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『女と男の観覧車』、各シーン異様なまでの映像美。さすがヴィットリオ・ストラーロ。

『女と男の観覧車』、元ネタはウディ・アレン本人とみた

『女と男の観覧車』、まあまあ…かな。ジャスティン・ティンバーレイクとケイト・ウィンスレットの恋愛かと思いきや、わりと入り組んだ泥沼恋愛で、脚本の妙でとりあえず見られる作品。
タイプ的には『それでも恋するバルセロナ』に『ブルージャスミン』を足したような骨格。これに1950年代のコニーアイランドの風景と音楽、それとウディ・アレン自身の恋愛(2番目の妻の時に養子にした中国系の女性と不倫し、2番目の妻と離婚して養子の女性と結婚した)を被せた、ややこしい恋愛。
ただ、盛り上がりに欠ける上クライマックスの仕掛けが地味かな。

いやー、『空飛ぶタイヤ』、面白かった。「半沢直樹」や「下町ロケット」の池井戸潤原作らしさ200%!

『デッドプール2』は明らかに80年代のフレーバーがまぶしてあるので、他のアメコミ映画よりも楽しめた

『デッドプール2』は1本で失恋とX-MENとムショものとターミネーターとポンコツチームアクションが見られるから面白い

じょ~い@えいがどん さんがブースト

『万引き家族』 

いい職業に就く、いい大学に入る、より良い生活をおくりたいという“期待”のインフレーションが幼児虐待や家族の不幸、見栄、世間体を生み出している。
『万引き家族』の柴田家はこうした従来の幸せ像、家族像を取っ払った所にあるデフレスパイラル家族ではあるが、意外と楽しくある、という現代に対するパラドックスである。

じょ~い@えいがどん さんがブースト

『万引き家族』 

人類古来からある生活共同体“家族”の在り方や“幸せ”の在り方を根元から揺さぶる映画だった。

この映画の心理は樹木希林が演じる祖母がボソッと言っていた。

「本当の家族だから“期待”してしまう」

生まれてくる息子・娘に自分よりも豊かに裕福により良い生き方を望んでしまう。他の家族と比べてしまう。そこに『そして父になる』の福山雅治演じる男性の家族や『万引き家族』の少女の親元みたいに「裕福なはずなのに子供が喜んでいない、不幸」という現象が生まれる。

そういう“家族”と“幸福”を考えさせられる映画であった。

セブンスターを吸うと浅草の名画座を思い出す

『ゲティ家の身代金』 

偏屈な大富豪爺さんと爺さんの息子の元嫁によるマネーゲームの駆け引き、そして誘拐された孫を誘拐した犯人たちとのやり取り、あと拐われた本人の脱出・囚われの心理、こうしたもろもろの心理戦を楽しみ、また親権、孫の身代金、ミノタウロス像、絵画、情報などの「物の価値」というものが一つの題材になった作品で、心理戦・駆け引きを主としたクライム・サスペンスとしては一級品。
イタリアのシーンでパパラッチがやたらいる辺りはフェリーニの『甘い生活』や『フェリーニのローマ』を匂わせ、またゾンビーズやストーンズなどの音楽も巧みに使って70年代を表現してた。
ストレートなアクションや残虐描写もなくはないけどこの映画を楽しむメインポイントじゃないので、どちらかというと頭を使ったクライムサスペンスだったね。

『デッドプール2』 

今回出てきたキャラの中で「運」を武器にしたドミノは見事だった。
出て来た時はどうよと思ったが、なるほど頭を使ったキャラ設定である。ドミノという名前自体も今にしてみれば納得。

ほかにも「家族」、「死と生」、「友達」、「復讐」、「勇気」など様々なテーマがあり、深味があるアメコミ映画になった。

『デッドプール2』 

デッドプールの不死身&お調子者に
チーム戦によるバトルロイヤルとキャラクターを余すことなく使いきった脚本など、今回は物足りないとは言えなかった。

大枠のケーブルのくだりは『ターミネーター』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を併せたような展開に時折かかるa-haの「Take on me」やAC/DCの「Thunderstruck」など仄かに80年代の香りがする映画だった。
これにX-MENシリーズとのミクスチャーが見事で、最高の形で1を遥かに超えた2になった。

