おおおおお。エドガーライトが「万引き家族」を推す
今考えると、勝新ってトム・クルーズ、ジャッキー・チェンみたいだ。せめてハリウッドに行っていれば・・・。
日本だと難しいよなぁ。この国は、何故こんなにも閉鎖的なんだろう。入って来るよりも出て行くのが難しい。
天才 勝新太郎 春日太一著(本の感想)
年末年始に「座頭市」観てるのは、この本を読み始めて、心が燃えたからなのですが・・・さっき読了。面白かった。
映画作家としての勝新太郎がそこにいた!という本。歯に衣着せぬ、表現者(クリエイター全般)のあるべき姿を、勝新太郎から教えられた気がする。
この本は読者に対して「お前が表現したいものって何?」と、耐えず問いかける。「知識だけ学んでも無駄だぜ」と勝新太郎にせせら笑われたような気にさせられる。
勝自身は、その強烈すぎる作家性であるが故に、苦しみ続けることになる(この本には暗い話も全て書かれている)。
ここから下は僕の感想。
もう一つ、勝新太郎にとって不幸だったのは時代なのかな。60-70年代は、テレビが台頭し、映画界全体が不振だった。勝プロも資金繰りのために疲弊していった。
80-90年代は、勝新太郎のような型破りなアウトローにとっては居心地悪かっただろう。いつの間にか偉くなっちゃって、気づいたら袋小路。
勝新太郎の才能がわかるプロヂューサーはいなかったのかな?
全盛期に監督業に専念させてあげたかった(なぜか上から目線)。
座頭市物語
一作目の座頭市。
僕は、タケシ版、あと、何作目か分からないけど、たまたま見た座頭市をいくつか観た程度であるが・・・
面白かった。この一作目は僕の知っている座頭市と違っていて、正統派時代劇だった。突飛な殺陣は無し。とても静かな時代劇だった。
社会派・・・というか、基本的には人間ドラマで魅せていた。悪役の見せ方が上手い。「許されざる者」のように、この人良い人かな?って思うと、ことごとく裏切られるので、話がどっちに転ぶか分からない。
ハラハラドキドキ・・・はしない・・・しかし、この登場人物はどうなるのかな?という、人物描写で観客の興味を飽きさせない。
勝新太郎の自慢の殺陣はあまりない。ちょっとずつ、ちょっとずーつ見せていく。あと、殺陣より何よりも座頭市の日常シーンが魅力的。ずんぐりむっくりしている勝新太郎が「可愛い」んだよね笑。愛嬌がある。すごくハマってた。
ちなみに、音楽は伊福部昭がやっていた。確かに、音楽はゴジラが歩いてる時にかかりそうなやつだった。
https://www.youtube.com/watch?v=3ndP_n0pcvo&t=60s
寅さんってファンタジーだったんやな。(寅さん公開当時、既に、あのような東京の下町は存在し無かった。)
「この世界の片隅で」とかもそうだったんだけど、僕の知っている「日本っぽい日本」自体がもはやファンタジーなんだよな。
このYouTubeで語られている山田洋次にはシンパシーを感じてしまう。是枝裕和と同じだったのかー、というのは新たな発見である。「学校」という映画は今思い出すと、確かに「万引き家族」に似ている。
平成は何も変わらない時代だったなぁ。今と平成の初期とを比べてみても、人々の生活は何も変わっていない。
極道の妻たち
「岩下志麻」目当てで観ましたが、途中からかたせ梨乃のおっぱいが・・・おいおい、いくら何でもおっぱい吸いすぎだろ(ラストシーン)!!!凄い濡れ場でした。今の時代ならAV女優がやりそうなことを、かたせ梨乃がやってた。
映画の中で岩下志麻は超越した存在(盤石な体制側)なんだけど、役者としても超越してた気がする。彼女が出てるシーンは何故か締まる。アクションシーンとかないですよ。ただの日常シーンなのに、なぜこんなにカッコイイのか。
僕が感じたのは発声の良さでした。あとは表情かな。あの達観しきった表情。それをやりつつも、演じてると感じさせないのが凄い。あと、思った以上に嫌な女の役だったんですね。
いやぁバブル時代のコンテンツは良いね。資本主義の権化と成り下がった(上がった?)岩下志麻(だってそう言う役なんだもん)に挑戦する、かたせ梨乃をはじめとする雑魚どものもがき苦しむ姿。泣けるわ。
誰かが言ってたっけ
魂は超薄切りにして売れって
だが俺の魂は高いぜ?
