ファニーとアレクサンデル 続き
ああいう一族を束ねる祖母がいるとどうして2代目の男たちはいつまでも子供なのか。特にカールね、我慢ならない金賞は取れませんが銀賞は確実。それに対して女たちの在り方が特に素晴らしいとも思えなくて(よく我慢してんなと感心はした)、人生は大変過ぎる、人生ぽいものをちょっとかじるだけで充分です、という気持ちになった。ちゃんと人生をすると孫がたくさんできたのかもしれないですね? 知らんけど。
ファニーとアレクサンデル
2枚組のDVDの1枚目、「わあ~3時間近いのにあっという間だったわ面白~」って思って翌日2枚目を再生したら第4部から始まった。第1部のエンドロールで1枚目が終わったと勘違いしてた。すみません。アレクサンドルの神経の細さは1枚目の残りを観ないとわからなかったですね。
それで後から第2部と3部を観たんだけど、第4部の後だと第3部は我慢ならなくて早回しにしちゃった箇所あり。全部通して面白かったけど、第3部は我慢ならなかった。まあね、導かれたいタイプのひとってのはいるからね...
慶事も弔事も生演奏が入るとか、レースのカーテンが素晴らしいとか、ワンカットにいくつテーブルと椅子がうつりこんでいるんだとか、中産階級の財力にうっとりしつつ、一族のいろいろないざこざや虚飾の地獄とサディストに幽閉される地獄とどっちがいいかっていうとどっちもいやですね、と感じる映画だった。
ハワーズ・エンド
原作を読む助けになるかと思って視聴。しかし原作ありの映画にありがちな、あらすじをむりやりカバーする感じがなくて面白かった。男女/階級間の衝突がテーマなのかな、衝突ではあるのだけどどきつくない。イギリス風なものごとが好きだったり、愛着を持って住む場所としての不動産について夢があったりすれば心惹かれる映画だと思う。姉妹の縦長なアパートもウィルコックス家のロンドンの家も、そしてもちろんハワーズ・エンドも、どれも眺めがいがあった。
姉の恋愛も妹の恋愛も、細かい経緯はすっとばしているのが逆にリアル。生まれ育った家の気風からすると無理じゃない?っていうふたりが意外と続くのね。姉の相手なんてちっとも面白くなさそうだけど、別に共通の話題がなくたってよくて、生活を切り盛りするペースが一緒なら快適なんだろう。そういうことはあるだろう。お金がない人に対する扱いが雑なのが、一生雇われの身の自分からするとやや興ざめなのだけど、各種物件、衣装、味わいあるやりとりがぜんぶよかった。
セブン
最後が想像どおりだったので「さいこう!ちょうおもしろい!」とはならなかったけれど(ああいうキャラはああなるために存在します)、なんというか、静と動のバランスがよくて最後まで面白く観られた。モーガン・フリーマンが清潔なおじさんでねー、白いランニングシャツまでもが昨日パッケージから出しましたって感じでねー。ブラピは若造ぽさがよかった、あんまり青っぽいから小柄に見えたくらい。25年前か...
オープニングで音楽がハワード・ショアなのが目に入ってしまったので、アクションシーンでオークの軍団が出て来そうな感じがしてしまったのはこちらの誤動作。フィンチャーの映画はいつも始まりがおしゃれミュージックビデオみたいなのかな、ファンは『ドラゴン・タトゥーの女』のオープニングにもテンションを上げたことでしょうね。次は『ファイト・クラブ』観るかー
第七の封印
初手から「テレタビーズだ!」と思ってしまったのであまりよい視聴者ではなかったかもしれないけれど、あまり興味が持てない抽象的な信仰の話だったわりには楽しく観た。なんで神様がいるかいないかをそんなに気にするのだ。いたほうが気分がいいならいる前提で生きたらいいのに。
出てくる人みんな特徴があって、まあ類型的っちゃあ類型的なんだけれど、暗めなおとぎ話として面白い。あの中世の不潔でべとべとした感じに『神々のたそがれ』を思い出したのだけど、中世って不潔でべとべとなのが定番描写なんだろうか(毎回おぇってなる)。暗黒時代...
とにかく旅芸人の夫婦&赤子がぴちぴちと生命力にあふれており、彼らがOKならわたしもOKという気持ちです。
英国王のスピーチ
癇癪もちの次男がやり遂げて本当の王様の顔になるのが実によかった。みんな自分のローグが欲しいと思う。あの声を聴いているだけで落ち着けるでしょ。
よかったよかったになっちゃうんだけど、みんな顔つきがよくて、王様の奥さんの気位は高いけど亭主のサポートに一生懸命なところとか、ローグの奥さんのあの人のよさそうなおっとりした感じとか、台本に書いてあるわけじゃないんだろうな、役者はすごい。能力のある人たちがきちんと作った映画という感じがした。あの左に重心を置いた画面の切り取り方も新鮮だった。
ローグの息子たちがボーナス的にきれいな顔だった。全然親父に似ていない。そしてチャーチルはチャーチルのものまね芸人みたいだった。あそこまで寄せたほうがいいのかしらチャーチル。
ゴーン・ガール
日曜の夜に観て、明日も働くぞ!とすっきり元気になった。ほしいものは全部手に入れろエイミー! 話が進むにつれてどんどんきれいになっていくエイミーが大変良かったです。あと、プロだけどなにごとも他人事っぽい弁護士。タイラー・ペリーね。エアロスミスぽい名前ですね。
能力の高いタガの外れた人が凡庸な愚か者の小悪をぎゅうぎゅうにやっつける構図が好きなので、大変面白かったです。最後のトラップをエイミーがどう切り抜けるのかずいぶん心配したけど。
女が怖いんじゃなくてエイミーがレベルが違うんですよ。男が愚かなのではなくてニックがボンクラなんですよ。
この映画でいい気分になった人は『女神の見えざる手』もどうぞ。