韓国アウトロー映画やアウトレイジシリーズは映像がつるっつるなんだよ。それが孤狼の血は東映のタイトルから画面がざらついていた。あのざらつきなんだよね。

一部では韓国アウトロー映画の方が凄いとか孤狼の血はぬるいとか言ってるやつがいるが、往年のヤクザ映画のエッセンスを求めるなら孤狼の血なんだよね

『パンク侍、斬られて候』 

綾野剛、豊川悦司、染谷将太など緩急自在なフランクでラフな現代人の会話をそのまま時代劇にまぶし、見事なコメディになってる。
嘘まみれの狂った世界のディストピア時代劇はタイトルに偽りなく、
『少年メリケンサック』でも見れたクドカンのキレッキレの脚本に、『爆裂都市』や『狂い咲きサンダーロード』の石井岳龍監督が大人の力で作り上げた。
全編にベンチャーズやアニマルズや『パルプ・フィクション』のエンディングでも使われたナンバーをアレンジしたロックなBGMがいかにもロックな映画になってる。
エンディングテーマ曲は東映から伏せるように言われたが超有名曲を大胆に使用し、これまた感動した。

『パンク侍、斬られて候』 

パンクでクレイジーな原作を大人のパンクな監督がやった感じの映画だった。

主人公の掛のハッタリでうまーく世を渡る姿がパンクだし、この掛の周りにいるズンドコな連中もパンクだし、浅野忠信も「どうしちゃったの?」と言いたいぐらいイカれていた。

毎シーン派手な仕掛けに満ちてるけど、筋はしっかりしている。決して『爆裂都市』や『狂い咲きサンダーロード』のような勢いではない。円熟の石井岳龍監督の大人のロックのような作品だった。

日本映画試写『明日にかける橋』 

2010年から1989年にタイムスリップし、自らの高校時代の出来事に出くわす話。
日本版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ね……たしかにめちゃくちゃ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と1989年という時代、カルチャー、空気感を出そうと頑張ってた。
1989年がメインの舞台で、主人公が女子高校1年とあって、感覚的には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ミーツ『ぼくらの七日間戦争』といった趣。
色々頑張ってたけど、タイムスリップの理論から未来の自分に会っちゃったり、あちこち過去を変えてたりなー……過去・未来のパラレルワールドがかなり無視されてるし、
後半のある出来事にカオス理論を期待したが、結局ご都合だった。
板尾創路さんの父親の奮闘などいいところもあるが、残念なぐらい穴だらけ。温かい目で見る以外ない。

『パンク侍、斬られて候』、原作町田康×石井岳龍監督×脚本・工藤官九郎の見事なケミストリーだった!

『万引き家族』パルムドールについて 

『万引き家族』はたしかに同監督にとっては『そして父になる』以来のクライムの臭いがする家族映画で、去年の『三度目の殺人』は別物・別枠として、『海街diary』と『海よりもまだ深く』とおとなしめのヒューマン色が強い家族ドラマが続いた後にきたクライム色が強くていろんな社会問題が詰まっていたので監督賞かリリー・フランキーで主演男優賞辺りを獲るのかと思ったら1番が獲れちゃった、という感じ。

大枠の系譜で言えばデ・シーカの『自転車泥棒』やブレッソンの『スリ』や『ラ・ルジャン』で、ごく最近の映画なら『それでも生きる子供たちへ』のエミール・クストリッツァ版や、それこそ『ティエリー・ドグルドーの憂鬱』の対極の位置にある映画だし、あの少年も是枝監督の『誰も知らない』の男の子に被る。歴代の映画史からも色々解釈・咀嚼出来る作品である。

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