ムトゥ 踊るマハラジャ(4K&5.1chデジタルリマスター版)を試写で。
20年ぶりの劇場公開にはやはりいろいろ去来するものがある。今試写では残念ながら音声の更新が間に合わず、モノラルのまま。そもそもARラフマーンの事務所の片隅に当時の素材が残っていたことから、今回のデジタル・リマスターが可能になったのだという。そして、この企画自体が、日本とインドの共同プロジェクトで、現地でよくあるリバイバル公開に乗っかって日本に持ってきたのではない、1年以上をかけた労作なのだという。つまり『バーフバリ』の大ヒットに乗っかった急ごしらえの企画ではないということ。これまではそう思ってた、申しわけないことながら。ロケ地についてはこれまで知り得たものに加えて、カルナータカのメールコーテでも撮られていたことが確認できて嬉しい。グルヴァーリ・ソングの冒頭の変わった衣装が、部族民のそれからのインスパイアードだとか。それから、1995年の本作中で登場した老人バージョンのラジニと、今年2018年のKaalaでの若作りメイクなしのラジニとを比較するのも楽しい。23年前のラジニの老人メイクはかなり良くできたものだと思った。
@namikirin パイロット版のオチをどうするか考えあぐねているときにたまたまフランク・シルヴァ(リンチ的な名前)がカメラに写り込んでいるのを発見して…みたいな感じでしたか。リンチらしい即興的アプローチですよね。
『人間機械』(Machines、2016)をユーロスペースで。
東京最終日最終回上映にやっと行けた。モーディーのお膝元で発展著しいグジャラートに、UP、ビハール、オリッサ、ベンガル、チャッティースガル(劇中で挙げられていた地名は多分これが全部だと思う)からやって来て、1シフト210ルピーで働く職工たち。組合ができるとリーダーが殺される。職工たちは会社のトップを知らず、周旋業者が全てを牛耳る。明らかに低カースト&おそらく部族出身者がほとんどの中に、聖紐をつけた人物も交じる。工場内の様子がランダムに映るが、サリー作りのための度の行程なのかが分かるのは半分以下。建て増しをし続けて奇妙な構造になった温泉旅館が無理を重ねて何とか機能してるのと同じようなものを感じる。印象的なのは、製品である布が無造作に床に積み上げられたり、その上で倒れ込むように寝ている労働者がいること。不要な布を燃やしていると思しい大窯も。そして製品にはカバーがされず、大雑把に巻いたままで出荷されていく。つまり外側の2,3巻き分は売り物にならないこと前提のようなのだ。ここにこの工場労働のあらゆる矛盾が凝縮されているように思えた。