『万引き家族』パルムドールについて
『万引き家族』はたしかに同監督にとっては『そして父になる』以来のクライムの臭いがする家族映画で、去年の『三度目の殺人』は別物・別枠として、『海街diary』と『海よりもまだ深く』とおとなしめのヒューマン色が強い家族ドラマが続いた後にきたクライム色が強くていろんな社会問題が詰まっていたので監督賞かリリー・フランキーで主演男優賞辺りを獲るのかと思ったら1番が獲れちゃった、という感じ。
大枠の系譜で言えばデ・シーカの『自転車泥棒』やブレッソンの『スリ』や『ラ・ルジャン』で、ごく最近の映画なら『それでも生きる子供たちへ』のエミール・クストリッツァ版や、それこそ『ティエリー・ドグルドーの憂鬱』の対極の位置にある映画だし、あの少年も是枝監督の『誰も知らない』の男の子に被る。歴代の映画史からも色々解釈・咀嚼出来る作品である。