バグダッド・スキャンダル
やはりB・キングスレーの貫禄が一番インパクトがありました。胡散臭さと狡猾さ物事の裏も表も知ってるぞな役はハマってました。
国連にしろバチカンにしろ権力(+金)が集まる所がクリーンな訳が無い。
野心的な外交官に利権にしがみつきたい古今東西の魑魅魍魎が寄ってくる様は、中々リアルな現実を映していたと思います。
時事問題や国際情勢の駆け引きがお好きな方なら地味ですが割と気にいる正攻法な作品だと思います。
国連の「石油食料交換プログラム」の汚職は一時海外メディアではかなり取り上げられていましたが、日本ではそんなに問題にされていなかったような気がします。見る前に軽くwiki ってからだと分かりやすいと思います。
経済制裁で困窮したイラクを人道的に救うプログラムの筈だったが…プロセスの過程で汚職や賄賂が発生。その実態を暴いた本が原作です。原題は、原作の本と同名の題名でした。(直訳すると「背中合わせの初心者」みたいな意味ですかねえ)
LBJ ケネディの意志を継いだ男
監督R・ライナー、主演はW・ハレルソンという渋い作品でした。ミドルネームはベインズなんですね。知らなかった。
JFKと比べたらかなり地味な大統領。自分も名前ぐらいしか知らない人でした。
ケネディ暗殺からの大統領就任&公民権法成立までをコンパクトが纏めてられてました。
映画を見ている限りでは、ジョンソンは、中々の調整役ですね。カリスマ性よりも、実務に精通した頼もしいベテランだったので、ケネディが副大統領に選んだのがよく分かります。
脇役にR・ジェイキンズやB・プルマンも登場してました。脇役達も安心して演技力が堪能出来る俳優達で固められてました。主役といい題材といいいぶし銀な映画でした。
ガンジスに還る
近年踊らないインド映画に当たりが多いので気になって作品です。
監督は撮影当時24歳だったそうで!この枯れ具合が凄いですね。(褒めてます)
インドの紀行文や旅の番組を見ていると、必ずと行っていいほど、ガンジス・死のイメージが挟み込まれていてお約束な感じもしますが、映画の題材として真っ正面から死を扱ったインド映画は珍しいのでは思いました。
バラナシのホスピス(解脱の家)に向かうまでのロード・ムービーなのかと思ってたんですが、中身は違いました。バラナシ到着後の解脱の家で死を迎える準備ををしている人々とそれを取り巻く人達が中心に描かれてました。
宗教や人種によって死生観は様々ですが、生きている人が皆いつかは経験する事ですので、その辺の違いは超えて、鑑賞の目に耐えられる作品になってた思います。
これ、ソコソコの年代の親や祖父母と一緒に見に行ったら色々考えてしまいそうです。
運命は踊る
ミニマムな構成の作品でした。
ヨーロッパ映画はこういう演出がお得意ですよね。
かくいう私はこのタイプの作品が好きです。
戦闘シーンがあるだけが戦争
映画じゃないのは、皆さん重々承知ですが、ここまで家族の問題として、削ぎ落としかつ丁寧に描く事で、少し他の作品と雰囲気が違うように感じました。
今年あった戦争遺族物「30年後の同窓会」や中東物「判決、ふたつの希望」などと題材は近いのに仕上がりのテイストが全然違うという。
音楽が控えめかつ、殆ど使われてなかった(最近この手の物多いですね)要因もコンパクトな印象を与えているように思いました。ただ、
前半の1hに耐えられないと睡魔の世界に誘われるかもしれません。
平日の昼間に見てしまったからかもしれませんが、いびき度が高かった作品でした…。
太陽の塔
少し前に「太陽の塔ガイド 」を読んでたので、気になり見てきました。
太陽の塔製作時の創作秘話と明日の神話の話が絡まって展開。
著作などに触れてる人には野暮なのかもしれませんが、岡本太郎が民俗学や文化人類学などにかなり造形が深かった事を今迄知りませんでした。
また、大阪万博でこのコンセプト科学万能主義へのアンチテーゼがこの太陽の塔だった事も皮肉ですね。
そして、今に至るまでに現存しているのもこれだけという。
でも、当時は新進気鋭の芸術家を国威発揚イベントに起用するだけの気概が国にもあったんだなというのが羨ましい。
太陽の塔が作られた時代の延長に当時の未来は無く、今はただ閉塞感が漂う未来なのが悲しい。そして、そんな現代に明るい未来を想像していた時代を振り返っている事が、もっと悲しかった。
クレイジー・リッチ・エイジャンズ
一足お先に見てきました。
予想と違う展開でしたが、面白く見ることが出来ました。
きっと今の日本でも、友達・同僚・身内で中華圏の方が居る人も多いと思いますが、知られざる華僑社会の片鱗を垣間見る事が出来て興味深かったです。
序盤は、若干漫画っぽい演出が不安を感じさせたんですが、段々と華僑社会の深淵に迫って来てからは、集中して見てしまいました。勿論、映画なので誇張があるのは重々承知ですが、
見た目は似てるけど、風習や習慣が全く世界異なる世界は主人公共々探検する気分になりました。
主人公の学生時代の親友が良いキャラ出てました。
コテコテのコメディでもないし、シリアス一辺倒でも無いので、中途半端感があるから宣伝が難しそうって思いました…
(余計なお世話ですが…)
ただ、この手の作品がアメリカで受けたのはちょっと意外な気がしました。米国も段々雰囲気が変わって来てるんでしょうかね。
劇中シングリッシュは控えめで、ごく普通の英語で台詞は展開されてました。
顔たち、ところどころ
仏の女性監督の第一人者でもあるA・ヴァルダとアーティストJRの共作のドキュメンタリー。ただ写真を撮っ壁に貼るだけのプロジェクトですが、そこは芸術家の2人中々オサレな仕上がりなんですよね。どうって事がないごく一般の人々の顔がいい感じの表情で、そこを引き出す手腕も見事でした。
方向性は違うけど、一般人を捲きこむタイプのアーティストでもあるバンクシー的なノリも感じました。
終盤、ヌーヴェル・ヴァーグの取り持つ縁についてのエピソードがありますが、ゴダールはやっぱりゴダールでした!私の中では、ひねくれ爺さんのポジションです。
あと、作中気になってたフォト・トラックですが、
浅間国際フォトフェスティバルで、登場していたそうです。これ、フェスで一台あればすごく盛り上がりそうです。
人生No1の映画
アンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」。
ミニシアター系映画をかじり始めた中高生の頃、
ぴあから出版されていた映画百科的な本で、やたらと評価が高く気になっていた作品。
その後、学校の通学途中のレンタルショップに置いて有ったので、早速手に取ったのが19歳の時。
借りてきて、夜中にぼーっと見ていたら、画面のトーンの暗さと静謐な雰囲気が、夜中のシーンとした空気とハマっているような気がしました。
何とも言えない雰囲気で観賞していました。
その時の印象がどうも強いようで、映画館でリバイバル上映がある度に見に行ってしまいます。
ストーリーを噛み砕くというよりも、画面や映画に埋没して鑑賞するタイプの作品だと思います。
フランス映画を中心にヨーロッパ映画が好き。