フォロー

河瀬直美最新作『Vision』② 

永瀬正敏が演じる智が作品の前半に「疲れたからここに来た(住むようになった)」と言っていたが、物凄く共感した。
日々仕事の忙しさ、人間関係の煩わしさ、テレビだ、ネットだ、SNSだ、ゲームだ……などといった現代の騒音・雑音に疲れている私も田舎でひっそり住みたい願望があるが、そんな人にはぴったりな河瀬直美ワールドであり、その極みである。

世の雑音から逃れるだけでなく、木々を倒す木こりや動物を狩る狩猟に動物・植物の死・殺生がある。そこに生と死が共存する森・山の世界が見られる。

この自然と殺生にATG映画『餓鬼草紙』に通じるものがあるし、水・火・風・土の描写にはアンドレイ・タルコフスキー的なものが垣間見える。永瀬正敏演じる自然の中で純朴な男性とジュリエット・ビノシュ演じるフランス人女性との自然な流れにはふと『雷鳴』の永瀬正敏を思い出したりした。

夏木マリ演じる盲目の老女や終盤の流れに若干の不思議さとやや強引さを感じはするが、これもまた生・死、輪廻転生と考えるとこれまでの河瀬直美ワールド以上に深い。

ログインして会話に参加
映画ドン-映画ファン、映画業界で働く方の為の日本初のマストドンです。

映画好きの為のマストドン、それが「映画ドン」です! 好きな映画について思いを巡らす時間は、素敵な時間ですよね。