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29歳問題 

アラサー以上の働く女性のツボを刺激する作品。映画の舞台が2005年なので、世代的に映画とシンクロするアラフォーだと余計に劇中に没入感があると思います。私は香港エンタメには全く造詣が無いのですが、W・カーウァイのオサレ映画などのモチーフにはココロを揺さぶられましたよ。
元々は、舞台の作品だったようですが、映画化に当たっては、映像での表現を上手く使ってる部分も好印象でした。
個人的には、今年モード・ルイスに次いでの掘り出し物でした。

イカリエ-XB1 

ストーリー展開は、まったり過ぎで、ちょっと睡魔が…でも、55年も前!の作品としてのディテールの完成度の高さは見る価値があると思います。プラハの春以前のチェコは、とても自由な雰囲気だったんだろうなあ。というのが、この映画を見ると想像出来ます。改めて東欧は珍品映画の宝庫であるという認識を確信しました。

ピーター・ラビット 

パディントンの二番煎じぐらいにしか思ってなかった。舞台もキャストもイギリスなのに、うさぎ達のノリが超アメリカンな感じ。個人的にはもっと、ブラックなテイストでも良かったかなーと思いました

フロリダ・プロジェクト (続き」 

私は全く受け入れられなかったスリー・ビルボードとの違い。を考えてました。あちらが、馬鹿なアメリカンの逆ギレを暴力で提示して、力の限り破壊し尽くしたのと違って、今回のど底辺の馬鹿者達は、貴方達の人権は尊重しますけど、法の掟にはキチンと従って貰いますから。というのを見せていた部分が、腑に落ちたからだと、分析しました。

フロリダ・プロジェクト 

完成度が高かったです。前作と似たモチーフである太陽が燦々と照る風光明媚な気候と社会の底辺の人々を描くという部分。前作が携帯で撮ったという部分も含めて、どこかキワモノ企画の様相を呈していましたが、今作は直球描写で、社会のど底辺にフォーカスを当てておりました。
どこから見ても屑人間ばかりの環境で、W・デフォー扮する管理人のみが唯一まともな人間。彼がいないと、映画も劇中の低所得者向けアパートの秩序も崩壊していたという構造は良くて来ていたと思います。
楽天家のアメリカン達に、この分断された救いようのない社会を見せるには、前作のカリフォルニアに匹敵するフロリダのピーカンの天気が無いと、見てもらい辛さそうな気もしました。
見ている途中に思ったのは、日本も似たような環境が自分が知らない範疇で、沢山あるんだろうなあ。という事でした。

ザ・スクエア 

笑える所と凡庸な部分のペースが混ざっててとても見ていて疲れた作品。
作品の主題は後半に集約されてたので、そこの部分をもっと膨らませた物語が見たかった。取り敢えず2hちょっとは長い。100分ぐらいのコンパクトな体裁が本当は良かったなー。
カンヌパルム・ドールあるある。ペースが合わないとmax辛い…個性的ではあるんですが、もう少しドラマ性の要素が高い作品の方が好きです。

ロンドン、人生はじめます 

えっ!D・キートンって72歳なの??って驚くぐらい素敵なので、ある一定以上の年齢の女性からの支持が高いのは頷けますね。そんな彼女を主役にした作品ですが、ドナルド役のB・グリーソンのキャラクターの方が映える感じがしました。愛すべき偏屈親父な所が。
演出は部分部分で、ちょっと安いなと感じる部分はあるんですが、いつものD・キートンのオサレ番長っぷり見てるだけでも、楽しいですよ。

連休中は、D・キートンの映画を見てくる予定。といういつも通りのマイペース鑑賞です。世間の流行に乗れないタイプ…

モリーズ・ゲーム 

アーロン・ソーキンの作品なので、台詞の量とスピード感に特徴あり。冒頭から主人公についての説明が怒涛のように続き、作品の渦中に放り込まれる感じです。
そして、J・チャスティンは昨年の「女神の見えざる手」に引き続き、聡明でパワフルな女性を演じるととてもハマりますね。
ポーカーを取り扱った作品って結構あるけれど、どれもそれなりにドラマティックですが、この作品は、法廷劇の要素もあるので、見応えはとてもありました。見た後ちょっとゲップが出そうなぐらいなお腹一杯感。
字幕担当は、町山智浩が地味なスピルバーグ作品の字幕担当者と言ってた松浦美奈さんでした。情報量とスピード感、後モーグルとポーカーのルールなども詰め込むかなり素人目にも大変そうな作品に感じました。

心と体と 

またまた東欧から不思議映画が登場しました。本当に個性的な作品や監督の宝庫ですね。特殊な能力を持つ若干メンヘラな不思議ちゃんと、睡眠中に見る夢を取り巻く物語。感想がとても言いにくいでも、なんとも言えない奇妙な雰囲気に興味津々でした。眠り・食・恋愛と人間の3大欲求をこういう風に表現するのが面白いなあと漠然と思いました。所でここの所映画の中に鹿が出てくる事が多いですが、鹿って何かのメタファー何ですかねえ??(教養なくてすみません…)

