられている気もした。誰からも顧みられることのない性格の悪い老人が、101歳まで生きて枯れ木が倒れるように死んだということをもって一時的に重要な存在となり、村落共同体を結びつける要となった、というのが煎じ詰めた本質か。

Celluloid Man (English - 2012)をNTFXで。 

垂涎の156分だが日本語字幕は酷い。英語字幕で見た方がストレスはなかったはず。とはいえ、登場する人物の8割が英語をしゃべっているので、字幕がついているのは多分残りの2割だけと思われ、痛し痒し。固有名詞のカタカナ表記も酷いが、セクレタリアット(州政府庁舎)を事務局としているとか、一般的な翻訳にも問題あり。これは訳者というより愛のない発注・検品者が悪い。インドの映画人に対する「自転車泥棒」と「羅生門」の巨大なインパクトが分かって面白い。第一線の映画人が語り部として登場するのが壮観だが、ニーナーサム演劇学校との繋がりで、アーカイブの映画を見ることになったカルナータカのド田舎の農民の話が非常に印象的だった。この村人が語っていた「ふくろうの村」という外国映画が気になったのだが、ちょこっと検索しただけでは何もヒットせず。気になる。やはりPKナーイルの著書YESTERDAY’S FILMS FOR TOMORROWは何としてでも入手しなくては。

Loev (Hindi - 2015) をNTFXで。 

全く予備知識のないところにポスター一枚でイチコロになった。来れのためにNTFX加入したようなもの。そして期待を裏切られなかった。三人の男のゲイロマンス。っしかしカミングアウトだとか家族との緊張とか、よくあるモチーフは全くない。普通に考えたらありえない微妙に揺れ動く三角関係を説得力をもって描く。MH州のロケ地には行ってみたい。 eigadon.net/media/N6oc14-gLany

『インド・オブ・ザ・デッド』(Hindi - 2013)をNTFXで。 

A認定は必至と割り切って、アダルトでダークな笑いに徹したのが勝因。しつこく画面に表示される煙草・飲酒の害にたいする警告をNTFX上の映像では消す処理がしてあったが逆効果ではないか。あの警告を表示しながら好き放題やるところに味があったのに。

Devara Naadalli (Kannada - 2016)をDVDで再見。 

余所様にお勧めするために再見したのだが、正直なところ自信がない。手法としては『裁き』に近いが、あれほど徹底的に客観視ができていない。アートフィルムの評価は難しいわ。

TUFS Cinema南アジア映画特集@東京外語大で「わな おじいちゃんへの手紙」を。 

監督インタビュー映像が流れ、この作品は「自分の心の奥底から絞り出されたものだ」という意味のことを言っていた。しかし、様々な観点から、この作品は極めて作為的に構成された、映画祭サーキットを見据えた作品に思えた。

プロデューサーに「製作」の文字を当てるの、いまだに馴染めない。モノクロ時代の日本映画だと「制作」つかってたような気がする。どこで逆転が起きたのか。

DVD再生に特化のディスプレイなら三菱製という評判を聞いたけど、もう生産終了して通販に並ぶのは中古品ばかり。どうしたものか。

Kismath (Malayalam - 2016)をDVDで。 

マラーティー映画Sairatへのケーララからの返答などとも評されているが、どちらかといえば『裁きThe Court』を思わせる、脱ドラマな語り口に恐怖を忍び込ませる手法。そしてラストシーンはAnnayum Rasoolumを意識しているか。異教徒間恋愛ものとしては画期的だし、最近のダリト映画としても注目すべき一作。Devara Naadalliとの関連も忘れないようにすること。

PeriploEiga さんがブースト

『牯嶺街少年殺人事件』
ずっと観てみたいと思っていたがVHSを手にするまでには至らず今回念願の初鑑賞を体験できた。とてつもない映画体験だった。青春映画でもあり暴力映画でもありノワール映画でもあり恋愛映画でもあり何より家族映画だった。
確かに236分は長いし途中うとうとしたところもあったが、この長さがないと行けない所まで連れて行かれた感じだ。暗く閉塞的で不穏な空気がずっと流れているのにも関わらず、いつか自分があの場所で青春時代を過ごしたことがあるかのような郷愁にかられた。
おそらく何回観ても全容を把握することはできないのではないか。登場人物が多く様々なイベントがいきなり放り込まれるので、話の本筋が全然掴めない。世界がごろっと無造作に横たわっているような感覚。そして全てがクライマックスに繋がったときの衝撃。
監督自身は188分版を決定版としていたそうなのでそれもいつか観てみたい。

Dora (Tamil - 2017)をオンラインで。 

ナヤンターラにLady Superstarの冠が付いていたのを初めて認識した作品(遅すぎか?)。ホラー仕立てのリベンジもので、ナヤンとリベンジの主体とが完全に重ならないのが脚本的な弱さ。しかしスーパースターに相応しい「スタイル」の数々をナヤンがこなすのを見るのはやはり楽しい。

Swarna Kaduva (Malayalam - 2016)をDVDで。 

寝技を駆使して這い上がろうとした男が色々あって最後に改心するという定型的ストーリーながら、ビジュ・メーノーンだけで魅せる。Vaasthavamの焼き直しと言われて頷いたが、こちらではシニズムに裏打ちされた笑いが増量。

Pisaasu (Tamil - 2014)をDVDで。 

これで4回目ぐらいになるか。ホラーとしては失笑ものの描写が多く、うまくいっている箇所も外国ホラーの模倣。それでもこれが忘れがたい一本になっているのは、濃厚なタミル的センティメントのせい。この感じはやめられない。

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