『昼顔』風の撮り方が陳腐。『岸辺の旅』辺りからの悪影響か?
バス、蛍、ドローン撮影、すれ違いカット、指輪、といった「映画っぽいっしょ?」という西谷弘の野心と、井上由美子の振れ幅が足りなくてこじんまりとしたメロドラマ脚本の相性が最悪。
伊藤歩がなんとか異質な雰囲気を出そうと動くがサスペンスより「不貞カップルを何とか盛り上げよう頑張るおせっかいな嫁さん」みたいに見えて気の毒。正直、松葉杖状態の彼女と上戸彩の物語にしたほうがまだマシな気がする。
祭り描写のしょぼさには「ここに車突っ込ませろよ!」と叫びそうになったし、平山浩行らの上戸らが持つ罪悪感を強調する以上の役割が与えられていないキャラクター描写は不愉快。ここら辺の安直な対立描写は『県庁の星』の頃から続く西谷作品の欠点。基本的に資質が君塚良一に似てるんだよなこの人。
『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』
3クール分は出来そうな怒涛の展開に圧倒されつつも、プリリズファンの目配せやプリズムショーの過去作の反復描写に食傷気味。
反復は『レインボーライブ』以前のシリーズからの積み重ねというう意味でも決して間違った表現とは思えないし感慨深くもあるのだが、Over The Rainbowの物語の終止符が「王座君臨」という微妙に守りに入った結末の印象も手伝って酷く保守的に思えて…。
大和アレクサンダー、タイガ、カヅキが織り成す破壊と再生のステージ対決は本作のハイライトだが、これとて劇中で二回もステージ破壊を披露した『SING/シング』の大胆さを目にした後だと霞む。
これで上の世代が多少すっきりした(そうか?)ので一条シンくんたちの、新の意味での新世代の物語を見たい。
『ツインエンジェルBREAK』第10話。やはり名取 孝浩、天才!最高!
沈みまくりのめぐるとストーリー展開に反比例するがごとくの、すみれの情熱とコンテ演出!
ここぞというところのアップでの感情爆発表現は名取氏の十八番だが、そこに至る助走とでもいうべきコンテの切れ味には鳥肌が立った。
特に歩道橋ですみれが長月に出会う場面のレイアウトの切れ味!「どうにかしたいのにどうにかできない」すみれの停滞と苛立ちの衝動を示す金網越しの電車走行カット!
F-15やら強引スロット描写やらビリー復活のストーリー仕掛けも楽しいけど、ここらあたりは今期に『sin 七つの大罪 』という強力な番組が存在してるのでどうしても平凡に見えてしまう。そこに確固たる支柱をコンテと演出で築く『ツインエンジェルBREAK』にはアニメの醍醐味がたっぷり詰まっている!いや、ストーリーも最高ですけどね。
@Chickeness666 テキスト隠しが思った以上に重宝してますね~
@hktsunagetemiru お疲れ様でした。またどこかで。
@salo 『人生はビギナーズ』は自分も今一つでしたね。今回は、もう音楽聞くだけでも是非!って感じですww
@hktsunagetemiru 金と女の罠の比重が映像化(というか作品別に)に際して変わるところが面白いですよね。「女の罠」に傾くのは如何にもジョン・ブラームっぽい。
ライオネルは限りなく近いけどあんまりノワールの方向に行かないのも興味深いです(主人公が経済面や倫理の間で揺れても、自身が属する世界への疑念には無頓着な印象)。
