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不満が色々あったので、Tentkottaの年間契約は解約。「CCマークついていながら字幕なしの動画大杉」というクレームを出しておいた。

Puriyatha Puthir (Tamil - 2017)をTentkottaで。 

ホラーともスリラーともつかない出だしから、リベンジ・スリラーへと流れ込む。2013年にスタートしながら各種の理由で公開が遅れたらしい。つまりスクリーン上に見られるのは3年以上前のVJSということになる。一見して新人監督のものと分かる雑なキャラ造形とエピソード、落としどころもだいたい分かってしまい、メッセージもかったるい。しかしまあ、ヒロインとじっと見つめ合って頬をすりすりするみたいなVJSのロマンス演技が、微妙な不協和音のように神経をくすぐり、見どころと言えば見どころ。

Rekka (Tamil - 2016)をTentkottaで。 

もたついた感じのするマサラ・アクション。クンバコーナム、マドゥライ、コインバトールを行き来するストーリーで、ご当地カラーの出た部分は面白い。鉄火なヒロインをもっと効果的に打ち出せば好感度が上がったはずだが。

Uru (Tamil - 2017)をTentkottaで。 

ホラーかとも思ったがサイコスリラーだった。シャイニングをはじめとする各種の先行作からのイタダキが多いというのもあり、現地の評判は低かったという。カライヤラサンの芝居とスッキリしない結末でも点を下げたらしい。しかし後半に入って、導入ではまるで端役のように登場していたダンシカーが、見事な肢体でスクリーンを占有し、縦横無尽に暴れまわるのをあれだけ眺められるなら充分という気がする。実際、近年のアクション映画のヒーローでも、あそこまで繰り返し体を痛めつけられる(でも死なない)登場人物がいただろうかという程のボコボコぶり。体とハスキーボイスが資本のこの姐さんはさらに応援してこうと思う。

Pretham (Malayalam - 2016)をDVDで。 

訳あって南インドのホラー映画を固め見する必要があって。ハッキリとコメディー・ホラーと宣言している作品。そのコメディーの部分が、やはり英語字幕では隔靴掻痒。またしてもManichithrathazhuを思わせる各種のエレメント。最近のマラヤーラム語ホラーには、そうすまいとしても引き寄せられてしまうManichithrathazhuの引力に逆らって、映像作家が何とかして違いを出そうともがいた結果のように見えるものが多い。本作での新機軸は、ほとんどすべての怪異が白昼のスタイリッシュなリゾートで起こるのと、スマホやTV、ラップトップといった電子機器がメディアとなって霊との交信が行われるとこ見られる濃密な情念の描出はなく、謎解きミステリに近い読後感。

Ezra (Malayalam - 2017)をDVDで。 

てっきりスリラーだろうと思ってたらホラーとのことなので慌てて鑑賞。ユダヤ教のオカルティズムであるディバック(死霊の憑依)を大胆に取り込んだ設定。現在では実質的にユダヤ人コミュニティーは死滅してしまったにも拘わらず、豊かなユダヤ文化の伝統が残ると言われるケーララならではのストーリーライン。この手の作品の醍醐味は憑依される人間の霊的変容の演技にあると思うのだが、本作でそれを演じた人は今一つ。力瘤の熱演は認めるがニュアンスと繊細さに欠ける。それから途中で現れる犬殺しのエピソードがループホールのようにも思える。そしてマラヤーラム語ホラーに宿命のように付きまとうのだが、細かいモチーフやエピソードにどんなに新機軸を編み出してみても、結局古典であるあのManichithrathazhuの焼き直しに見えてしまうという点。本作も例外ではなかった。ともあれ、一時期はタミルに押され気味で勢いのなかったマラヤーラム・ホラー、ここにきてまた製作が上向きになってきたかという印象。

Oru Mexican Aparatha (Malayalam - 2017)をDVDで。 

タイトルは「メキシコの激情」か?調べること。色々困った映画。70年代の戒厳令時代に謀殺された若き左翼運動家と、現代の学園における左翼系学生リーダーとを重ね合わせるギミックがあるが、ロジカルにはほとんど意味がない。ただし、ビジュアルはカッコいい。学園内で万年与党状態の非共産党系自治会長に選挙で挑む共産党系学生の話。生徒会長というよりは番長に近いのだが、選挙には既成政党がガンガンに入り込み、代理戦争状態。しかし学内の生徒会運営に政策が入り込む余地が大してあるわけでもなく(万年与党のatrocityを許すな、などというスローガンがでるが、何のことだ?)、ひたすら力と力でぶつかり合うだけのマハーバーラタ状態。論戦ではなく夜討ち朝駆けだまし討ちでの実力闘争。こんなのどちらかに感情移入しようにも無理じゃないかと思うのだが、そこがインド映画なので、善と悪はビジュアルでもはっきり分かるようになっている。そしてショッキングなのはこれがけっして映像作家の未熟さからくる荒唐無稽なのではなく、リアリズムに基づいてい文字数

