『グリーンブック』(2回目)
イタリア系のやさぐれ白人とクラシック音楽を徹底的に学んだ黒人ピアニストの凸凹コンビによる黒人差別バリバリのアメリカ南部弥次喜多珍道中。
マハーシャラ・アリが演じるドクター・シャーリーは実在の人物ながらその素養の高さと気品は『夜の大捜査線』のシドニー・ポワチエと丸かぶりと見ると面白いのは初見で分かっていた。が、それだけでは同じ黒人からも「お高いヤツ」と貶され、そこに悩む部分では『夜の大捜査線』よりもさらに先を行っていた。
「暴力」=「敗北」という考えや、「黒人と言えばフライドチキンが好き」とか「リトル・リチャードやアレサ・フランクリンを聴く」という白人側の勝手なイメージに悩んでいるシャーリーの立ち位置もこれまでのどの黒人映画とも違う感覚という意味では新しい映画だった。
そう考えると、真っ向から反トランプ的な立ち位置を取るスパイク・リーの『ブラック・クランズマン』よりも遥かに大人な姿勢の映画で、しかも真っ向から白人視点ではあるが黒人差別に真っ向から立ち向かうエピソードを盛り込んでいるから、その対立、不和が映画として面白くある。