さすらいのレコード・コレクター 

60分足らずのドキュメンタリー。これ15年も前に制作されていた作品だったんですね。
20-30年代ぐらいまでのアナログレコードかつ ブルースやカントリーが好きなコレクターの話なんですけど、何でも徹底的に突き詰めればそれなりに価値のある物を生み出せる。と世界中のオタクが勘違いしてしまいそう。40年のキャリアと周辺知識まで造詣が深かったご本人の資質の幸運な邂逅。
それにしても、このおじさんまだ存命なんだろうか。ちょっと気になりますね。良いお歳のようでしたので。

Mother 

噂のD・アロノフスキー作品をamazonビデオにて鑑賞しました。予想通りJ・ローレンスを終始いたぶりまくる中々残酷な作品でした。途中この作品の主題って何??と数度逡巡すること然り。
大切にしていた物を奪われる事から始まる大ブチ切れ大会なのは分かるのですが、作品の根幹を成す主題としては、何か弱い足りない感じがしました。
それよりもJ・バルデムのクズ旦那ぶりの方が印象に残ってます。調子良い事言ってて、結局自分の事しか考えてない人結構居るよねと思ってしまいました。

あなたの旅立ち、綴ります 

近年よく目にする終活映画の括りと見て良いかも。捻くれ者の婆さん役がハマりすぎるS・マクレーンが見事なのは予想通り。
訃報専門記者役A・セイフランドが正面からはっきりと物事を言うタイプだったのが、2人のキャラが総並びする感じでバランスが取れてました。中盤から音楽が繋ぐ縁が絡まって、中々面白い展開になりました。アナログ万歳!

さよなら、僕のマンハッタン 

NY&アッパーミドルな家庭が舞台なので、N・バームバックの作品を彷彿とさせる雰囲気。
90分弱で良く纏まって、かつ丁寧な人物描写が好印象でした。
隣の家の謎のおじさん役のJ・ブリッジスがナイスでした。

ビューティフル・デイ 

去年のカンヌの主演男優賞受賞作You are never really hereの事です。
ほぼ90分P・フェニックスしか出てこない作品。herの時のオタク風情と変わって、殺し屋なので怖いです。とても。
ただ、この作品物凄く説明しづらい。ヨーロッパ映画の典型の様な丁寧な説明無しで、いきなり物語の中に放り込まれるので、見る人をとても選ぶとおもいます。

港町 

想田和弘の映画は今回初めて鑑賞しました。
公式のサイトを眺めていたら、最初はカラーで撮影していたそう。モノクロに加工して大正解だったと思います。昭和時代を切り取った映画のセットのような島の景色や年配の島民達の雰囲気に合っていたと思います。
前半は、淡々と島の風景を映し出していて、たまにこういう場所に数日行ってみたいと思ったけど、後半島民の婆さんが自分の半生を少し語り出すパートを見ていたら、田舎の因習ってやっぱり辛い。ドライだけど、便利な分都会の方が良いやと思ってしまいました。

監督の名前間違えました。
アンドレイ・ズビャギンツェフって言い辛い名前…

ラブレス 

ズビィニャンスクの作品は3本目の鑑賞ですが、これが今の所一番気に入りました。作品を追うごとに、人心の殺伐とした加減が増している気がしますが、共感とかではなくて、主要人物達の描写が、自分の中では腑に落ちる。という表現がしっくりとくる作品でした。
毒親や超自己中な主要な登場人物達の中で、中盤に起こるある事件に手を貸すボランティア達が一番まともな人達でした。
この人達の目線が多分主要な観客と同じ目線なんだと思います。
壊れた家庭の夫婦両当事者は、客観的に見たら屑なんだろうと思いますが、私は見ていてありだなこの対応。というか、行動パターンにふむふむとちょっと納得してしまいました。
無条件に注がれる子供への愛。みたいな描写に常々違和感を感じていたからかもしれませんが…

ダンガル 

スポ根の王道な作品。前半は20世紀も後半なのに、一歩間違うと虐待な程の父ちゃんコーチのスパルタ教育。
この辺の描写は、管理教育が大嫌いな私は相性が良くありませんでした。けれど、後進国の封建的な価値観とも戦ってるような描写の部分は印象に残ってます。後半のハイライト、コモンウェルス大会の辺りから、夢中になって見てしまいました。最後の試合の部分で、ちょっと良いなと思う演出がありました。
クリードとか好きな人は、割と気に入りそうな展開だと思います。

ウィンストン・チャーチル 

G・オールドマンのキャリアの集大成のような作品。元々カメレオン俳優ですが、本人と似ても似つかないチャーチルの風貌と話し方に本当にソックリ。勿論演技力も申し分無いのでそれを、ただただ堪能。
それと、チャーチルを囲む脇役も皆さんとても良かった。正統派の伝記映画になってたと思います。
見る前はもっとカリスマ性にフォーカスを当てているのかと思いましたが、凄く迷って逡巡するパートが多かったのが印象に残ってます。
私達は、未来から見ていて歴史の結末を知っているから安心して展開を見られますが、まさに国が消滅するかどうかの運命の分かれ道。
非常時で頭角を表す政治家と平常時にうまく回る政治家の違いがよく分かりました。
見る前にチャーチルの本読んでおいて良かった。第1次世界大戦時の作戦の失敗とか、10年間入閣出来なくて辛酸舐めた時代があっての、あの時代ですからね。

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