『少年たち』
いやー、かなり酷いジャニーズの珍ミュージカル映画だった。
元々はジャニー喜多川が50年前からやっているジャニーズのミュージカル舞台劇を50周年記念で映画化したもの。
いわゆる少年院もので、普通にやればちゃんと見れる作品なのにミュージカル擬きの歌と踊りで作品を台無しにしている。
その歌と踊りそのものは悪くないが、ただ音楽を流して口パクで踊っただけの能無し映像のオンパレード。PVならそれで通じても映画でそれをやられちゃお遊戯でしかない。
映画の製作総指揮のジャニー喜多川はミュージカル映画というのを見たことがあるのか疑問に思える作り。
合間のドラマ(?)も棒読み芝居ばかり。唯一伊武雅刀だけ役者っぽかった。
そして、ラストの想像を絶するオチ。これはジャニー喜多川や監督や脚本は脳外科か精神病院を受診した方がいい。
とにかくあらゆる意味で見ると恥ずかしい映画を作ってしまっている。
『グリーンブック』(2回目)②
主人公はやさぐれイタリアーノのトニーで、
裏家業・下流労働者階級、ブロンクスのイタリアーノにまみれたやさぐれ、低教養で差別丸だしな彼の心が高貴なドクター・シャーリーとの邂逅で明らかに変わっていく面白さが実に分かりやすい。
黒人労働者を「黒ナス」と罵ったトニーが各地のバーやホテル、警察のご厄介といったトラブルを一緒に乗り越え、黒人専用ホテルの案内書「グリーンブック」に載っている決して快適とは言い難いホテルを見て、さらには貴賓者として迎えられたシャーリーの控え室が物置小屋のような酷い場所であることを目にし、人としての揺らぎ、目に見える変化にこの映画の真骨頂がある。
被差別側のシチュエーション、待遇を見て荒くれ白人の人としての揺らぎは1962年だけではなく、2019年の今でも、さらにはドナルド・トランプにも通じるのではなかろうか。
軽いタッチではあるが、根底は社会派の作品である。
『グリーンブック』(2回目)
イタリア系のやさぐれ白人とクラシック音楽を徹底的に学んだ黒人ピアニストの凸凹コンビによる黒人差別バリバリのアメリカ南部弥次喜多珍道中。
マハーシャラ・アリが演じるドクター・シャーリーは実在の人物ながらその素養の高さと気品は『夜の大捜査線』のシドニー・ポワチエと丸かぶりと見ると面白いのは初見で分かっていた。が、それだけでは同じ黒人からも「お高いヤツ」と貶され、そこに悩む部分では『夜の大捜査線』よりもさらに先を行っていた。
「暴力」=「敗北」という考えや、「黒人と言えばフライドチキンが好き」とか「リトル・リチャードやアレサ・フランクリンを聴く」という白人側の勝手なイメージに悩んでいるシャーリーの立ち位置もこれまでのどの黒人映画とも違う感覚という意味では新しい映画だった。
そう考えると、真っ向から反トランプ的な立ち位置を取るスパイク・リーの『ブラック・クランズマン』よりも遥かに大人な姿勢の映画で、しかも真っ向から白人視点ではあるが黒人差別に真っ向から立ち向かうエピソードを盛り込んでいるから、その対立、不和が映画として面白くある。
『スパイダーマン:スパイダーバース』初見③
黒人の少年マイルススパイダーマンの覚醒というか自我の目覚めのようなストーリーでもあった。
これまでのスパイダーマンとの共通項として学園での初恋と最愛の人の死の直面もしっかりと踏襲している。
マイルスとグウェンの淡い恋愛エピソードの中でマイルスはやたら「思春期の少年」と貶されその度に「思春期」を否定するが、
異性への恋の目覚めや
自身の能力の目覚め、
自我の目覚めなど、
まさしく思春期のスパイダーマンを描いている。
そのチェリーさはトム・ホランド版以上。
ある種、『キック・アス』のデイヴ・リゼウスキに通じるものがあり、高層ビルから落ちる所や覚醒前の弱さなど重なるものが見られた。
『スパイダーマン:スパイダーバース』初見②
全体的に『クリード』や『ブラックパンサー』のような黒人映画であり、スパイダーマンmeets黒人映画だった。
それも差別を全く意識しない黒人の生活環境や文化は『プレシャス』や『ムーンライト』にも通じる世界観で、マイルスと父、アーロン叔父さんとのやり取りにナチュラルなブルックリンの黒人像を見る。
それは真面目な警官の父や息子マイルスをちょっと環境がハイセンスな高校に通わせたりする親心や、
ちょっと頼りない甥っ子に女の子を相手にする時の必殺「肩ポン」を教えるなど細かい所に至り、これが見事に伏線にもなっている。
ヒップホップ中心のBGMもまさしく黒人文化だし、アーロン叔父さんとのスプレーアートも黒人というかブルックリンらしさが見えるアート文化で、今までのスパイダーマンでは味わえない感覚、センスがかなりみられる。
『スパイダーマン:スパイダーバース』初見
非常に斬新なスパイダーマンだった!
