タイトル借りした「越境者」
はフェリーニ脚本参加。鉱山閉鎖で食い扶持を失った鉱夫とその家族たちが密入国ブローカーに唆されフランスを目指すもブローカーは当然詐欺師、金を奪われ行き場も失った彼らは。
「怒りの葡萄」がどうにも苦手で、というのも土の香りが強すぎるからなんだけど、同系統の労働者ストーリーでもこっちは嫌いじゃないのは土の匂いがあまりしない。
土地を奪われての止むに止まれぬ越境は「怒りの葡萄」だと悲劇的な色彩を帯びたけれども、土地に執着がない「越境者」は悲劇の中でも越境を肯定的に捉えていたように思う。
都会的ということだな。奥行きのある絵画的な構図も都会的なセンス。ラストはストレートに都会人の理想主義かもしれないが、ストレートに感動。