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じょ~い@えいがどん さんがブースト

タンジェリンって公開時から気になりつつ見ていないのですけど、どうなんでしょう?

『万引き家族』 

東京のマンションの谷間の一軒家に住む柴田家。そこにひょんなことから一緒に住むことになった5歳の少女……という滑り出しから見せるヒューマン&クライムドラマ。
中盤で主要登場人物に関するある出来事からこの家族の正体が分かる。

リリー・フランキーを父親とした祖母、妻、妻の妹、10歳ぐらいの長男に父親が拾ってきた5歳の少女という家族。一軒家ではあるが収入源は父親の日雇いの仕事と妻のクリーニング屋のパートで、一番の安定収入は祖母の年金。あと妻の妹のいかがわしいバイトの収入。これに父親と長男の万引きやせ窃盗が加わる。

基本的には『そして父になる』のリリー・フランキーのパートをクローズアップして、さらに貧困風味に煮込んだ感じ。これに絶え間ないこの家族のぎこちなさこそがこの家族、この映画の本質である。

テーマは家族というよりも幸せの在り方や倫理の在り方にある。幸せに生きるためのやむにやまれぬ数々の行為に見る側は考えさせられる。

『そして父になる』にさらに『誰も知らない』的なダークさがある是枝監督の新家族論。

『モリーズ・ゲーム』③ 

ストーリーのキーになるキャラクターはやはりギャンブラーになるが、ゲーム巧者の映画スター以外は揃いも揃ってクズ、ボンクラ、メンヘラ揃い。彼らの存在がモリーにとってジョーカーのようであるが、賭場運営の中で切っても切れない中なので、そこの駆け引きも面白い。
脚本家の監督作品なので演出は薄く、とにかく脚本重視だが、大枠の題材がスコセッシの栄枯盛衰の系譜の作品に近いので、重さと見応えがある。

『モリーズ・ゲーム』② 

ポーカー・ゲームの運営の顛末意外にもモーグルの選手だった頃の精神科医の父親とのやりとりやトラウマ、イドリス・エルバ演じる弁護士とのやりとりを見る。
この二人とのやりとりがアーロン・ソーキン脚本独特の会話のラッシュが見れ、そこはアーロン・ソーキン節が健在。
同じアメリカのウインタースポーツの女性アスリートのしくじりものとしては『アイ、トーニャ』と共通点があるが、あちらは現役中でのしくじりで、『モリーズ・ゲーム』は第2の人生でのしくじり。
『アイ、トーニャ』と比べると育ちは良く、ある種エリートの挫折と見ていい。

『モリーズ・ゲーム』① 

『ソーシャル・ネットワーク』や『スティーブ・ジョブズ』の脚本家アーロン・ソーキンの監督デビュー作。実話ベース。女子モーグルのオリンピック候補選手のモリー・ブルームが競技で大怪我をし、バイトで食いつないで行く中でひょんなことから地下のカジノまがいのポーカー・ゲームの世界に足を踏み入れ、自らポーカー・ゲームの運営者に。
ストーリーはポーカー・ゲーム運営者としての顛末と裁判前の弁護士との打ち合わせという二段構成を交互に展開。
大枠はマーティン・スコセッシの『カジノ』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』さながらの女の栄枯盛衰劇。ズバリ、女版『カジノ』で、大まかに3つの賭場でいかにして儲け、生き抜くかを見せつける。地下の賭場や高級ホテルの一室でのカジノなど異世界の空間を満喫出来る。用語も多いがパンフレットを見ればOKだし、基本的なポーカーのルールや役を知ってれば楽しめる。

『孤狼の血』2回目④ 

豚小屋がやたら出る映画。豚小屋ってとんでもなく臭いがそれが滲み出てる。
他にも役所広司周りのおっさんの汗臭さ泥臭さ、全体的にくすんで見える昭和臭さ、キャバ嬢やお水系の女のエロい香水臭、ヤクザがガチンコでぶつかり合う血生臭さ、警察内部のキナ臭さなど、とにかく臭さを感じさせる映画である。
実際にこれらの臭いが臭ったらとんでもなく臭い映画になっちゃうが、臭いまでは出ない映画の世界にほっと胸を撫で下ろす。
つまりそれだけリアリティー。

