Jai Lava Kusa (Telugu - 2017)を9月26日、Carnival Cinemaにて。英語字幕付き。
現地レビューは押並べて芳しくないながらも、個人的には久しぶりのNTRジュニアのヒット。重度に神話映画からの引用を織り込みつつ、旅芝居への郷愁も併せて取り込み、一人三役という非リアリズム・ベクトルを恥じることなく、旧時代的ヒーロー中心主義の作品世界を展開した。ジュニアの芸をただひたすら誇示するために、3人のキャラが服装や髪形まで同じにするシーンあったり、それぞれのキャラが趣向の違うダンスを踊るソングが設定されていたり、至れり尽くせりのサービスぶり。ハリウッド的な映像術を至上のものとみなす現地インテリには受けなかったのはよくわかるが、せせこましいリアリズムや教養主義くそくらえな自分には嬉しかった。
Simran (Hindi - 2017)を9月28日、Golden Villege City Squareにて。英語字幕付き。
アトランタに住むインド系二世、30歳、離婚経験あり、ホテルの客室清掃担当の女性のポートレイト。開始後30分ぐらいまでは、自立していながらも童心も併せ持つ、ロールモデル的な大人の女性なのかと思わせて、途中から実はトンデモねえタマだということが明らかになる、悪い意味でのトリッキーな脚本。カングナー・ラーナーウトにはどうしてこう「不思議ちゃん」崩れな役柄が当てられるのか。実話に基づくものだというのだが、それを知っても、ヒンディー語のインド映画として何を表現したかったのか理解に苦しむ。インド系に限らない在米マイノリティ非エリート層の根無し草的倫理観を描きたかったのか。米国では、西~南アジア人のやや色白な肌のことを「オリーブ色」と表現するというのを知った。
Sri Krishna Pandaveeyam(Telugu - 1966)をDVDで。二回目。
字幕なしの3時間だが、結局全部見てしまった。50~60年代の全盛期テルグ神話映画の中でも際立つ特異な構成。マハーバーラタ中の余り知られていない逸話だけを特に選り抜いたような不思議。歌舞伎の一幕見の集成のよう。息抜き的なものも中には混じるのだが、マハーバーラタの敵側の人物が、どのようにして恨みを増幅させて開戦になだれ込むことになったのかを示すエピソードが目につく。そして叙事詩のハイライトであるクルクシェートラの大合戦は一切描写されないのだ。白眉はスヨーダナが集会場で醜態をさらして笑い者になるシーン。原典訳マハーバーラタ第二巻のP.352にわずか15,6行で記されているエピソードを膨らませ、独自の解釈を加えたもの。この描写の悪夢のような不思議な感じが癖になる。
Mouna Guru (Tamil - 2011)をDVDで。
リメイクであるAkira(Hindi - 2016)を先に見ちゃってたからストーリーは知ってたけど、先日見たDemonte Colonyのアルルニディがちょっと気になったので、遡って鑑賞してみた。やはりこれは主人公が男子だと、リアリティと劇中の出来事の不条理さが際立つ気がする。ソーナークシーも良かったが、キャラを女性にしたことで、平凡な主人公がメッセージ性を帯びた神話的ファイターに変わってしまう(しかしどちらの在り方も悪くない)。アルルニディはイケメンで表現力もあるが、カリスマスターになるタイプじゃなく、こうしたニューウェーブ系でこつこついい仕事をして行くのかも。ウマー・リヤズ・カーンの驚きの存在感は収穫。
Demonte Colony (Tamil - 2015)をHero Talkiesで。
お笑いじゃない本格スリラー、しかも日本のホラーの影響を受けてるというので期待して見たけど、あんまし怖くなかった。若者四人がホラーハウスに入り込んだことから呪いを被って恐怖を味わうというストーリー。主演のアルルニディ(おお、カルナーニディの親戚なのか)は結構イケメンだが、イケメンの恐怖にひきつった顔を見せられても、あまり背筋が寒くなる効果はないのだった。化け物屋敷の過去の惨劇には女性が絡んでいるにも関わらず、祟りを起こすのは男性だし、なんか非常に男っぽいホラーなのだった。薄汚いトイレで怪異が起きたりして、むさ苦しさが怖さよりも勝った感じ。先日見たMayaが、美しくも恐ろしいものになっていたのとは対照的。やはり祟るのも祟られるのも女性にやってほしいとは思う、個人的な好みとしては。
Indru Netru Naalai (Tamil - 2015)をTentkottaで。
タミル映画初のタイムトラベルSFという謳い文句もあったらしいが、多分嘘。絶対に1980年代にカマルハーサン辺りがやってるはず。2016年の豪華な「24」を見てしまった後だと、貧乏くさくモタモタした作りに思えてしまうのはやむを得ない。Visual Wonderで攻めまくる24と比べると、こちらはいかにもデビュー監督の生真面目さ(実際にはお笑いも多いのだが)が出ている。主演のヴィシュヌ・ヴィシャールは適役だが、こいつを140分眺めるのが楽しいとは思えない。サイドキックのカルナ―カランは絶好調。しかしあくまでもサイドキックなので全開にはできないのがもどかしい。コメディーシーンの可笑しみも、英語字幕では掴み切れないのは残念な点。
Jab Harry Met Sejal (Hindi - 2017)を汐留スペースFSで。英語字幕付き。
困っちまうリア充映画の典型。インド映画は一般に恋愛を描くことが下手で、多くの作品がいまだに一目惚れ+ヒーローによるヒロインへのストーキング求愛という黄金パターンを抜け出せていない。恋愛映画と言いながら、上映時間の8割がたが、家族の説得とか、恋敵との乱闘とか、親の決めた縁談を回避するとかのエピソードで埋められる。近年になってそういう周辺的な事象ではなく恋心そのものを描こうとする試みも現れ始めたが、一切のしがらみを外して主人公を自由にするために外国に舞台を措くということをやりがち。そして自由にしてみると、その先どうしたらいいのかが分からず、思わせぶりな台詞を口にしながら観光地ではしゃぐだけ(U指定は死守したいのでセックスはしない)。一言でいうと、製作者が考えすぎて何が何だか分からなくなっちまった作品か。