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NGK (Tamil - 2019)をイオンシネマ海老名で。 

セルヴァラーガヴァン監督作という以外前情報を仕入れずに臨んだけど、最近流行りつつあるように見えるポリティカル・スリラーだった。現地評はかなり厳しい。後半、特に結末の分かりにくさが原因だと思う。分からないから色々レビューを読んだけどどれもスルーしていて、要するにインド人にも分からなかったのではないか。NGKという主人公の名前はMGRやNTRを思わせるが、ラストのインタビューシーンではなぜかジャガンモハン・レッディを思い起こさせた。Mudhalvan、Iruvar、NRNM、Sarkarなど先行作品からの引用多数。高学歴で理想主義の若者が、変わらない現実に悶え、政治家の身分を得ることで可能になるショートカットに刮目させられて政界に進むという、地獄巡り系。前半はゾクゾクする面白さ。後半で不可解な靄に包まれる、モヤモヤした気分で終わる。全編通して特に重要なのは「シンパシー・ファクター」というやつ。主人公の属する政党がもろにDMKのもじり。ジャヤもカルナもいなくなったタミルの地では、政治風刺をオブラートにくるむ必要がなくなったかのよう。

Bharat(Hindi - 2019)をイオンシネマ市川妙典で見てきた。 

これは予習で原作を見ない方がよかったのか。ともかく大味。そもそも主人公の名前をBharatとした時点で、こいつは無敵で無謬で老いて萎れることなど全くない奴なのだ。原作の主人公のようにやがては巷間に朽ちて地の塩となるという未来の暗示はない。原作にあったセンチメントを盛り上げる要素はことごとく改変されていて、しかもそれがインドの風土に合わせた改良とは思えず。たとえば冒頭の別れのシーンのもたつき。そもそも父親役をジャッキー・シュロフにやらせること。あと、原作では、生き別れになった妹が、かつての愛らしさの片鱗も残さないくたびれた中年女として現れ、しかも言葉が通じないという無残さが胸を打つのに、あんなことになってるし。原作でのベトナム行はよく分からないお気楽航海記だし。冒頭の別れのシーンだけは現代史だったけど、それ以降のエピソードに時代精神はあまりない。同棲にまつわるエピソードは、いわゆる楽屋落ちか。前半の曲芸バイク乗りのシーンで観客の一人が変に長々とアップで映るのはなんだったのか。てっきり有名人(AB?)だと思ったけど。

国際市場で逢いましょう(韓国ー2015)をアマゾンで。 

今週末に見るBharat(Hindi - 2019)の原作だというので。まあ不純な鑑賞と言っていいだろう。エピソードごとにここはサルマーン版ならどう置き換えられるかとか予想しながら見てたし。発端になる興南(現在の咸鏡南道咸興市)のエピソードは、どう考えても現在のパキスタン領パンジャーブだろうし。現在地としての釜山の市場はやっぱムンバイだろうとか。儒教的価値観の中での家長の務めというのを10歳にもならないうちに背負い込んだ男の一代記。泣かせのポイントは波状攻撃で幾度にもわたってやって来るが、ラストの死者との対話のシーンがいい。死者の前で初めて素直になる人間というコンセプトがやはり好もしい。そして冒頭の市場を舞う蝶の意味が分かることになる。激動の勧告現代史というふれこみだが、この作品におけるソウルは離散家族再会プロジェクトの舞台であるという以外にはほとんど現れず、インパクトがない。これはユニークなスタイルだと思った。あと、老けメイクの上手さだ。ゴム製のマスクみたいな変なことになってる老けメイクを日頃見せられてるもんだから新鮮だった。