主人公のマイルスとその家族、生活環境、文化が黒人かつ黒人の感覚で、あらゆる意味で“黒い”スパイダーマンになっている。
加えて、今回アニメーション化になった最大の要因はパラレルワールドを活用したSFになっていて、
恋人MJがいる正当なスパイダーマンから、
女戦士のスパイダーマン(スパイダーウーマン?)、
はたまた少女漫画風や
タツノコプロのブタ風など、
あらゆる次元からそれぞれの次元のスパイダーマンが集結し、そのスパイダーマンユニバースとヴィラン軍団というバトルを展開。
これまでに60年代のテレビアニメ版やサム・ライミ版、アメージング版、トム・ホランド版と何度も何度も微妙に設定を変えてリボーン、リブートを繰り返した結果、漫画内でスパイダーマン軍団を作るという形になり、これまでにないスパイダーマンを見せてくれた。
肝心のマイルスの成長の遅さというかどん臭い性格と、中盤のエピソードの広がりから、脚本に若干の散らかりがあるのが残念。
それでも終盤はキュッと締め、エンドロールやエンドロール終了後まで見せてくれる!
『アリータ:バトル・エンジェル』(初見)③
アリータ以外のサブキャラが光る。
アリータを蘇らせたサイバー医師イドに『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ』のオスカー俳優クリストフ・ヴァルツ。今回は悪役ではないからか、いつものようなアクの強さはないが、存在感は抜群。
イドの前妻のチレンにはジェニファー・コネリー。もう50近くになるのに相変わらず綺麗。
モーターボールの支配者ベクターには『ムーンライト』や『グリーンブック』で存在感抜群の黒人俳優マハーシャラ・アリ。今回はやや悪役よりの役だけど意外にもハマっていた。
巨大なサイボーグのグリュシカ役の人、『がんばれ!ベアーズ』の悪ガキで、『リトル・チルドレン』やリメイク版『エルム街の悪夢』のフレディ役のジャッキー・アール・ヘイリーでなかなか良い悪役っぷりだった。
グリュシカ以外の目立つキャラはだいたい生身の人間役に配置されていて、サイボーグと生身の人間の違いや逆にサイボーグが人間とボーダレスな辺りも見せるのがこの映画の見せ所でもある。
『ブレード・ランナー』の雰囲気のようで『スター・ウォーズ』の市場のような町並みも独特。
『アリータ:バトル・エンジェル』(初見)①
非常に心地好いサイボーグ少女/レディーによるアクションと『メトロポリス』、『エリジウム』、『ハンガーゲーム』に通じる下流階級のディストピアの世界観を大いに楽しむ映画だった。
大きな目の少女アリータの目は『ビッグアイズ』に出てくる少女の目みたいたが、それ以外は戦闘・格闘技にポテンシャルがある少女で、スピーディーで小さい身体を上手く利した動きはクンフーのようなジークンドーのような動きで、殺陣師がいいのか各アクションシーンが良く出来ている。敵方サイボーグのグリュシカも悪くないし、ボーイフレンド的なヒューゴとのサイボーグと生身の人間の恋も悪くない。