『孤狼の血』2回目 

音楽にも仕掛けがあり。

昭和の実録やくざ映画というと音楽は津島利章で、ホーンセクションを中心にし、弦楽器が少ないことに特徴があった。

今回の『孤狼の血』は安川午郎という方がやっていて、バイオリン等の弦楽器を中心にした独特なサウンドに仕上がっている。安川氏の担当作品では『北のカナリアたち』が一番近く、サスペンスで使うようなBGMでありながら、ちゃんとヤクザ映画のBGMになっている。

『孤狼の血』2回目② (若干ネタバレ) 

加えて役所広司以外の刑事……主人公に当たる松坂桃李の意外性。登場人物の中で唯一の仲間外れなキャラクターだが、これが最後まで活かされていたのが大きい。常識がある彼の目線が映画を見る観客には一番感情移入がしやすく、これこそがこの映画の意義がある。

この映画はいわば松坂桃李による『セルピコ』、『密偵』であり、彼のミッションこそこの映画を味わう一つの味である。
つまり、東映実録やくざ映画に『その男狂暴につき』と松坂桃李ミッションがこの映画のごっつい味わいである。
たしかに、黒い警察なら北野武も『アウトレイジ ビヨンド』でもやってはいたが、そこの部分がさらに何層にもわかれている。

そしてこの映画の演出の味わいが『凶悪』の白石和彌らしい。のっけから豚の糞とかMEGUMIのエロい見せ方、日常生活ではあり得ないバイオレンスに、そしてまたまた酒地獄。ピエール瀧においしい役をやらせるのも白石和彌監督映画の特徴になりそう。

2回見ても飽きない今年の邦画では文句なしの傑作!!

『孤狼の血』2回目 

いわゆるヤクザと警察が仲が良い“あんこ”の関係のヤクザ抗争&警察内ゲバの併せ技。東映が本来得意にしていた実録やくざ映画に暴力刑事の摩訶不思議に松坂桃李をぶちこんだ奇跡のヤクザ映画。

骨組みその1の加古村組(五十子会)と尾谷組の抗争、組織図、女を絡めた人物相関がしっかりしているのは原作者の東映実録やくざ映画愛と見た。ここの部分がまずしっかりし、石橋蓮司を始め、伊吹吾郎、竹野内豊、江口洋介など配役もばっちり。特にナンバー2に当たる竹野内豊と江口洋介にインパクトがあったのが大きい。

骨組みその2の警察内部もしっかりしている。一番は役所広司が演じる大上巡査部長で、完璧も完璧。そこには『県警対組織暴力』の菅原文太だけでなく『やくざの墓場』の渡哲也、『ダーティハリー』のクリント・イーストウッド、『その男狂暴につき』のビートたけしなどが思い浮かびながら、自身が演じた『渇き。』のがさつな主人公ともダブらせてる。この役所広司の暴力刑事の完璧さがこの映画をリードしている。

河瀬直美監督最新作『Vision』 

人里離れた木こりの質素な生活。
それはタル・ベーラの『ニーチェの馬』の親子にもキム・ギドクの『アリラン』のキム・ギドクにも『ふたりの桃源郷』の老夫婦にも通じる。さらには新藤兼人の『裸の島』にも通じるものがある 。

この中で一番近いのは『ふたりの桃源郷』かな。辛さがない。それと森林、川のせせらぎ、湖畔の静けさ、紅葉の鮮やかさ。
それと犬の存在もこの映画ならでは。人と共に暮らす畜生。を感じさせる。

河瀬直美監督最新作『Vision』「ビジョン」の解釈 

一切の苦痛を取り除く薬草「ビジョン」とはまさしくこの映画の存在そのものじゃないだろうか?

興収ランキングベストテンにランクインするような明るく、派手で、比較的分かりやすいシネコンの特撮映画やアニメ映画とは対極に位置する映画がこの『Vision』である。
テレビ、パソコン、スマホ、ゲーム、さらには雑誌・新聞が一切ない、禅寺のような世界観に現代の癒しがある。
映画としての派手さと、人が生きる上での娯楽的な雑音→苦痛を取り除く薬草、まさにこの映画『Vision』そのものである。

河瀬直美最新作『Vision』② 

永瀬正敏が演じる智が作品の前半に「疲れたからここに来た(住むようになった)」と言っていたが、物凄く共感した。
日々仕事の忙しさ、人間関係の煩わしさ、テレビだ、ネットだ、SNSだ、ゲームだ……などといった現代の騒音・雑音に疲れている私も田舎でひっそり住みたい願望があるが、そんな人にはぴったりな河瀬直美ワールドであり、その極みである。

