Newton (Hindi - 2017)をDVDで。
もうちょっと愛想のある作品かと思ってたけど、ガチな映画祭アイテムだったわな。主人公の名前の真の意義を説く上司のセリフから始まり、ダーンダカラニャがラーマとシーターの隠棲所だったという伝説の開陳に至るまで、含意あるテキストが縦横に埋め込まれる。主人公は選挙執行委員で、ルールを死守する四角四面野郎として描かれる。ある種のASDの話かとも思いかけたけど、多分違う。ベタベタだが、主人公はインドの民主主義/選挙制度のメタファーなのではないかと思う。そしてアートマ・シンはインドのズル剥けの現実、マルコは大地を踏みしめて立つ民衆の代表か。76人しか有権者がおらず、しかも多分全員が文盲の部族民、選挙民は立候補者を誰一人として知らない、それどころか選挙の何たるかを分かっていないという状況、現実主義者から見れば、確かに命を賭してまで投票を敢行する意義はない。「でも、やるんだよ!」の主人公の姿を理想と見るか滑稽と見るか、映像作家はどちらとも言っていない。ラストで鉱物資源採掘最高潮の村でほとぼりが冷めた各キャラの人生が続いていく描写は最高にブラック。