太陽の塔
少し前に「太陽の塔ガイド 」を読んでたので、気になり見てきました。
太陽の塔製作時の創作秘話と明日の神話の話が絡まって展開。
著作などに触れてる人には野暮なのかもしれませんが、岡本太郎が民俗学や文化人類学などにかなり造形が深かった事を今迄知りませんでした。
また、大阪万博でこのコンセプト科学万能主義へのアンチテーゼがこの太陽の塔だった事も皮肉ですね。
そして、今に至るまでに現存しているのもこれだけという。
でも、当時は新進気鋭の芸術家を国威発揚イベントに起用するだけの気概が国にもあったんだなというのが羨ましい。
太陽の塔が作られた時代の延長に当時の未来は無く、今はただ閉塞感が漂う未来なのが悲しい。そして、そんな現代に明るい未来を想像していた時代を振り返っている事が、もっと悲しかった。
クレイジー・リッチ・エイジャンズ
一足お先に見てきました。
予想と違う展開でしたが、面白く見ることが出来ました。
きっと今の日本でも、友達・同僚・身内で中華圏の方が居る人も多いと思いますが、知られざる華僑社会の片鱗を垣間見る事が出来て興味深かったです。
序盤は、若干漫画っぽい演出が不安を感じさせたんですが、段々と華僑社会の深淵に迫って来てからは、集中して見てしまいました。勿論、映画なので誇張があるのは重々承知ですが、
見た目は似てるけど、風習や習慣が全く世界異なる世界は主人公共々探検する気分になりました。
主人公の学生時代の親友が良いキャラ出てました。
コテコテのコメディでもないし、シリアス一辺倒でも無いので、中途半端感があるから宣伝が難しそうって思いました…
(余計なお世話ですが…)
ただ、この手の作品がアメリカで受けたのはちょっと意外な気がしました。米国も段々雰囲気が変わって来てるんでしょうかね。
劇中シングリッシュは控えめで、ごく普通の英語で台詞は展開されてました。
顔たち、ところどころ
仏の女性監督の第一人者でもあるA・ヴァルダとアーティストJRの共作のドキュメンタリー。ただ写真を撮っ壁に貼るだけのプロジェクトですが、そこは芸術家の2人中々オサレな仕上がりなんですよね。どうって事がないごく一般の人々の顔がいい感じの表情で、そこを引き出す手腕も見事でした。
方向性は違うけど、一般人を捲きこむタイプのアーティストでもあるバンクシー的なノリも感じました。
終盤、ヌーヴェル・ヴァーグの取り持つ縁についてのエピソードがありますが、ゴダールはやっぱりゴダールでした!私の中では、ひねくれ爺さんのポジションです。
あと、作中気になってたフォト・トラックですが、
浅間国際フォトフェスティバルで、登場していたそうです。これ、フェスで一台あればすごく盛り上がりそうです。
人生No1の映画
アンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」。
ミニシアター系映画をかじり始めた中高生の頃、
ぴあから出版されていた映画百科的な本で、やたらと評価が高く気になっていた作品。
その後、学校の通学途中のレンタルショップに置いて有ったので、早速手に取ったのが19歳の時。
借りてきて、夜中にぼーっと見ていたら、画面のトーンの暗さと静謐な雰囲気が、夜中のシーンとした空気とハマっているような気がしました。
何とも言えない雰囲気で観賞していました。
その時の印象がどうも強いようで、映画館でリバイバル上映がある度に見に行ってしまいます。
ストーリーを噛み砕くというよりも、画面や映画に埋没して鑑賞するタイプの作品だと思います。
判決、ふたつの希望
法廷劇としてとても見応えがありました。
人種・宗教・社会的地位など、どこからどこまでも、対照的な2者をうまく混乱させずに描いていた手腕は鮮やかでした。
但し、アラブの民は熱い。というのが前提で見ていないと、温厚日本人から見ると何でそんな事で、怒るの??って思ってしまいそうです。
一番冷静でフェアな見解を示していたのは、両家族の女性達だったように思いました。
また、アラブ側も、アンチ・イスラエル一色で、固まっている訳では無い。という事がよく分かりました。
レバノンが置かれている、アラブ諸国でもちょっと特殊な状況(国民の3割程がキリスト教徒)が分からないと、理解が追いつかない部分があるかも。
これから見る人で、レバノン内戦について知らない人は、軽くwikiってから見ることをお勧めします。
フランス映画を中心にヨーロッパ映画が好き。