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映画館で見たのは映画、自宅で放送やディスクや配信で見たのはテレビだという古臭い考えの人、絶対いると思う。

『若親分』 

市川雷蔵の任侠もの人気シリーズ第一作。
明治末期の日露戦争の頃という時代設定がいい。クライマックスの駅裏の対決で、本物のSLが爆走する中で悪役の佐藤慶一味と斬り合いをするシーンは最高!
問題が起こると一人で行って解決してしまう、組織のトップの鏡みたいな雷蔵はやはり格好いい。
もっとも先日まで海軍士官だったのに、上半身に見事な彫り物があるというのは少し変ね(笑)

『兵隊やくざ』 

女性映画の名手、増村保造監督の何とバイオレンス・ムービー。
主役は満州駐屯の日本兵達なのに、戦争シーンが全く無しというのに驚く。
勝新はいつものパワフルなキャラ。何の役でもこなす田村高廣の上等兵が、なかなか格好いい。
現代ならこの上官と部下の関係はゲイっぽくなるところだが、あまりにも荒っぽい環境なのでそんな気配は無い。
有馬頼義の原作も読んでみたくなった

『コーヒーをめぐる冒険』 

あるニートな青年のツイてない一日を描いたドイツ製青春映画。
コーヒーを飲みたいのに、何故かなかなか飲めないという小技が伏線になって最後に繋がるというのは予想通りだけど良かった。
他にもクスリと笑える場面が沢山あって、特に素人演劇と幼馴染の女優のエピソードが面白かった。
白黒映像はともかく、レトロ・ジャズの音楽はもう使い古された演出という感じ。意味不明の邦題も何とかして欲しい。

『ドアーズ』 

ドアーズの3人が監修なのである程度実話なのだろうけど、これではジム・モリソンが単なるアル中でジャンキー&女好きなロクデナシではないか。ちょっとあんまりな気がする。
ライブのシーンはなかなかの迫力。恋人役のメグ・ライアンはやはり場違いな感じ。

『悪名』 

勝新の現代劇人気シリーズの第一作。外見もキャラも対照的な田宮二郎とのコンビが面白い。
王道極道ものではなく遊郭の女を足抜けさせるのに命をかける男の話だが、そこまで惚れ抜いたわけでもないので、どうもピンとこない。
水谷良重や中村玉緒にモテまくりの勝新。最初の人妻役の中田康子が美人で色っぽい。

『マルタの鷹』 

原作はハードボイルド小説の代表作の一つ。
フィリップ・マーロウのイメージが強いボガートだが、サム・スペードもなかなか様になっている。
お話はかなりややこしく、特に後半は殆ど会話だけで進むのでサスペンスとしては今イチ。
キャストでは怪優ピーター・ローレの存在感が一番光っている。

『炎上』 

三島由紀夫『金閣寺』の映画化作品。話の中身については深すぎて、とても感想をまとめて書くことができない。
主役のナーバスで気の弱い青年を、市川雷蔵が完璧に演じている。同じ役者が、この数年後に眠狂四郎や机竜之助を演じるというのも凄い。
仲代達矢も相変わらずの爬虫類キャラで、インパクト強し。

余程不入りなのか、ハクソーリッジもう一日一回上映に格下げされてる(*_*)

9月公開のエイリアン・コヴェナントのレビューがもう沢山投稿されているが、英語のセリフを理解しての上のことなのかね。自分はやはり、字幕読まなきゃ鑑賞したと認められないけど。

『黄金』 

最初に観たハンフリー・ボガートの作品。なので、この後で観た『カサブランカ』や私立探偵役のボギーを見ても、どことなく悪役の印象が拭えなかったりする。
三人でコツコツ苦労してお宝を掘り当てたが、一人の小悪党のためにチャラになってしまう話。
まあ、この顔ぶれではハッピーエンドになりそうもないと最初から予想はできたけど、生き残った二人は最終的に人生の生きがいや目標を得たわけで、めでたしといったところか。
でも自分がこんな目にあったら、最後にガハハと笑えないだろうな。

@h 私も知りませんでした。良い情報ありがとうございます!

『天城越え』 

詩情豊かな和製ミステリー映画の傑作。
松本清張の原作は『張込み』と同じく30分位で読める短い短編で状況描写のみのあっさりしたものだが、現代に事件後の舞台を新設するなど映画的な演出が成功していると思う。
この年の主な女優賞を総ナメしたのが納得の、田中裕子の一世一代といっていい名演が見事。渡瀬恒彦との火花の出るような取り調べシーンは、邦画史に残る名場面といってもいいと思う。
有名な、田中の希望で仕掛けを使わなかった自前による失禁シーンなど、今時の女優には考えられない役者根性である。
満点にしたいところだが、やはり邦画ミステリー特有の長い事件解決部分が減点。ここを10分だけ短くしたら完璧だったのに残念。
ちなみに主題歌は石川さゆりではないw

海賊映画最新作を観に行った人によると、途中半数近くのお客が睡魔と戦っていたらしいが?

これは面白そう。子供向け作品は映画館、大人向けは配信ドラマという流れが加速して欲しい。
cinematoday.jp/news/N0092533

『炎の人ゴッホ』 

数10年ぶりの再鑑賞。
一番記憶に残っているシーンは、ゴッホが耳を切り落とした直後に村人が大勢からかいに来るところ。同じ場所に住んでいても、こんなに思いやりが無いものかと暗い気持ちになった。
映画ではアンソニー・クイン演じるゴーギャンが悪者にされているが、やはり運の無い人だったという事だろう。
献身的に支援を続けた弟のテオも、ゴッホが亡くなった翌年に精神病で亡くなった事からも、兄弟揃って不運だったという事でやりきれない気持ちになる。
それにしても、ミュージカルの名手ヴィンセント・ミネリ監督作品だったとは今回知って驚いた。

『デッドシティ2055』 

『ブレードランナー』の世界観を少し感じさせるレプリカントもの。
ブルース・ウイリスがちょい顔出しした、ワケ分からないSFのパターンかと思ったら意外に面白かった。
主役達は無名の俳優でウイリスは完全な悪役。人造人間の姉ちゃん達が沢山いる風俗店というのは面白い発想。

『シネマの天使』 

地方の閉館する老舗映画館の話。
映画の中では全く語られていなかったが、閉館の最大の理由はコストカットの際デジタル映写に完全移行するため、大元の映画会社が新作のフィルムを扱わなくなったから。
客入りが増えるのを見込めないのに、2000万円近くするというデジタル設備変更が地方の単館にできるわけがない。つまり、業界が自分で自分の首を絞めたようなものである。
映画は恵まれたロケーションなのに、作り手の力量不足で凡作になった。映画監督志望の青年の話など不要だし、シネマの地縛霊役ミッキー・カーチスも生かしきれていなかった。
本編はトホホな出来だったが、エンドロールで流れる最近閉館した新宿ミラノ座や銀座シネパトスに、山形のシネマ旭などの写真が一番感動したかも。

『小人の饗宴』 

ヴェルナー・ヘルツォーク監督の長編デビュー作。登場するのは全員小人の皆さんという事でサーカスか見世物小屋ものかと思ったが、施設の中の話みたい。
何故か施設の管理者達は全員外出しているという状況で、最初は愛嬌のある雰囲気だったが後半からは暴徒と化す小人達のパワーに圧倒される。
この映画の中で一番不気味で気味悪いのが鶏で、こんなの長時間撮らないで欲しいよ、全く(笑)

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