ブレードランナー2049 見ました~(本筋のネタバレはしてないけど一応隠します)
「映像は凄い」という欧米批評家によく見られた短評の意味が分かりましたね。何の映画か分からないからひとまず「映像は凄い」としか書きようがなかったのかなと。正直初見じゃ『メッセージ』よりも分からない。もちろん話は分かるし、オリジナルからのハイパー化した様々なオマージュやサントラ、近年の問題作(herとかイリジウム)への作家的「返答」だろう変奏シーンなども堪能できたし、とにかく見ている間はすべてが最高なんだけど、見終わった途端に終わりのない映画全体としての隠喩の謎へと突き落とされてしまう毎度のヴィルヌーブ作品です。いや~前も書いたけどハリウッドでこれを許す上層部が凄いと思うw
いよいよブレードランナー2049が金曜に迫ってきて、ついWikiなんぞクリックしてしまったのですが、一般的な情報にすら「うわっ!見るんじゃなかった!」というネタバレ要素がありましたので、オリジナルを熟知しているファンはくれぐれもご注意を!😆 https://eigadon.net/media/TZjCiJ8xT-LOxO6sxzg
雨、銀座、中国人、ブレラン
昨夜、肌寒い雨の銀座と有楽町をぶらついて、まるでブレードランナーの世界だなと思いながら通りを歩いた。歩道は中国人やアッパーミドルな人々があふれ、水滴にネオンが輝くビニ傘がぶつかり合い、高級ブティックは、ビルそのものが商品かのように装飾を身にまとう。
数寄屋橋交差点では○○実現党の街宣車が公約を繰り返し叫んで非日常の演出に一役買っている。
向かいの新しくなった東急プラザは外壁の一部が星のような電飾で作られていて、ブレードランナーのオープニングに出てくるタイレル社かのようだ。
信号を渡り有楽町マリオン行くと「2049」の大きな看板が掲げられていた。駅へと抜けるセンターモールでは店内から甘い香水の匂いが雨の湿気にのって顔面をなでてくる。
くぐり抜けた先の再開発された駅前が、壊れかけたネオンがゆらめく昭和のカオスのままだったら最高だったけど、それは記憶で補うしかない。
帰りの東京駅で台湾から来たというケバケバしいおばさんの一行に「マイハマ、マイハマ」と声を掛けられて電車を教えてあげると「ニホンのオトコはヤサシイネ!」と背中をバーンと叩かれた。😉
ブレードランナー2049、2時間43分!もあるし、先日の米国試写会では批評家の間では絶賛状態らしい。
https://www.cinematoday.jp/news/N0094805
ロッテントマトも好評(グーグル翻訳)
https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=en&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fwww.rottentomatoes.com%2Fm%2Fblade_runner_2049%2F%23contentReviews
駅の改札口に『ドリーム』のポスターがあって、誰が森三中の誰だっけと想像したら、それぞれが脳内で見事に合致して吹き出しそうになった。😁 https://eigadon.net/media/f9d7IOOl_DINEajy-AI
エイリアン・コヴェナント
日曜に2回目に行ってみてこれはほんとにウヒョーな映画だと思った。もうエイリアンに恐怖を感じることもなくデヴィッドと同じように彼らに魅了される。胸をぶち破って誕生したエイリアンのなんと神々しいこと。エイリアンの白と血の赤の鮮烈な対比、水に浮かぶ女の頭部も恐ろしく美しい。オープニングで何度も繰り返される「完璧」への当てつけとしてのマニエリスム的歪みの美と、部分対象へのフェティシズム。腕を食いちぎられる「去勢」で示されるウォルターの奴隷性。クルーたち性愛・同性愛に対して孤独なデヴィッドの死体愛好。笛を教えるシーンの自己愛のエロス。プロメテウスの開腹手術のシーンも凄かったけど、今回も生と死の欲動と倒錯的エロディシズムを恐ろしく金のかかったハイクオリティーなSFで「創造」してくれたことに感謝ですよ!😁 https://eigadon.net/media/0ZnO1CWT6Eaw-O2BdMY
好きな映画だけど「疲れた」という点だけで言うと『ダンケルク』と『インターステラー』は自分の中でワンツー・フィニッシュ。もちろん理由は切れ目の無い低音系の効果音。ダンケルクはお年寄りの観客も多かったので音で身体的に疲れることは表現として良いのか戸惑うけど、かつて『ダークナイト』でジョーカーが警察を脱出してパトカーの窓から上半身を乗り出したときに、サイレンが消えて真空で映画館の唸るような超低音が体を貫いたときの、自分も何かから解放されたかのようなあの瞬間は忘れられない。そんな風に使って欲しいと思う。親愛なるノーラン監督お願いしま~す。😁 https://eigadon.net/media/NY9I1pkZpX2R3uC4VCs
ダンケルク(注意:全文ネタバレです)
自分には音と主題にどっと疲れた映画でした・・・「英雄」とは誰のことか。自分の命の危険を顧みず仲間を助ける者。その反対は、仲間を犠牲にしてでも自分だけは助かろうとした者。この二者の対比が主題なのだろう。だからドイツ軍の人物描写はあえて無し。そしてノーランの一貫したテーマである「嘘」も(書籍「クリストファー・ノーランの嘘」による)、生き残る為の嘘(身分の擬装)と、人を罪悪感から救う為の気づかいの嘘、頭を打ち付けて亡くなった若者を英雄として新聞記事にしてもらう嘘など、二者における嘘の違いが明白に描かれていた。フランス兵はこの二者の中間的存在か。映画のラストで、燃料切れを省みず味方を救い、脱出もせずに飛行機を敵地に着陸させたトム・ハーディーから、「クソ(非英雄的行為)」をガマンしきれずフランス兵を死なせて生き残り、罪悪感にまみれた帰還兵への切り返しショットが、ダンケルク撤退戦の真実を象徴する・・・。