『イニシェリン島の精霊』面白かった
登場人物も展開も落語の滑稽噺みたいな映画で、ある意味『寝床』の裏返し。『寝床』の旦那は退屈芸で人を困らせるだけだったが『イニシェリン島』の退屈旦那コリン・ファレルはそのつまらない話で大抵の人間が考えるいつか必ず訪れる自分の死というきわめてシリアスなものを、少なくともその話をしている間だけは忘れさせてくれる。俺はそのように見たので、ラストはビターなハッピーエンドだと思った。アイルランド本島から聞こえてくる戦争の音=死を宣告するバンシーの叫びが、ほんのいっときだとしてもコリン・ファレルが起こした騒動のおかげで聞こえなくなったっていう。それも落語っぽいオチだよね。
『ガーディアンズ』(原題: Защитники) BDで鑑賞。
冷戦時代のソ連。遺伝子操作による超人誕生計画が科学者クラトフの暴走により失敗。50年後、自身も超人化していた彼は世界征服への行動を起こす。それを阻止する為、計画で生み出され今は隠遁生活していた「ガーディアンズ」を招集。自分たちを改造したクラトフへの復讐心と、世界を救う思いを胸に戦いに挑む。
非常に珍しい、純ロシア産スーパーヒーロー映画。明確にMCUあたりを意識した作品。総製作費3億ルーブル(ドル換算540万ドル)は高額ではないけれど、特撮CGは頑張っている(たぶん人件費が安い)。
物語は類型的だし心理描写もそれなり(悪くはないが優れてもいない)。完成度では到底ハリウッド作品にはかなわないけど「こまけぇこたぁいいんだよ!」の心で観たい。映像や構図は奇麗だし、キャラクターは(個人的には)魅力的だし、ロシア美人もたくさん出るし、素直な気持ちで楽しみたい。
ラスト、続編作る気まんまんだったんだろうなあ。ロシアの今の状況では、当面映画が作られることはないだろうし、作られたとしても、世界で公開されることはないだろう。残念。
まったく話題になっていないがリバイバル公開中の韓国映画『おばあちゃんの家』、これは素晴らしい作品だった。キアロスタミやホウ・シャオシェン、北野武の作品と一脈相通ずる児童映画の名編。全然客入ってないのでぜひ観てやってほしい。
日本公開20周年記念公開 映画『おばあちゃんの家 デジタル・リマスター版』予告編【公式】1月6日公開 https://youtu.be/eWkGEeEkgLs @YouTubeより
『スティルウォーター』
『プラネット・オブ・ピッグ/豚の惑星』
『白いトリュフの宿る森』
『バーニング・ダウン 爆発都市』
『リフレクション』
『PLAN 75』
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
『こちらあみ子』
『七人樂隊』
『マッドゴッド』
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