『天城越え』
詩情豊かな和製ミステリー映画の傑作。
松本清張の原作は『張込み』と同じく30分位で読める短い短編で状況描写のみのあっさりしたものだが、現代に事件後の舞台を新設するなど映画的な演出が成功していると思う。
この年の主な女優賞を総ナメしたのが納得の、田中裕子の一世一代といっていい名演が見事。渡瀬恒彦との火花の出るような取り調べシーンは、邦画史に残る名場面といってもいいと思う。
有名な、田中の希望で仕掛けを使わなかった自前による失禁シーンなど、今時の女優には考えられない役者根性である。
満点にしたいところだが、やはり邦画ミステリー特有の長い事件解決部分が減点。ここを10分だけ短くしたら完璧だったのに残念。
ちなみに主題歌は石川さゆりではないw