12日の殺人鑑賞。
一瞬前まで楽しそうだった女の子が、バシャリと液体をかけられて、え?何?と思った瞬間に灯るライターの火に、息を呑んだ。夜の画面の端が明るくなって…映し方怖いんだよ。映し方も怖いけど、事実そのものも怖い。あんな殺され方をしていい人なんていない。彼らが語る彼女がどんな人間だったとしても。
男と女の溝…男性ばかりの容疑者を、男性ばかりの捜査官たちが調べる…言われてみればそうだわ!というのを後半に出てくる人たちが言ってくれるのが面白い。
未解決事件についての話なのでスッキリはないけれども、ずっと同じところを何度も何度も厳しい顔つきで周り続けたヨアンが、青空の下を自転車で走るという終わり方は、"停滞"や"閉塞"ではない空気が感じられて良かった。
良かったといいつつ、淡々と進むため、実は前半の捜査のあたりでちょっと(だいぶ?)ウトウトしちゃった…。
#映画 #映画鑑賞 #12日の殺人
エターナル・サンシャイン鑑賞。
もし単なる、出会って別れてというラブストーリーだったらそんなに興味が持てなかったもしれないけど、消されたくない記憶の抵抗がスリリングで、またちょっと謎めいた要素もあって最後まで面白く見られた。
私はおそらく独占欲ならぬ所有欲が強い人間なので、記憶という私だけが所有できる最たるものを手放すなんてたぶんできない。けれどももしカジュアルに記憶が消せる世界になったら、どうだろう。そういう選択をすることもあるのだろうか。なんかつい、書き残したりしちゃいそう。それはともかく。最初は少しモヤモヤしたものの、主人公カップルにしても、あるキャラクターにしても、消されてもなお残るものが引き寄せ合う物語でもあるところが好き。
奇抜で風変わりなケイト・ウィンスレットもかわいかったし、キルスティン・ダンストもめちゃくちゃかわいかった。
#映画 #映画鑑賞 #エターナルサンシャイン
カード・カウンター鑑賞。 オスカー・アイザックがセクシー。だけで済ますには惜しいのだけれど、どんな言葉で表すのが適切なのかが難しい。
この作品の凄さは、私にはまだちょっと理解できていないかもしれない。
「なんなんだろう、この人は」が、最初の印象。モーテルに入るたびに、家具にシーツ?を被せる儀式を繰り返す。じわじわ変だし、本人の表情が劇的に変わるわけでもないので波もない…ように見える。刑務所の映像がすげー気持ち悪くて悪夢みたいなんだけど、実際悪夢みたいなことはあったわけで。あの映像が現実感がないせいで(ないおかげで?)それが良いとか悪いとかでなく、どういうスタンスで見れば良いのかわからなくなってしまった。
壊す方も壊れていくみたいな過去と事実があって、だから人生を諦めていて人を寄せ付けない。目立たないように生きていきたいけど、許される方法も本当は求めているのかもしれない。そういう意識が、人と関わることで滲み出てくるのは好き。罪は消えないけど、自分の人生を生きてもいいと思えるようになった、という結末なのかなぁ。
#映画 #映画鑑賞 #カードカウンター
リトル・エッラ鑑賞。続き。
エッラの不機嫌顔がすごくかわいいし、トミーおじさんも優しくて良い人だし、押しに弱くて優秀な技術者?オットーも絶妙なかわいさだった。なんでこの写真汚れてるの?と思ったら、汚れじゃなくて穴だったし、お母さんがダーツの名手だったのが結構好き。
寛容な社会をサラッと見せられると、今の子/これからの子はこういう見方で世界を見て育っていくのかーすごいなーと思う(し、羨ましいとも思う)
リトル・エッラ鑑賞。おじさんと私だけの世界に邪魔者がやってきた!エッラがおじの恋人に仕掛けるイタズラの数々…。かわいらしくて軽快で、しっかりほっこりさせてくる。
エッラの世界にはトミーだけで良かった。でもトミーにはトミーの世界がある。それが許せないところが子どもらしくてかわいかった。他の人には他の人の世界があると受け入れていくのが、嫌味なく、楽しく見られる。スティーブを受け入れられるようになって、エッラはサッカーを一人でしなくなる。それって本当にすごい成長だ。見終わった直後はそこまで思い至ってなかったけど、思い返すとじわじわとポイントが上がっていく。すごく良かった。
ペットに関してはちょっとハラハラしたけど、数々のイタズラがすべて裏目に出て、どこを切り取っても笑ってしまう。それはひとえにトミーの恋人スティーブがめちゃくちゃ良い人ってのがあって、とにかくそこがすごい。スティーブ以外もみんなすごく面白くて好きだった。
#映画 #映画鑑賞 #リトルエッラ
パスト ライブス/再会鑑賞。続き。
2番目は、こういうの見ると、アーサーの立場…と思ってしまう。韓国語をどこまでわかっていたのだろうか、もしかしたら、6割7割はわかっていたんじゃないか…勝手にハラハラしてしまって見ていられない。別に誰もそんな変な会話はしていなくても。ノラとヘソンがプラトニックだからこそズカズカと踏み込めないというか。夫なんだから少しくらい幅をきかせたっていいのに(まぁ、そんな人だったらノラのパートナーになってない思うけど)、「自分の知らない君がいる」ことへの不安を口にしたり、静かに二人の隣に座ってたり。あー!良い人だからこそ落ち着かないー!