Suli (Kannada - 2016)を9月29日、機内ビデオで。英語字幕付き。 

いわゆる芸術映画。マレナードの山奥の村で行商をして暮らすムスリム一家の物語。ロケ地としてBallurという名前が挙がっているのだが、これがどこになるのかよく分からないが、ともかく絶景。主演のシュリーナートは芸能生活50年余で初めてムスリムの訳を演じたそうだ。この人の若い頃の要望は、何か直視しがたいものを持っていたが、今作の白髪の老人となってやっと落ち着いて見られる顔になった感がある。勝手な感想だが。

Premam (Telugu - 2016)を機内ビデオで。英語字幕付き。 

二ヴィン・ポーリ主演マラヤーラム語大ヒット映画のリメイク。二ヴィンはこれによってスーパースターダムに肉薄したと言われている。しかし演技力以上にこの役にまず求められるのは、14,5のガキから30近い大人までを演じられる容姿である気がする。そういう意味ではナーガ・チャイタニアはテルグ映画界唯一の選択肢だったと思う。特にアタマ空っぽな14,5のガキのパートでの嵌り方はオリジナル以上だったかも。ほとんどオリジナルと変わらないものだったが、ヴェンキー伯父、ナグ父を無理やりに登場させたのはやはりテルグのテルグたる所以。シュルティが記憶喪失から回復したことを物語るエピソードはなぜか後退していて、あれでは初見の観客には意味が分からなかったのではないかと思える。それから長じた主人公の職業に今一つリアリティがないのもマイナス点か。

Majnu (Telugu - 2016)を9月25日、機内ビデオで。英語字幕付き。 

現地ではそこそこの評価をされた中ヒットだったというが、退屈。ツインヒロインが生硬で目も当てられない。ナーニがラージャマウリのADという設定でバーフバリをネタにしたギャグなどを交えて笑わそうとするのだが、ただもうショボい。ゆるいTVコメディみたいな印象。これがテルグB級映画と言ってしまえばそれまでだが。

Jai Lava Kusa (Telugu - 2017)を9月26日、Carnival Cinemaにて。英語字幕付き。 

現地レビューは押並べて芳しくないながらも、個人的には久しぶりのNTRジュニアのヒット。重度に神話映画からの引用を織り込みつつ、旅芝居への郷愁も併せて取り込み、一人三役という非リアリズム・ベクトルを恥じることなく、旧時代的ヒーロー中心主義の作品世界を展開した。ジュニアの芸をただひたすら誇示するために、3人のキャラが服装や髪形まで同じにするシーンあったり、それぞれのキャラが趣向の違うダンスを踊るソングが設定されていたり、至れり尽くせりのサービスぶり。ハリウッド的な映像術を至上のものとみなす現地インテリには受けなかったのはよくわかるが、せせこましいリアリズムや教養主義くそくらえな自分には嬉しかった。

Spider (Telugu - 2017)を9月27日、Rex Cinemaにて。英語字幕付き。 

ムルガダース監督作として期待もあったが、肩透かし。これまで各種の社会悪と戦うヒーローを描いてきたのに、ここに来て悪役をサイコパスとしたところに納得ができない。やはりマヘーシュには組織的な巨悪と戦って欲しい。インド映画にありがちだが、善の側は何をやっても許されるというのが、設定自体に露骨に取り込まれていて、それも気持ち悪かった。割と苦労してテルグ版を見たのだが、タミル版もマヘーシュがセルフダビングをしているというのを知り、あのクールボイスがタミル語を操るのを味わいたくなった。

Simran (Hindi - 2017)を9月28日、Golden Villege City Squareにて。英語字幕付き。 

アトランタに住むインド系二世、30歳、離婚経験あり、ホテルの客室清掃担当の女性のポートレイト。開始後30分ぐらいまでは、自立していながらも童心も併せ持つ、ロールモデル的な大人の女性なのかと思わせて、途中から実はトンデモねえタマだということが明らかになる、悪い意味でのトリッキーな脚本。カングナー・ラーナーウトにはどうしてこう「不思議ちゃん」崩れな役柄が当てられるのか。実話に基づくものだというのだが、それを知っても、ヒンディー語のインド映画として何を表現したかったのか理解に苦しむ。インド系に限らない在米マイノリティ非エリート層の根無し草的倫理観を描きたかったのか。米国では、西~南アジア人のやや色白な肌のことを「オリーブ色」と表現するというのを知った。