監督のロバート・ロドリゲスらしい描写は人間にサイボーグの腕や足が取り付けられている所や武器人間のような敵方サイボーグの描写にあり、まさしく彼の真骨頂だが、スケールの大きな作品の作りと奥行きがある世界観は製作総指揮のジェームズ・キャメロンならではの世界観と見れ、お互いに仕事をしたというか力が発揮されている。
ガメラ 大怪獣空中決戦
ガメラシリーズは初めて観た。結構笑えるのねコレ。
所々でご飯を吹き出しちゃう展開はあるんだけど・・・サスペンスの見せ方が上手い。だから、ちゃっちい部分があまり気にならない。やっぱ映画は監督の編集次第だよな。
あとこの映画が上手いと思うのは、そのご飯を吹き出しちゃう展開をうまくギャグとして消化してるところだと思う。
多分怪獣ファンじゃなくても、映画好きな人ならソコソコ爆笑できると思う。突っ込んで!!!と言わんばかりに、登場人物がバカである。そして多分意図的にそう言う演出してると思う。
言うまでもなく特撮も良いと思う(僕は特撮のアレコレについては、正直よくわからない)
ガメラは正義の味方!怪獣ファンなら胸熱間違いなしですね。とても良い映画でした。
『女王陛下のお気に入り』三回目②
最近で言えば『エリザベス』、『エリザベス ゴールデンエイジ』や『ヴィクトリア女王 世紀の愛』みたいな糞真面目な史実ドラマ映画とは違い、鞭打ち刑や糞尿まみれの泥、森や娼館でのレイプ/セックス、舞踏会での奇抜な踊り、畳敷きの廊下、裸のおじさんに柿をぶつけるゲームなどファンキーなシーンに見とれつつも、本質のアン女王を巡るナンバー2と成り上がり側近のし烈なバトルを見る。
『エリザベス』のケイト・ブランジェットとは違い、オリヴィア・コールマンのアン女王は痛風持ちでデブデブでワガママで理不尽でこれでもかと言わんばかりの醜さ。
その構図がダメダメYouTuber syamuを巡る中日帽子や日大syamuサーのカズナリの代理人戦争に不覚にも当てはまってしまう!
ぐだぐだな女王→syamuに
やや有能なナンバー2→中日帽子、
横やりで女王をそそのかす第三の女→日大syamuサーのカズナリ……
不思議なぐらいぴったりでワロタwww
『女王陛下のお気に入り』三回目
この映画の本質はエマ・ストーンが演じる没落貴婦人アビゲイル・ヒルの成り上がりにあり、女性版『バリー・リンドン』と言っても過言ではない。
女王が絶対的に君臨し、女王の幼なじみ兼側近のサラや軍の上層部、政治家といったいわゆる貴族階級と侍女、女中、立哨する警備兵、娼館の娼婦など、徹底的に階級社会を見せる。『ゴスフォード・パーク』のような階級の差を見せるがそこからサスペンスの要素を引き、『バリー・リンドン』の成り上がり泥々人間ドラマと『マリー・アントワネット』のデフォルメ王室ドラマをミックスした感じである。
完璧主義の出来る側近のサラの隙間を縫うようにアビゲイルが要所要所で木下藤吉郎(豊臣秀吉)の草履温め作戦……いや足のマッサージと見せかけてクンニ作戦ような戦術でアン女王のハートを鷲掴みする。
この作戦やアビゲイルのオキニのイケメン大佐もアン女王を取り込んでゲットしたり、サラを貶めるある仕掛け、そしてあらゆる物を手に入れた後のアビゲイルの放漫さなど、人間の欲望や貶めるダーティーさなど心地よいぐらい人間の汚さを描いている。