世の雑音から逃れるだけでなく、木々を倒す木こりや動物を狩る狩猟に動物・植物の死・殺生がある。そこに生と死が共存する森・山の世界が見られる。

この自然と殺生にATG映画『餓鬼草紙』に通じるものがあるし、水・火・風・土の描写にはアンドレイ・タルコフスキー的なものが垣間見える。永瀬正敏演じる自然の中で純朴な男性とジュリエット・ビノシュ演じるフランス人女性との自然な流れにはふと『雷鳴』の永瀬正敏を思い出したりした。

夏木マリ演じる盲目の老女や終盤の流れに若干の不思議さとやや強引さを感じはするが、これもまた生・死、輪廻転生と考えるとこれまでの河瀬直美ワールド以上に深い。

河瀬直美最新作『Vision』① 

『萌の朱雀』、『沙羅双樹』、『殯(もがり)の森』、『2つ目の窓』の河瀬直美ワールドの極みのような河瀬直美映画だった。

森というか山に囲まれた奈良県吉野郡吉野町に住む40代独身男性の木こりの家にフランスからやって来た女性エッセイストが滞在し、謎の薬草「ビジョン」を探すという物語。
テレビ、ラジオ、パソコン、スマホなどが一切出ない、山に囲まれた一軒家で素朴に暮らす男性と近所に住む盲目の老女の静かな生活を見ているだけで、清い小川のせせらぎや佇む湖を見つめる安らぎを感じる。そんな中での外国人滞在記だから流れが乱れるのは当然で、その変わり様が面白い。

上記で挙げた河瀬直美の過去作品でも自然を感じさせる作品であったが、『Vision』はそれ以上に自然を強烈に感じさせる。それは“風 ”、“光”、“緑”、“動”から森・山の中の涼しさ、木々や土の匂い(もちろん実際にはしないが)などを感じ取れる。

そこから人がほとんどいない静寂の世界、好き、愛など人の心の動きも見逃せない。

@tacchan
試写。
ウェス・アンダーソンらしさはなくはなかったが、デフォルメニッポンがこれかと思うとレベルが低い。SUSHI、TENPURA、FUJIYAMAみたいなのを近未来ニッポンと言われても…………

『バトル・オブ・サクシーズ』 

1973年アメリカで実際にあった女子プロテニス対男子プロテニス(シニア)のテニスの試合「バトル・オブ・サクシーズ」の映画化。
いわゆる男性至上主義対ウーマンリブなんだけど、こっそりと夫婦間のバトル、LGBT問題を挟んでいる。

1973年という時代の空気が美容院やらボブ・リッグスの家の風景によくでている。
ストーリーは事実に乗っ取ったこともありストレートだが、緊張感もあるし、仄かな感動もある。

『犬ヶ島』、いまいちなパペットアニメ。外国人目線のダメな日本描写がウェス・アンダーソンの世界観に馴染んでなかった。
『KUBO』もしかりだが、日本描写、日本テイストって難しい。

3週間前の映画周りの話題→『レディ・プレイヤー1』
2週間前の映画周りの話題→『アベンジャーズ』新作
先週の映画周りの話題→トーニャ・ハーディングの自伝映画
今週末映画の話題予想→『孤狼の血』

『ウィンチェスター・ハウス』 

実在の銃製造会社、人物、建物を使ったホラー映画。
タイプとしては『スレーターハウス』、『パラノーマル・アクティヴィティ』、『イシディアス』、『死霊館』、『アナベル』といった屋敷の中での心霊ホラー。

音響やカメラワーク、扉、曲がり角などを巧みに使った恐怖はずるさもあるが上手い。

何よりも「ウィンチェスター社」、「ウィンチェスター銃」のイメージを最大限に利用し、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』にもあった誰にでも持ち得る恐怖心、心理を突いた恐怖を見せる。

増築し続ける館の様々なからくりや13本の釘で打たれた部屋など、不気味さ、忌まわしさも満点。
微妙な暗さ、光の入れ方、ろうそく・灯りの使い方も1906年のリアルさが感じられる。

@tacchan
『ホテル・ルワンダ』もまさに思いましたが、完全に思いだしきれずレビューでは避けましたが、あれも内戦でしたね。

北朝鮮ならともかく、韓国も昔はブラックな国だったのね、という衝撃ですね。ちょうど公開しているドキュメンタリー映画『ラッカは静かに虐殺されている』のジャーナリストがまさにドイツ人のピーターみたいな取材をしてましたから、現代にも通じる映画ですね。

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