やっぱ80年代は良いわ。
サルトルの「嘔吐」(映画の話ではなくすみません)
主人公ロカンタンの俗物に対する憎しみを吐露する描写は映画「ファイト・クラブ」みたい笑。
小説の大部分が、ロカンタンの心の中の観念的な呟きで占められているので、普通の小説を読み慣れている人でも読み難いのではないか。(事実僕は結構しんどかった。)
サルトルは本作を哲学的なエッセーとして書き始めたらしい。エッセーだけだったら、本作は一般人にとっては何が何だか分からない本になっていたと思う笑。ロカンタンの一人称のフィクションという形式を取ってくれたからこそ、僕みたいな一般人でも辛うじて、なんとなく理解できるものになっている。物語なので、サスペンスとクライマックスもあるおかげで、だいぶ読み易くなっている。
あと、ロカンタンに感情移入できるかどうかがデカい。感情移入してしまう人にとって本作は「癒し」になるが、できない人にとっては「?」なんだろうな。
映画版「桐島、部活やめるってよ」との繋がりだが、確かに、ヒロキくんは「ロカンタン」だし、映画中のあるセリフは、ロカンタンが言うものと同じ。「嘔吐」との繋がりが言われているのは、この辺なんだろう(多分)。
子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる+三途の川の乳母車
DVDにて。聞きしに勝るイカれた映画だったwww。ザッツ、エンターテイメント!という感じの時代劇。人情劇とかいらねーし。斬って斬って斬りまくろうぜ!景気の良くいこう!
ってな感じの過剰演出っぷりはマイケル・ベイを彷彿とさせる。物語の流れや撮り方はシリアスだけど爆笑する。ざっくり表現するなら、ブラックユーモアに笑ってしまう感じ?そういうアメリカ映画ってあるじゃん?うん。それに近い。今観ても普通に面白い・・・というか最近の日本映画から消えてしまったパターンの映画なので新鮮だった。
確かにこれは・・・僕が観てきた映画の中では、タランティーノだ(当然、タランティーノが子連れ狼にオマージュを捧げているのがキル・ビルだが・・・)。そして、若干007っぽい。言うまでもなく、マカロニ・ウェスタンを彷彿とさせる、ドライで血みどろで無常な世界が描かれる。
マカロニ・ウェスタン=>子連れ狼=>タランティーノ、影響を与えあってる。
最近観た日本映画で、本作に最も近いのは「全員死刑」。こういう路線で時代劇作れば、結構世界受けすると思うけどな。
春日太一の若山富三郎解説を聞いて、胸が熱くなった。
https://www.youtube.com/watch?v=yMfgx17Uv7I
僕はどうかしている。若山富三郎という役者をほとんど知らないのに・・・。
若山富三郎の映画は「悪魔の手毬唄」「ブラック・レイン」だけ観たことある。彼はどちらの映画の中でも脇役だったけれど、映画の「顔」となるぐらい存在感があったことだけは記憶にある。
2018年は初見は100本ぐらい。
映画館に行ったのは20本。
あとはDVDで昔の映画。
10月以降は多分映画館に行ってないので、2018年の後半の映画は観ていないのが残念。
20本しか観ていないのに、ベスト10と言うのはどうなのか・・・という気もするけど、そこは気にしない。
映画館で観て良かった10(印象に残った)
・2001年宇宙の旅(IMAX)
・RAW 少女のめざめ
・ウィンド・リバー
・スリー・ビルボード
・万引き家族
・カメラを止めるな!
・アンダー・ザ・シルバーレイク
・AKIRA(名画座)
・1987、ある闘いの真実
・全員死刑
DVDで観て良かった10(印象に残った)
・ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金
・続・夕陽のガンマン 地獄の決斗
・U・ボート ディレクターズカット
・浪人街(1990)
・三大怪獣 地球最大の決戦
・キャリー(1976)
・サイコ(1960)
・コーチ・カーター
・ゴジラ(1954)
・ファントム・オブ・パラダイス
ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
作業用BGMとして流してた。が・・・途中から作業を止めて映画を観てしまいこんな時間に・・・。
エドガーライトのボディ・スナッチャー(僕的にはゾンビ)パロディ。
そもそもゾンビは、既成社会に何も考えずどっぷり浸かっている多数派のお前らってまるでゾンビじゃん、という社会批評性があり、だからこそ、世の中のクズ人間やマイノリティはゾンビが好き(多分)。
だからこの映画では、
1)主人公がアルコール依存症(サイモン・ペッグ)、人間社会に疲れた男(ニック・フロスト)、という設定。
2)この2人だけがヒーローで、冒険を経て、自分を取り戻していく。
3)「I fucking hate this town!」というセリフが爽快な理由は、人間社会に疲れた男(ニック・フロスト)が、人間社会に向けて言ってるように聞こえるから。
4)9軒目の「壁の穴(パブ)」で2人が本音を叫ぶ喧嘩シーンだけはシリアスに描かれていて、すごく泣ける。
5)この映画の敵は宇宙人だが、多数派の人間を象徴している。
その他諸々・・・
映画ファンに対する愛に溢れたパロディですね。