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『黄金』 

最初に観たハンフリー・ボガートの作品。なので、この後で観た『カサブランカ』や私立探偵役のボギーを見ても、どことなく悪役の印象が拭えなかったりする。
三人でコツコツ苦労してお宝を掘り当てたが、一人の小悪党のためにチャラになってしまう話。
まあ、この顔ぶれではハッピーエンドになりそうもないと最初から予想はできたけど、生き残った二人は最終的に人生の生きがいや目標を得たわけで、めでたしといったところか。
でも自分がこんな目にあったら、最後にガハハと笑えないだろうな。

『天城越え』 

詩情豊かな和製ミステリー映画の傑作。
松本清張の原作は『張込み』と同じく30分位で読める短い短編で状況描写のみのあっさりしたものだが、現代に事件後の舞台を新設するなど映画的な演出が成功していると思う。
この年の主な女優賞を総ナメしたのが納得の、田中裕子の一世一代といっていい名演が見事。渡瀬恒彦との火花の出るような取り調べシーンは、邦画史に残る名場面といってもいいと思う。
有名な、田中の希望で仕掛けを使わなかった自前による失禁シーンなど、今時の女優には考えられない役者根性である。
満点にしたいところだが、やはり邦画ミステリー特有の長い事件解決部分が減点。ここを10分だけ短くしたら完璧だったのに残念。
ちなみに主題歌は石川さゆりではないw

海賊映画最新作を観に行った人によると、途中半数近くのお客が睡魔と戦っていたらしいが?

これは面白そう。子供向け作品は映画館、大人向けは配信ドラマという流れが加速して欲しい。
cinematoday.jp/news/N0092533

『炎の人ゴッホ』 

数10年ぶりの再鑑賞。
一番記憶に残っているシーンは、ゴッホが耳を切り落とした直後に村人が大勢からかいに来るところ。同じ場所に住んでいても、こんなに思いやりが無いものかと暗い気持ちになった。
映画ではアンソニー・クイン演じるゴーギャンが悪者にされているが、やはり運の無い人だったという事だろう。
献身的に支援を続けた弟のテオも、ゴッホが亡くなった翌年に精神病で亡くなった事からも、兄弟揃って不運だったという事でやりきれない気持ちになる。
それにしても、ミュージカルの名手ヴィンセント・ミネリ監督作品だったとは今回知って驚いた。

『デッドシティ2055』 

『ブレードランナー』の世界観を少し感じさせるレプリカントもの。
ブルース・ウイリスがちょい顔出しした、ワケ分からないSFのパターンかと思ったら意外に面白かった。
主役達は無名の俳優でウイリスは完全な悪役。人造人間の姉ちゃん達が沢山いる風俗店というのは面白い発想。

『シネマの天使』 

地方の閉館する老舗映画館の話。
映画の中では全く語られていなかったが、閉館の最大の理由はコストカットの際デジタル映写に完全移行するため、大元の映画会社が新作のフィルムを扱わなくなったから。
客入りが増えるのを見込めないのに、2000万円近くするというデジタル設備変更が地方の単館にできるわけがない。つまり、業界が自分で自分の首を絞めたようなものである。
映画は恵まれたロケーションなのに、作り手の力量不足で凡作になった。映画監督志望の青年の話など不要だし、シネマの地縛霊役ミッキー・カーチスも生かしきれていなかった。
本編はトホホな出来だったが、エンドロールで流れる最近閉館した新宿ミラノ座や銀座シネパトスに、山形のシネマ旭などの写真が一番感動したかも。

『小人の饗宴』 

ヴェルナー・ヘルツォーク監督の長編デビュー作。登場するのは全員小人の皆さんという事でサーカスか見世物小屋ものかと思ったが、施設の中の話みたい。
何故か施設の管理者達は全員外出しているという状況で、最初は愛嬌のある雰囲気だったが後半からは暴徒と化す小人達のパワーに圧倒される。
この映画の中で一番不気味で気味悪いのが鶏で、こんなの長時間撮らないで欲しいよ、全く(笑)

『カスパー・ハウザーの謎』 

1833年に21歳の若さで暗殺された実在する人物の数奇な人生を、ヴェルナー・ヘルツウォーク監督が映像化したもので、カンヌ映画祭の審査員特別グランプリを受賞した出世作である。
幼い頃から母親からの虐待のために知的障害者の施設にいたブルーノ・Sを、カスパー役に抜擢した配役のセンスが素晴らしい。もっとも既に30代だったブルーノが少年らしくないのは仕方ないが。
単語しか知らなかったカスパーが僅か5年でこんなに多弁になるのは極端な気もするが、多数出版されているらしい研究本と合わせて観たいところ。
誰がカスパーを幽閉して生かしていたのか、暗殺者は誰なのか。興味は尽きない。 eigadon.net/media/uujgBGdcMllZ

上半期ベスト10と言われても、首都圏の10分の1しか新作が上映されない地域にいるんじゃ意味ないので、考えたこともないけど。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
2時間10分を超える映画にするような話とはとても思えず。
今時はもっと複雑で問題を抱えた家族は沢山いるだろうし、これを商業映画という形で第三者が見るのは違う気がする。
クズ映画とは言わないけど、良くも悪くもない食堂の定食みたいな映画である。 eigadon.net/media/42a6U_QIp-NE

『帝銀事件 死刑囚』
松本清張が書いた実録小説も興味深いものだったが、この映画はGHQの介入の件は少し流す程度で、平沢貞通という人物に焦点を当てたものになっている。
平沢を演じる信欣三の怪演が凄い。そして事件現場や警視庁捜査本部に詰める新聞記者達の人数が半端ない。
結局事件の真相を検証するのではなく、関わった人々の群像劇になってしまった点は不満が残る。

『グッドナイト・マミー』
珍しいオーストリア製ホラー。ネタバレになるので感想は書けないけど、Gが苦手な方は観ない方がいいですw

『日本の黒い夏 冤罪』
昭和の社会派映画の名手熊井啓監督も、平成になるとこんな凡作を作っていたかと思うと悲しくなった。
松本サリン事件を題材にした意義は認めるが、主役が冤罪の被害者ではなく地元のテレビ局にしてしまったのが大失敗。決局テレビ屋のヨイショ映画だったのかよと感じてしまった。

地元のTSUTAYAで準新作料金が半額だったので、一年ぶりにレンタル。
eigadon.net/media/TtfcE2UBKtwn

『悼む人』
辛気臭くも重苦しい物語だった。原作は未読だが、この話は小説で読むだけで充分な気がする。
役者陣も良く理解しないで演じていたとは思うが、それぞれ好演だったと思う。重要な濡れ場なのに、頑として胸を見せない石田ゆり子の強情さに一番感動した(笑)

ゲオチャンネルって今月でもうサービス終了なのか。宣伝していた割には、僅か1年余りだったな。入会しなくて良かったよ。

『忍びの者』
荒唐無稽な忍法を使わない忍者もの。凄腕だが女好きで優しい石川五右衛門という、それまでに無かったキャラを市川雷蔵が好演。逆に妖怪変化みたいな百地三太夫を伊藤雄之助が怪演。
ツッコミ所は色々あるが、雷蔵さんが主役なら何でも許せるかな。

ヘッダーに『第七の封印』のチェス場面を入れてみた。

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