Elippathayam (Malayalam - 1981)をYTで。 

過去に映画祭で上映されたことがあり、その際の邦題は『ねずみとり』。日本語のレビューは僅かしか見つからない。動画は字幕なしだったが、淡々とネット上の字幕倉庫から拾ってきて乗っけてみたらピタリと合った。久しぶりに見たアドゥール・ゴーパーラクリシュナン作品。夜の闇が深く、虫の音や鳥のさえずりが際立っている。休み休みだけど何とか挫折せずに、主要登場人物5人の2時間弱を見ることができた(もう芸術映画には耐えられないんじゃないかという不安があった)。とある人からナーイルのタラワードの崩壊を描いた作品と示唆されていたのだが、前知識がなかったらナーイルだとは思わなかったかも。カースト言及は完全に封殺されている。シャーラダの女神のような存在感は凄い。現在は怖い系の小母さんになってしまったけど、本作中では大ぶりな怖い顔はそのままで、立ち姿の美しさが圧倒する。カラマナの芝居が見事なのは書くまでもなし。怯懦で無能で、共感能力のない旧時代の領主の末裔をこれでもかと見せる。特に召使女との無言のインタラクションが様々な想像を掻き立てて圧巻。

約1年ぶりにKaala (Tamil - 2018)をDVDで。 

英語字幕付きDVDをゲットしたのだけど、画質は明らかに低いので、スクリーンで見たあの感動を台無しにしそうで今まで封印してた。しかし、劇中に仕込まれた隠れたメッセージ的なものを検証する必要があって観ることになった。しかし実見すれば、思わせぶりな記号はさほど多くない。それよりも、破滅へと向かうストーリーのうねりの見事さに感じ入った。そしてそのキャリア中ではかなり珍しい、追い詰められていく落城の領主を演じるラジニの芝居の確かさ。最後の数分のあの幻想的なシーンの、音楽とぴったりシンクロした振付・編集の見事さは、何回見ても見飽きない。

Theevandi (Malayalam - 2019)をDVDで。 

タイトルが汽車を意味すること以外、全く予備知識なしで臨んでみたら、吃驚のブラック・コメディーだった。田舎の舞台、思わせぶりな年代設定から、文芸的なドラマかと思ってたら、インド映画名物の喫煙フォビアと喫煙防止公共広告を盛大にパロったものだった。全編の7割近くが喫煙シーンじゃないだろか。しかし話が進むにつれてヘビースモーカーの主人公に更生への道しるべが見えてきて、要するに、普通の映画では冒頭の15~30秒ほどを使って見せられる公共広告を140分かけてコメディー仕立てにしたものなのだった。中盤辺りまで天晴れな反逆精神だと感心してたのが馬鹿だった。単純な禁煙成功譚では面白くないので、そこに田舎の人間模様を加えたのだが、話が回りくどすぎる気がした。ただし、離れ小島に住んでいる謎のミュージシャン二人組(ボブ・マーリーとラスプーチン)のシーンは良かった。主人公の生まれ年が1989年、つまり現在時点で29歳というのには何か意味があるのか。トヴィノは好演しているが、高校生役はさすがに無理筋。高校時代の喫煙シーンで煙草にボカシは皮肉か。

Maharshi (Telugu―2019)を川口スキップシティで。 

プレビューのために読んだ現地レビューがあまりに酷すぎたので(しかし初動の売り上げは大変に好調らしい)用心しながら臨んだ。しかし虚心に見ればまあ平均作ではあるのだ。常のごとく、神掛かったアクション、ミニスカのヒロイン、住宅展示場みたいな生活感のない豪邸、白人の旦那方を従えた富と権力の誇示、獣糞の匂いのしない田園、コテコテのダンスなどなどが散りばめられたクリシェのストーリー。年季の入った印度映画ファンなので、偉大なるマンネリに文句をつけるような青臭いことはしない。ただ、そのクリシェの中に息をのむような興奮の瞬間がほとんど感じられず、超低速で粛々と物事が進むのを見せられているだけで、やはりちょっと辛かった。GAFAに匹敵するIT企業のCEO室をド田舎の農村に置くというのは目の覚めるようなアイディアだけど(多分この部分のためにストーリー構築がされたのだと思う)、IT企業なんだから会議はオンラインですりゃいいじゃん突込みはあろう。ただそれが映画的には必要だったのは分かる。一方、収入の9割を村に寄付というのはちょっと違うと思った。

