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太陽の塔 

少し前に「太陽の塔ガイド 」を読んでたので、気になり見てきました。
太陽の塔製作時の創作秘話と明日の神話の話が絡まって展開。
著作などに触れてる人には野暮なのかもしれませんが、岡本太郎が民俗学や文化人類学などにかなり造形が深かった事を今迄知りませんでした。
また、大阪万博でこのコンセプト科学万能主義へのアンチテーゼがこの太陽の塔だった事も皮肉ですね。
そして、今に至るまでに現存しているのもこれだけという。
でも、当時は新進気鋭の芸術家を国威発揚イベントに起用するだけの気概が国にもあったんだなというのが羨ましい。
太陽の塔が作られた時代の延長に当時の未来は無く、今はただ閉塞感が漂う未来なのが悲しい。そして、そんな現代に明るい未来を想像していた時代を振り返っている事が、もっと悲しかった。

世界が愛した料理人 

世界的料理人のエネコ・アチャを取り巻く交流を描くドキュメンタリー。主にスペインと日本の料理人がフューチャーされてました。
どのシェフのお店もおいくら万円な世界でしょうが、プロの世界のストイックさは見ていて清々しかった。
スタイルは違えど、楽しんでしてればドンドン上達しよう。改善しようと思う点が思い浮かぶはずと異口同音で言っていたのが興味深かった。二郎さんが握る寿司は口当たりが良さそうですね。見た感じ。

アンダー・ザ・シルバー・レイク 

今年見た映画のうちでのワースト映画です。
一般公開前の作品でこう言うと営業妨害な気もしますが事実なんでつい書いてしまいました。
何も知らずにただカンヌで上映された事と編集を大幅にやり直した事だけ知ってた作品。
よく言えば、明るい悪夢。でも、途中の様々なエピソードの投げっぱなしジャーマンは、
D・リンチだと謎が謎を呼ぶけど、これは消化不良感がどんどん重なっていく感じ。
中盤までが、特に物凄く長く感じてしまった。
唯一良かったなと思ったのは、主人公のオタク趣味のディテール。8Mスーパー・マリオとか超懐かしかった。
あと、見た帰りはNirvana聞きながら帰りたくなります。

映画を見て初めて泣いたという記憶があるのは、今を生きる。でした。

サニー 永遠の仲間たち 

Twitter でのフォロワーさんが鑑賞されたと言うのを見て、触発されて私も見ました。
予想通り、号泣映画の仲間入り。思ったよりもコミカルなシーンが多かったのが意外でした。
これ、日本でいうと団塊Jrの先頭ぐらいの世代の話ですよね。
韓国の80’sど真ん中ぐらい(多分オリンピック前)全政権の時代で、まだ世界に経済成長で討って出る頃。 時代設定との旨さと相まって秀作でした

クレイジー・リッチ・エイジャンズ 

一足お先に見てきました。
予想と違う展開でしたが、面白く見ることが出来ました。
きっと今の日本でも、友達・同僚・身内で中華圏の方が居る人も多いと思いますが、知られざる華僑社会の片鱗を垣間見る事が出来て興味深かったです。
序盤は、若干漫画っぽい演出が不安を感じさせたんですが、段々と華僑社会の深淵に迫って来てからは、集中して見てしまいました。勿論、映画なので誇張があるのは重々承知ですが、
見た目は似てるけど、風習や習慣が全く世界異なる世界は主人公共々探検する気分になりました。
主人公の学生時代の親友が良いキャラ出てました。
コテコテのコメディでもないし、シリアス一辺倒でも無いので、中途半端感があるから宣伝が難しそうって思いました…
(余計なお世話ですが…)
ただ、この手の作品がアメリカで受けたのはちょっと意外な気がしました。米国も段々雰囲気が変わって来てるんでしょうかね。
劇中シングリッシュは控えめで、ごく普通の英語で台詞は展開されてました。

顔たち、ところどころ 

仏の女性監督の第一人者でもあるA・ヴァルダとアーティストJRの共作のドキュメンタリー。ただ写真を撮っ壁に貼るだけのプロジェクトですが、そこは芸術家の2人中々オサレな仕上がりなんですよね。どうって事がないごく一般の人々の顔がいい感じの表情で、そこを引き出す手腕も見事でした。
方向性は違うけど、一般人を捲きこむタイプのアーティストでもあるバンクシー的なノリも感じました。
終盤、ヌーヴェル・ヴァーグの取り持つ縁についてのエピソードがありますが、ゴダールはやっぱりゴダールでした!私の中では、ひねくれ爺さんのポジションです。
あと、作中気になってたフォト・トラックですが、
浅間国際フォトフェスティバルで、登場していたそうです。これ、フェスで一台あればすごく盛り上がりそうです。

プーと大人になった僕 

今年はイギリスから熊とか兎とか、動物が活躍する映画がやたらと元気ですね。
予告編で見たのと予想通り疲れたオトナ向きな作風でした。
君、何か最近疲れてない??って画面からくまのプーさんに言われてる気分になりました。本当、「何もしないが、最高のかを生み出す」のなら、私にも仕事がスタックしない休暇を1ヶ月くれって思いました。