パスト ライブス/再会鑑賞。縁についての物語。あるいは初恋の。24年越しの初恋。
正直…感想が書きづらい…。
まず1番の感想は「初恋を20年も引きずるものじゃないなぁ」だった。最初、ヘソンは何をしに行くのだろう、と思ってしまって。奪ってやろうとかでもないから。片やノラにとってはとっくにもう終わっていたものだと、私は思う。だから何のためらいもなく再会した途端にハグができる。もちろん、ハグをする文化で育った人と、ハグをする文化で育っていない人の違いもあるだろう。それがあっての最後。ヘソンが逡巡なしにハグをするのは、終わらせると決めたからだ。そのためにニューヨークに来たのかぁ…と、そこは少し納得がいったかもしれない。今のノラではなく、自分の中のナヨンとの決別。「その時会おう」は「来世で会おう」で、もう永遠に会わないということだ、たぶん。だからノラは泣いたのだろう。初恋はいつまでも記憶に残るし、縁だって形を変えてもずっと繋がっていたかもしれない、でもノラは、もしかしたら友情も失ってしまった。
#映画 #映画鑑賞 #パストライブス
オッペンハイマー、歴史的なことなので特に伏せる意味もないけど、一応伏せておく面白かったところ。
他の作品で見知ってる俳優がいっぱいいたので役名じゃなく俳優名でキャラを把握する体たらくではあるが、クラウス・フックス役は全然地味で誰だかよくわからない感じの俳優だったので面白かった(有名な方だったらごめんなさい)爆破の実験の時も「フックス、頭を下げろ」ばっかり言われてて。そもそも情報をソ連に横流しにしてたの、あの地味なやつだったんかーい!
彼自身は原爆によってどんな酷いことが起きるか一番わかっているであろう自分たち科学者を大量殺戮の責任は自分たちにはないのだと説得できる人で、他人から見れば自分自身をも説得できる人間だとまで言われる。けれど、それでも頭をよぎる閃光、悲鳴、焼ける世界の幻覚に苛まれ、聴聞会の流れを受け入れていく姿に"罰されたい人"なのだという印象を受けた。(それをキリアン・マーフィーにやらせるところに結構なフェティシズムを感じるのは私だけだろうか)
また、序盤で天才たちが少し言葉を交わした部分が、最終的にストロースこそが天才たちにとっては話題にするにも値しない取るに足らない人物であったと当てこすられるのは溜飲が下がった。いや、注目すべきはあの時点で既に未来を正確に予期していた天才たちの会話自体なんだけれども。
ノーラン映画にしては女性が綺麗に見えたと思う(そこがいつも不満😅)聴聞会で奥さんの番が来た時、最初落ち着かなげだったのに徐々に流れを掴んで、その場の空気を掌握していく姿が、なんとなく好き。
オッペンハイマー鑑賞。
原爆の!原爆の!と身構えるほど科学の話でもなく、どちらかと言えば政治多めの話で意外だった。だから面白いかと言われると、全然知らない話ばっかりで、TENETとかとはまた違う意味でついていけてないのだけれど。とはいえ、全然眠くならなかったのは音とか、やっぱり良かったからかなー。ありがとうIMAX。
大成功の直後、実験から実用となると、蚊帳の外にされてしまうオッペンハイマーの表情。世間的にはヒーローかもしれないけど、実情としてはあの瞬間に軍にとってというか国にとってというか、既に何者でもない、取るに足らない人物になってしまっているように見える。大統領に、なんならそのまま言われる。あの「責任があるのは、私だ」は慰めの類ではなく軽蔑に近い「お前なんて何者でもない」と同義だ。
自分の手から離れていった途端いろいろなものをコントロール出来なくなっていくようにも見えた(歴史的な事実としては公聴会までにも、もっと時間が経っているんだろうけど、イマイチ時間の感覚がわからない映画だった)
#映画 #映画鑑賞 #オッペンハイマー
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章鑑賞。続き。
高校生活って楽しいよなぁ!私がファッション方面に興味がないのと田舎の高校生だったのとで、一緒に服を買いに行こう!みたいなイベントはなかったけど、ゲーセンとかカラオケとか友達の家でダラダラ過ごしたり、そういう高校時代を思い出した。うちの県はツチノコが有名らしいけれども捕まえに行ったことはない。
全然どうでもいいけど、門出ちゃんのお父さんは声がいい。おんたんのお兄ちゃんも素敵だ、心霊写真爆撃してるのはどうかと思うけど。
さらにどうでもいいけど、門出ちゃんにデーモンとあだ名をつけるセンス!私だったら「デーモンとかめっちゃかっこいい!」と思ってしまうので、あれでいじめる意味が分からない。
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章鑑賞。
いきなりクライマックスみたいな危機シーンから始まる!のに、その危機がずっと頭上にあり漠然とした不安を抱えながらもぽやんと女子高生の日常なので、面白いとは聞いていたけど何がそんなに人を惹きつけるのか…と思っていたら!