Jay (Filipino - 2008)を支給映像で。 

いわゆるクィア映画で、同時にテレビというメディアに対する痛烈な批判を展開する風刺作品。いうなればフィリピン版カメ止めなのだけれど、カメ止めの痛快さは全くない。よくできた作品だと思うけど、Aruviのようなものを見てしまっていると、ジャーナリズム批判の上にさらに何かが欲しい気分になる。

Padmaavat (Hindi - 2018)を試写で。 

邦題は『パドマーワト 女神誕生』。昨年に英語字幕付きで見た際にはかなり怒ってたな、自分。しかし興行師視線で見るならば、分かりやすい豪華絢爛に目が眩む体験が提供できる本作は、カタい牌と言えるだろう。歴史の視点を入れると、ジョーハル賛美はやはりまずいと思う。例えば、あれほどの集団自死ではなかったとしても、同様のことは戦国時代などにあったと思うが、日本映画がそれを賛美の切り口で描けるかどうか。むしろ原作となった文学作品のように、あくまでも三角関係のファンタジーとして突き詰めれば、あれはありかなという気もする。それから作中ではアラーウッディーンの鬼畜ぶりがこれでもかと描かれるが、衆道に関してだけは奴隷の一方的な片思いとしてスルーしているところが、インド大衆映画の限界という感じ。ラタン・シンが始終陰気臭い感じなのはなぜなのか。字幕にはところどころ不満あり。特に第一夫人と第二夫人への呼びかけに使い分けがなくて、あれでは第一夫人が誰の奥さんなのか分からずに終わる観客もいるのじゃないかという感じ。
eigadon.net/@PeriploEiga/13230

昨日書いててどうしても思い出せなかったニュー・ジャーマン・シネマの初期の傑作、「下部ババリアの人間狩り」(Jagdszenen aus Niederbayern, Dir. Peter Fleischmann, 1969)だ。胸のつかえがおりた。
goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/ze

Varathan (Malayalam-2018)をD V Dで。 

予備知識なしで臨んだけど、終盤20分ぐらいのところでやっとストーリーの道筋がわかるまでのあれやこれやが上手い。「御洒落なくして映画なし」のアマル・ニーラドがこんなのを撮るとは。ファハドにとっては初の本格的アクションではないだろうか。アクションではあるけど、やはりファハドなので頭脳プレーが混じる。そしてありがちな荒唐無稽アクションではなく、細っこい体から繰り出される必殺技は、家族を守るための本能によって増幅された力だということが分かる演技と振り付け。滑り出しでは心霊ホラーのようにミスリードするけど、真にホラーなのは田舎の人間の狭量さと独善だという、田舎礼賛がデフォルトのインド映画としては珍しいテーマ立て。昔に見たニュー・ジャーマン・シネマの某作を思い出したのだが題名が出てこない。田舎の問題と重ね合わされて、女性に対する暴力も語られる。親族の女子がこっそりデートするのを許さないモラル・ポリシングと、余所者の女性ならば何をしてもいいという暴力が同居する怖さ。ここまで嫌らしい田舎の描写も珍しい。アマル・ニーラド社会派化か?

Newton (Hindi - 2017)をDVDで。 

もうちょっと愛想のある作品かと思ってたけど、ガチな映画祭アイテムだったわな。主人公の名前の真の意義を説く上司のセリフから始まり、ダーンダカラニャがラーマとシーターの隠棲所だったという伝説の開陳に至るまで、含意あるテキストが縦横に埋め込まれる。主人公は選挙執行委員で、ルールを死守する四角四面野郎として描かれる。ある種のASDの話かとも思いかけたけど、多分違う。ベタベタだが、主人公はインドの民主主義/選挙制度のメタファーなのではないかと思う。そしてアートマ・シンはインドのズル剥けの現実、マルコは大地を踏みしめて立つ民衆の代表か。76人しか有権者がおらず、しかも多分全員が文盲の部族民、選挙民は立候補者を誰一人として知らない、それどころか選挙の何たるかを分かっていないという状況、現実主義者から見れば、確かに命を賭してまで投票を敢行する意義はない。「でも、やるんだよ!」の主人公の姿を理想と見るか滑稽と見るか、映像作家はどちらとも言っていない。ラストで鉱物資源採掘最高潮の村でほとぼりが冷めた各キャラの人生が続いていく描写は最高にブラック。