キューブリックの『現金に体を張れ』(56)やゴダールの『気狂いピエロ』(65)の原作者として知られるライオネル・ホワイトの『ある死刑囚のファイル』(59)を読む。ホワイトの小説はさほど翻訳されてないと思うが、あとがきによれば当たり外れの多い作家なのだという。そしてこれは当たりと書いているのだが、うーん、どうかな?妻が殺され掛けた数日後、今度は夫の車のトランクから知らない男の死体が発見されて彼は逮捕されてしまう。主人公は隣人の弁護士で、しかし殺人は門外漢なのだが夫婦はどうしても彼に弁護してくれと言うのだ。一体なぜそこまでこだわるのか?小説を読んだらその映像化を探せ!それが映画ファンの鉄則だが、これはTVシリーズ『ボリス・カーロフのスリラー』(60-62)のエピソードとして映像化されている。You Tubeに上がっていたので見たが、ちょっと変わったファムファタルものに思えた。読んでいる時には思わなかったことだ。やり方次第では化けたかも知れない。監督は『謎の下宿人』(44)のジョン・ブラーム。
https://www.youtube.com/watch?v=YsXQleOQmmc
『20センチュリー・ウーマン』2回目。大好き。耳が幸せとはこのこと。
当然の如くトーキング・ヘッズが来てザ・レインコーツにジャームス(!)と来て「ベイズン・ストリート・ブルース」や「イン・ア・センチメンタル・ムード」が流れてもクラクラする。ここにアステアやボウイやスーサイドまで来て、ロジャー・ニールで締める。サントラの感想みたいだけどマジで耳だけで鑑賞したくなる傑作なのよ。
画面も最高で窓からエル・ファニングが訪ねてくる夢のようなカットが何度も何度も…。『こわれゆく女』並みの気まずさあふれる夕食場面は、場をかき乱すグレタ・ガーウィグやエルよりアネット・ベニングの方があの作品のピーター・フォーク化している異様さ。
スケボーと車の並走とモーテルでの代わる代わるのダンス(ビル・コンドン版『美女と野獣』との奇跡的符号!)、そしてウィリアム・A・ウェルマンのような大空の旅立ちに涙…。
『人生はビギナーズ』の凹む印象も全てはこのためにあったのだ。ありがとうマイク・ミルズ。
未公開DVD&iTunes Storeスルー『ヒットマン:インポッシブル』(原題:Tiszta szívvel) アカデミー賞外国語映画賞ハンガリー代表作品。こりゃ面白い!
車いすクライム物としては勿論、純然たるヒーロー映画の傑作であった!『ローガン』に傷心な方は是非見てほしい。
キャラ立ちのお手本みたいなゾリたちルパゾフの出会いから語り口の上手さに舌を巻いた。キャラの書き分けの上手さが各々が待つハンディの特徴とリンクしていく巧みさ!
姿勢を屈めた体制がデフォルトの彼らの視点は銃撃戦から単なる移動まで新鮮な構図と演出を観客に示してくれる。遮断物にならないソファが象徴する弾除けのためのギャングたちのひれ伏す大勢こそ、ルパゾフ格好の殺しの大勢になる痛快さ。
ジャンル映画のパロディとして優れた設定がまぎれもない個人の切実な物語に集束していくラストには涙を禁じ得ない。サントラも最高!
輸入BD『The Perfume of the Lady in Black』
DVDの画質も良かったけどBDになると原色多様のドレスや美術の迫力に圧倒されるな。フランチェスコ・バリッリが目指した狂気に満ちた『不思議の国のアリス』が高画質でより豊かに恐ろしく堪能出来る。
ミムジー・ファーマーが死んだ母や自身の幼少時の化身?に出くわしてしまう場面をショックシーンとして演出していないところに本作の肝がある。バルコニーのショットの悲しさに満ちた動線の見事さよ…。
『テナント』みたいな展開をブチ壊す伝説的ラストシーンも素晴らしい。厳粛なムードからバーゲンセールの押し合い圧し合いを経て、また厳粛なムードでカメラが引いていくあの感じ。最高。
フランチェスコは脚本作の『怪奇!魔境の裸族 』 や『死んでいるのは誰?』よりこちらのほうが面白いと思うけど未だ未公開なんだよな。ミムジーファン的にもジャーロファン的にも絶対引きのある傑作だと思うんだが…。
シネフィル