うわぁ、こんな話になるとはー!という、思ってもみない方向に転がるストーリーって大好物!うっすら面白いということだけを教えてくれた皆さん、私にネタバレをしないでいてくれてありがとう!ネタバレを踏まずにいた私おめでとう!最近見た『アンテベラム』の時もこんなことを想った気がする。
その存在が"絶対"という友情の話が好きだ。ただそれはともすれば"依存"になりかねず、そうすると健康的な関係じゃないなぁと思ってしまうのだけれど、おんたんと門出ちゃんは双方向に"絶対"(が明言される)で、かつ他の友達ともしっかり関係を築ける子たちで、なんとなく安心して見られた(その上で、小学生?子どもゆえの正義に対する視野の狭さとかそういうシリアス方向の振れ具合もぐっとくる)。
#映画 #映画鑑賞 #デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
ストレイト・ストーリー鑑賞。
へー、デヴィッド・リンチ、こういうのもあるんだー。意外!奇妙さがあまりない!まぁ、トラクターでロードムービーってこと自体が奇妙ではあるんだけど。
『ツイン・ピークス』の時は、間=笑えるおかしさだと思って見てたけど、これは、なんか、間がじっくり優しい。なんでもないことで別れてしまった人に会いに行く。二人で見上げた星空を忘れない。ただそれだけの物語。ゆっくりゆっくり進んで、道中で人の心に残していく言葉もすごく優しくて、じんわりと良かった。
若い時に見てたら「なんだこれ」と思ったかもしれないから、今見てすごく良かった。年取ってからまた見たい。
#映画 #映画鑑賞 #ストレイトストーリー
ロボコップ鑑賞。リメイクの方。
評判が悪いのはなんとなく耳に入っていたけど、全然悪くなかったよ!ジョエル・キナマンが好きっていうのは、まぁ、ある。あと、かわいそうなキャラって、好きなんだよね(最悪な感想だ!)動く時にいちいちウィンウィンって音がするのはダセェんだけど、もう、そういう世界だし、いいよいいよ!もっとやっちゃって!スタイリッシュになってていいよいいよ!私は好きだよ!
昔のやつって結構絵的にグロかった気がするんだけど、これはそうでもなかったかも。そもそも脳みそだけ(だけでもないが)生かしてる時点で精神的にグロいか。ドレイファス法云々とか、アメリカは偉大だー!みたいな言い方とか、いや絶対そう思ってないじゃん…っていう表現の仕方もなかなかに黒いなぁと思う。
全然映画自体と関係ない感想なんだけど、アメコミ映像化作品で見たことある人ばっかり出てくる!若干DC勢が多い?