Joseph (Malayalam - 2018)をDVDで。 

マラヤーラム映画界名物の中年ぽっと出ヒーローであるジョジュ・ジョージの主演作。似たような例では、Salt ‘n Pepperで妙な人気が出たバーブラージが引っ張りだこになり、調子にのって主演作まで行ったけどそれはさすがに鳴かず飛ばずで、またいつもの定位置に戻ったというのがあった。ただ、ジョジュについては、ブレイクのきっかけとなったAction Hero Bijuでの演技と浸み出るような魅力が別格感を持っていた。60歳に近い元警官が命がけで暴く組織犯罪というストーリー。その一連の犯罪に、主人公のパーソナルヒストリーが重なっているというのが特徴。重なり過ぎなのが問題と言えば問題。独り暮らしで酒浸りの元凄腕警官というのはややクリシェ的だがやはり上手い。回想シーンでは恋に落ちた若者として登場して、ばっちり唇を合わせるキスシーンまであって、無理感があるものの微笑ましい。欲を言えば、取り巻きの中年警官達をもう少し活躍させて欲しかった。Vaasthavam以降パッとしなかったパドマクマール監督に復調の兆しが見えたのが何よりも嬉しい。

Oru Adaar Love (Malayalam - 2019) DVDで。 

昨年早々のトレイラー発表からの紆余曲折、今年のバレンタインの4言語同時公開、その後の光速での話題消滅まで、何ともエポックメイキングな一本だった。マラヤーラム映画でよく言われるところの、文芸的ストーリーやリアリズム、演じ手の高い表現力etcといったものから百億光年ぐらい離れたところにある自主制作風のイタい仕上がり。ストーリーは、通常のロマンス映画の開始後20分程度で語られるものしかない。ミュージックシーンとスキットを延々と繋げて一本の映画にしたようなもの。ストーリーテラーとしてのオマル監督は前二本と比べて明らかに劣化している。ただし、ローティーン観客にとっては、むしろ見たいところだけを寄せ集めたイイトコどりである可能性は否定できない。そうしたマーケットが育ちつつあるなら、これからもこうした作品は作られ続け、その度にハイブラウ観客は憤激し続けることだろう。作品としてはフロップで終わったけれども、主演の3人はまさに一夜にして名声の頂点に押し上げられたことになり、この先どうなっていくかが大変に楽しみ。

『ペッタ』だけのことじゃないけど、コンテンツに魅力があれば映画としては観れてしまう、売り上げはそう簡単には落ちない→低レベルな字幕が駆逐されない→(安くて速い)悪貨が良貨を駆逐する、というのが問題なんだよね。

Petta (Tamil - 2019)をNTFXで。邦題は『ペッタ』。 

字幕が酷すぎるというのを聞いて、どれどれとアクセスしてみたら結局最後まで見てしまった。現地語が分かる学識者による校閲はもちろんのこと、文字のすっぽ抜けを正す程度のチェックもしていないという手抜きははっきり分かった。英語字幕付きで見た初回と印象はそれほど変わらないけど、最後の最後にどんでん返しがある本作、結果を知ったうえで見ると色々味わいどころが出てくる。シムランのエピソードなど、ほぼ不要なものだが、かつて懐妊のためにラジニとの共演を泣く泣く諦めた彼女の個人史を知ってると、胸に迫るものがあるし、製作者もそれを分かってキャスティングしてる。人情と、学生たちの馬鹿っぷりと、グーンダの人間味(そのうちの一人が「アディポリ」と口走る箇所があった、マラヤーリーという設定が細かい)などなどを一通り見せた後、最後にはマフィアの非情で〆るのがカッコいい。それにしても空白の十数年間、ペッタは何してたのか。あと、監督自身がナワーズッディーンの吹き替えを担当(しかもカライ・アラサンと共同で)というクレジットが出てきて吃驚。深い訳がある?