若い女 

久しぶりに典型的なザ・フランス映画。とでも言いたくなるような雰囲気の作品でした。
私はこういうタイプの映画が、とても好きです。
自分中心で、己の欲求を叫びまくる話まくる。日本人とは対照的なキャラクターの人々。
大して何かが進歩するとか、劇的な環境の変化が起こる訳ではない、ごくごく普通の日常。
メディアが喧伝するオサレなパリは一切出て来ません。
また、題名と裏腹に主人公は、若くないですw。

人生No1の映画 

アンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」。
ミニシアター系映画をかじり始めた中高生の頃、
ぴあから出版されていた映画百科的な本で、やたらと評価が高く気になっていた作品。
その後、学校の通学途中のレンタルショップに置いて有ったので、早速手に取ったのが19歳の時。
借りてきて、夜中にぼーっと見ていたら、画面のトーンの暗さと静謐な雰囲気が、夜中のシーンとした空気とハマっているような気がしました。
何とも言えない雰囲気で観賞していました。
その時の印象がどうも強いようで、映画館でリバイバル上映がある度に見に行ってしまいます。
ストーリーを噛み砕くというよりも、画面や映画に埋没して鑑賞するタイプの作品だと思います。

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男 

テニスは、ルール知らない門外漢ですが見てきました。きっとテニスが分かる人だったら迫力がある試合映像に仕上がっていたのがよく分かりそうな雰囲気でした。
両者とも対照的なキャラクターとして描かれてましたが、過去のエピソードを見る限り両者似た者同士ですね。
特にマッケンロー役にS・ラブーフを起用したのはとても的確だったと思います。
また、全編英語の台詞ではなく、スウェーデン側は、ちゃんとスウェーデン語になってたのも良い。

2001年宇宙の旅70mm上映は、チケット買えませんでした…転売屋が腹立たしいです…

判決、ふたつの希望   

法廷劇としてとても見応えがありました。
人種・宗教・社会的地位など、どこからどこまでも、対照的な2者をうまく混乱させずに描いていた手腕は鮮やかでした。
但し、アラブの民は熱い。というのが前提で見ていないと、温厚日本人から見ると何でそんな事で、怒るの??って思ってしまいそうです。
一番冷静でフェアな見解を示していたのは、両家族の女性達だったように思いました。
また、アラブ側も、アンチ・イスラエル一色で、固まっている訳では無い。という事がよく分かりました。
レバノンが置かれている、アラブ諸国でもちょっと特殊な状況(国民の3割程がキリスト教徒)が分からないと、理解が追いつかない部分があるかも。
これから見る人で、レバノン内戦について知らない人は、軽くwikiってから見ることをお勧めします。

タイニー・ファニーチャー 

数々のイタイ女子 or モラトリアム女子映画がありましたが、キャラの痛さでは自分の中では歴代No,1です。
見た目もイケてない、仕事も無い。才能も今ひとつ…という救いようの無いキャラとして際立ってました。
共感とかはしなかったけど、成功した親と出来の良い姉妹に挟まれた、どうって事ないワタシな所の閉塞感は良く表れていて良かったと思います。

オーケストラ・クラス 

予告を見た時から、絶対に自分好きなタイプの作品だという確証があったので見てきました。あくまで教室の中の描写が中心で、それ以外の部分のエピソードは最低限必要な程度だけなので、物語の焦点がズレなくて見ていて安定感と安心感がありました。
仏語圏の学校物は割と良い物が多いですね。
僕たちのムッシュ・ラザール
パリ20区、僕たちのクラス
奇跡の教室あたりなんかも好きです。

『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 

最初にABBAの楽曲ありきの話なので、曲に沿った違和感のないストーリー展開は良い。
続編はL・ジェームズの作品という印象を持ちました。
キャストの数は多いんだけど、それぞれの持ち時間の配分もバランスが良かったと思う。
前作の記憶が殆ど無いんだけど、今回の方が出来が良いのでは。

タリーと私の秘密の時間 

MMFRやABなど、最近はカッコイイシャーリー姐さんな役が多かったので、久々にカメレオン女優っぷりが堪能出来る作品でした。
アラフォーが、思い当たる節な情景が描写されてる所は、予想通りでした。その辺のリアル感は悪くないと思います。

ポップ・アイ 

タイの映画というと、真っ先にアピチャッポン監督の名前が上がりますが、この作品はあそこまでアート志向ではない、ごくゆるい作風でした。象と人生の転機を迎えたおじさんのロード・ムービー。
テイストは、ちょっと切ない感じの異色な映画でした。ロード・ムービー、今迄いろんな映画が制作されてますが、相棒が象っていう部分かなり個人的にはツボりました。

バンクシーを盗んだ男 

バンクシー・ダズ・NYと似たような構成のドキュメンタリー。
彼の作品を取り巻く人々を描いてるんだけど、前者よりも後者の方が多面的かつ距離を置いた冷静な視点で描かれてました。
個人的に面白いなと思った見解は、ストリートアート自体は非合法だけれど、書かれた物の所有者が切り取ったりすると所有権が発生するという認識。
通常のアート作品とは、立ち位置がグレーである部分が、色んな騒動の元でもあるし、ストリートアートのパワーの源でもある事を、改めて確認させられた映画でした。
でも、彼の正体が判明してしまった現在は、ミステリアス度が下がったので、これから評価どうなるんでしょうかね。

蟲(むし)
同じく、イメージフォーラムフェスティバルにて、J・シュヴァンクマイエルの新作。今回はメタ構造の作品でした。
虫嫌いな方にはオススメしません…

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