#映画 #映画鑑賞 #ロボコップ
コール・ジェーン鑑賞。続き。
ジョイが仕事として最初に会った女性が最初の施術相手というのとか、パンプキンパイ量産とか、真面目なテーマだけど見せ方も面白かった。
体を救ってくれる人の必要性と同時に、心細くて伸ばした手を握ってくれる人の必要性、また救い手を育てる必要についても感じる、強い物語だった。
コール・ジェーン-女性たちの秘密の電話-鑑賞。特別何かに追いかけられるとかいうこともないのに変な言い方だけど、手に汗握って妙なスリルを感じながら見た。
ジョイの施術のシーンはもちろんヒヤヒヤしたし、それ以外でも、もしたった一人でも術中にあるいは術後に何かあったら、それだけで全員の人生が終わるかもしれないし、実際に摘発されてもいる。ただメインはそんな話でも絵面でもない。それなのにずっとそれでハラハラした。私が勝手に緊張してただけなんだけど、そのスリルも魅力だった。
違法だとしてもやらなくちゃいけないこと、やらずにはいられなかったこと。ジョイの体の話を、男たちの誰一人ジョイをまともに見ないで決めていく世界だから。あの描写、すごくゾッとしたし、嫌さが効いていた。ジョイ自身が、ジェーンというグループを通して女性の体について学び直し…あるいは初めてきちんと学んだのかも?まぁとにかく、"ただの主婦"に押し込められたクレバーな自分を発見していく。
#映画 #映画鑑賞 #コールジェーン
DUNE 砂の惑星 PART2鑑賞。
音がすごかったー。めちゃくちゃリッチな体験だった。映像も贅沢で、思う存分世界に浸れる。見た環境(Dolbyシネマ)のせいもあるかもしれないけど、前作より世界にのめり込んで見られた気がする。とはいえ、前の話をしっかり覚えて見ているわけではない。ゆるくてごめんなさい。
宗教的な話だなぁとも思うし、母系・男系の強烈な話だとも思う。アトレイデス家の人間としての立場、死んで蘇る救世主という圧倒的に父権的なイメージ。一方で言語やサンドワームといったフレメンの文化への柔軟性、また母親であるレディ・ジェシカのお膳立てでもって(望まざれども)固まる地盤。その上、女にしか耐えられないという毒を飲む。ポールは立場もそうだしなんというか…男性性と女性性のハイブリッドとしてバランスが取れていたというか、バランスをもたらす者であるような気がするので(知らんけど)、覚醒してその方法しかないという手段が「皇帝の娘を娶る」なのって、バランス崩れそうだけど大丈夫?と疑問。
血統を掌握・管理しているらしきベネ・ゲセリット、本当に不気味ー。
#映画 #映画鑑賞 #DUNE2
ミラベルと魔法だらけの家鑑賞。
そりゃあそうなるでしょうと言われればそうなんだけど、魔法が答えではないというのが良かった。みんなの役に立たなくちゃいけない、愛されなければいけない、そうじゃないなら価値がない。そんなことはないのだ、ミラベルにしても、他の家族にしても。ミラベルには魔法はなかったけど、優しくて賢くて行動力がある、それは全部ミラベルのギフトだ。魔法が使えるからこそ、魔法しか見えなくなっていく家族。家のしきたりに押し込められるプレッシャーに下の世代は密かに苦しんでいるのに…。そういう、家族の限界が、「家が物理的に壊れる」という目に見える形になるのが面白かった。
#映画 #映画鑑賞 #ミラベルと魔法だらけの家
アンテベラム鑑賞。
「昔は良かった」の究極の、そして最低な形の一つ。この映画、1番の旨みは「えっ⁈」となることだと思うし、ネタバレも今まで踏まず、ポスタービジュアルもあらすじも読まずに見始めたため、「えっ⁈」のチャンスはあったはずなんだけど、そういえば学生時代に『キンドレッド』を授業で読んだなぁなどということを考えていたせいで意外性が一切なく、そこを逃してしまった。もっと集中して見るべきだった。あ、『キンドレッド』と話が似ているわけではない。
黒人でも白人でもない人種としては、隷属させられることの本質的な意味も、本気のごっこ遊びで支配したい気持ちもきっと正確にはわからない。昨今のあれこれを考えるに、そもそもその同じ舞台に立ててすらいない現状…とも思う。非常に居心地が悪いし、悪意を感じる、良い映画だった。
#映画 #映画鑑賞 #アンテベラム
善き人に悪魔は訪れる鑑賞。特別面白くはないけど、イドリス・エルバを見るためだったら良い作品。
悪人の更生の話かと思ったら、主婦の自立の話だった。自分を大切にしてくれない者など、捨ててしまって良いのだよ。
「刑事ルーサー」でイドリス・エルバを知ったので、ただの良い人よりは悪人に寄った役をやってほしいなーと思う。その意味でこれは大変美味しかった、悪人寄りというか完全にサイコパス殺人鬼そのものだけど。あの図体って普通に考えたら怖いのに、話術も巧みでスルッと人の懐に入り込む魅力がある。セクシーだし(無駄に濡れるし無駄に脱ぐ)、それにちゃんとキレていて怖い。
しれっと旦那がクズ野郎で笑っちゃった。
#映画 #映画鑑賞 #善き人に悪魔は訪れる
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