昨日はPizza (Tamil - 2012)をDVDで。 

これは難儀な作品で、最初はどうしてもテルグ語吹き替え版しか見つからず、シヴァージの吹き替えで観ていた。その後タミル語オリジナル版が字幕なしで発売され、その後から英語字幕がネット上で見つかり、それを合体してやっとオリジナルを字幕付きで観られた。化け物屋敷に迷い込んだピザ配達員の物語。恐怖におののくむさ苦しい男を延々と眺めて全然飽きないのがすごい。

一昨日はGodhi Banna Sadharana Mykattu (Kannada - 2016) をDVDで。いい話が詰まってるし、ふんわりとした終わり方をするのだけれど、扱ってる題材がアルツハイマーだけにどうも居心地が悪い。当の老人の姿がやや理想化されすぎているか。同じ病を描いたものとしては香港映画『桃(タオ)さんのしあわせ』のほうが突き刺さる。こういう題材の場合は、思い切り突き刺してくれた方がいいのにとも思う。

昨日になってしまったけど Sakhavu (Malayalam - 2017)をDVDで。 

ド直球のコミュニズム映画。労働運動の旗振り役としてのコミュニストの役割に全幅の信頼を寄せた設定。お約束の赤旗行進の盛り上げが上手い。それに格闘シーンも、リアリズムのうちにも美しさを意識した振付で見事。二ヴィンの演技は、少なくとも観客を鼻白ませるものではなかった。アイドルよりは演技者を目指そうという心意気を買いたい。

Sri Krishna Pandaveeyam(Telugu - 1966)をDVDで。二回目。 

字幕なしの3時間だが、結局全部見てしまった。50~60年代の全盛期テルグ神話映画の中でも際立つ特異な構成。マハーバーラタ中の余り知られていない逸話だけを特に選り抜いたような不思議。歌舞伎の一幕見の集成のよう。息抜き的なものも中には混じるのだが、マハーバーラタの敵側の人物が、どのようにして恨みを増幅させて開戦になだれ込むことになったのかを示すエピソードが目につく。そして叙事詩のハイライトであるクルクシェートラの大合戦は一切描写されないのだ。白眉はスヨーダナが集会場で醜態をさらして笑い者になるシーン。原典訳マハーバーラタ第二巻のP.352にわずか15,6行で記されているエピソードを膨らませ、独自の解釈を加えたもの。この描写の悪夢のような不思議な感じが癖になる。

Soodhu Kavvum(Tamil - 2013)をDVDで。二回目。 

日本でワールド映画を見ている人なら、ちょっとブラックな軽い犯罪映画として片づけてしまえるだろうが、これが4年前のタミルの衆に与えたインパクトはかなり大きなものだったと思われる。不味い大衆食堂でイドリをかっくらいながら、「チャトニですらもこれをイドリとは認めんだろうよ」などと言う情けない毒舌が出てきてウケる。

Lal Salam (Malayalam - 1990)をDVDで。 

大昔に字幕なしで見てやっぱりよく分からなかったものを、字幕付きDVDの発売ということで再見。こってりとしたメロドラマだが、名優たちの芝居で見せる。社会改革への意志に満ちた青年運動家がやがて権力を手にして組織防衛に向かうというお馴染みのパターンだが、そういう観点ではRight Left Rightの方が痛烈。しかし緑豊かなケーララが背景にあると、なにをやっても長閑な感じになってしまうのは欠点か長所か。これからしばらくマラヤーラム左翼映画を見る。

Mouna Guru (Tamil - 2011)をDVDで。 

リメイクであるAkira(Hindi - 2016)を先に見ちゃってたからストーリーは知ってたけど、先日見たDemonte Colonyのアルルニディがちょっと気になったので、遡って鑑賞してみた。やはりこれは主人公が男子だと、リアリティと劇中の出来事の不条理さが際立つ気がする。ソーナークシーも良かったが、キャラを女性にしたことで、平凡な主人公がメッセージ性を帯びた神話的ファイターに変わってしまう(しかしどちらの在り方も悪くない)。アルルニディはイケメンで表現力もあるが、カリスマスターになるタイプじゃなく、こうしたニューウェーブ系でこつこついい仕事をして行くのかも。ウマー・リヤズ・カーンの驚きの存在感は収穫。

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