あれこれ計画してた休日なのに、自分のペースで物事が運ばず、完全に振り回された1日。それでも深夜の二時間半を映画に充てられれば、なんとか保てる感じ。

Eeda (Malayalam-2018)をDVDで。 

以前に現地で字幕なしで見てただならぬものを感じながらストーリ理解という点で歯が立たなかった一本。字幕付きで見返して満足したけど、ちょっと引っ張りすぎかとも思った。所謂ロミオとジュリエット型ラブストーリー。インドでは大抵の場合カップルの邪魔をするのは宗教、カーストで、ラーヤラシーマならそれにファクションという要因も加わるが、カンヌールを舞台にした本作では、支持政党による対立。共産主義とヒンドゥー原理主義のイデオロギー対立が党派性を極端な形まで押し進め、血みどろ抗争と仇討ち合戦に至っている状況。識字率100%を誇るケーララでマジかいなと思うのだが、実際にこうした殺し合いについてニュースなどで読んだこともあるので、そうした事件のリアルな背景を二時間半かけて丁寧に見せられてぐうの音も出ない。リードペアの生活感ある佇まいにも好感。それから、マラヤーラム映画におけるマイソールの位置づけについてもさらに情報を得た。Kismathでもそうだったけど、シェイン・二ガムはこういう難儀を被る役が妙に多い。対立勢力の間では左派に対してより手厳しい描写かも。

August Club (Malayalam - 2013)をDVDで。 

最近知り合いになった人物の監督作で、しかも唯一の監督作というので義理もあって見てみた。わずか6年前のものだというのに亡くなった俳優が複数出ていてノスタルジックな気分。一方で無名時代のトヴィノ・トーマスもちょい役で顔を出してて吃驚。身も蓋もない表現をするならば、夫に放って置かれた人妻のヨロメキドラマ。もちろんインド映画なので心が揺れるだけで決定的な背徳はない。というか、心の揺れを背徳と見做さないならばの話だけど。作品の結論としては、心の揺れだけなら許されるということのようだ。洒落た海辺のコテージ、ヒンディー語歌謡曲が好きな夫、英語の詩を引用する若い男、チェスの名人でやはり英語の詩を嗜む妻、ビッチな若い友人、全体を覆う中産階級の気取った世界観。その割にはヒロインの欲求不満の表現はうんざりするほどに陳腐。ただし、演じるリマの渇えの表現にはゾクゾクするものがある。それだけに、予定調和の凡庸なエンディングにはこちらが欲求不満になる。なんでもパドマラージャンの息子の小説が原作なのだそうだが、その文芸作品もこんな不発だったのか。

Awe! (Telugu - 2018)をオンラインで。 

ずっと気になってたニューウェーブ作品を串挿して鑑賞。最初はお洒落な都市生活の断片のオムニバスかと思わせ、次には中二っぽいファンタジーに飛び、暗黒街もちょっと出てきて、ホラー風味が加わる。この辺りで各断片がなにやら繋がっていることが分かって来て、それを繋ぐのが女性に対する暴力とか、LGBTへの偏見などなど、社会問題であると察せられる。そしてクリシュナ神話、シヴァ・パールヴァティ神話からの縦横な引用による形而上的世界。しかし全体として、何が言いたいのかはよく分からない。だけど、通俗娯楽映画でよく見知った面々(必ずしもスターとは言えないが)が思わせぶりなあれこれをやってくれるので楽しいし飽きない。最初と最後をきっちり締めるカージャルは薄メークで余裕の女王ぶり。ニティヤのレズビアンぶりは上手すぎ。レジーナのボディーペインティングしたヤク中ぶりも保守的なタミル娘には見えない本格派。作中でタイムトラベルを繰り返す人物の、どうしても止められなかった両親の死とは何だったのか、それだけがちょっと気になる。吹き替えのナーニとラヴィテージャが豪華。

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