ナチュラル・ウーマン
https://filmarks.com/movies/74165/reviews/46122125
恋人を亡くした若い女性。普通ならば周りから慰められながら、泣き、別れを惜しむことができるはず。けれど主人公マリーナは、「女性なのに女性として認められない」という人間であるがゆえに、喪のサークルからは排除され、攻撃を受け、アイデンティティを疑われ、傷つけられるばかりで慰められることもなければ悲しむ暇さえない。ラストまで涙を流さないその姿は、強いというよりも、ほかにどうしようもない、泣くことさえ許されないという苦境にも思えました。この不条理を、けれど湿っぽい方向というよりは「ふざけるな! なんだお前ら!」という感じにマリーナとともに怒りながら経験していくみたいな映画です。この怒りを少しでも多くのひとが感じ、女性なのに女性として認められないこんな不条理が少しでも減る方向に行ってくれたらいいなー。
ビッグ・シック
https://filmarks.com/movies/72900/reviews/45253948
朝一で見てぼろぼろ泣いてしまいました。泣いてたとわかるような状態になっていなければいいのですが…。
序盤、中盤、終盤ではっきりと話の流れが変わるのですが、それぞれが非常に丁寧で、しっかりと主人公たちと同じように感情を揺さぶられました。
十二人の怒れる男
とてもアメリカ的な傑作ですね! 最近プラグマティズムの勉強などをしているのですが、人間の認識を超えた本当の真実なるものがわかっていない、もしくはそんなものがない状況で、それでもなお討議と合理的な思考によって民主的に意思決定していくというプラグマティズ的な構図が、まるごとひとつの密室劇になってる。すごく面白いです。
たかが世界の終わり
https://filmarks.com/movies/62460/reviews/45168934
面白かった! あのやたらとメリハリの効いた画面が、この映画の緊迫感をひりひりするくらいのものに仕立て上げています。主演のかたの表情もとてもいい。
ロング,ロング・バケーション
想像してたよりもかなりシリアスで、アルツハイマーと癌でそれぞれのアイデンティティが消えつつある老夫婦が寄り添いあっているような映画でした。楽しい映画を想定していたから思いがけず気持ちが悲しくなってしまって、開いてたバーに飛び込んでお昼からビールを飲んでいます…。
アスファルト
https://filmarks.com/movies/66980/reviews/44450103
フランスのぼろ団地を舞台に、偏屈者おじさん、気だるげな美少年、気のいいアルジェリア出身のおばあさん、かつての人気女優、何かの手違いで団地に降り立ってしまったNASAのパイロットが、それぞれの生活のなかで、少し新しい絆を得ていく、素敵可愛い映画でした。
アバウト・レイ
https://filmarks.com/movies/60302/reviews/44145429
現代はThree Generations。実際のところ、物語開始時にはレイの決断はなされ終わっており、むしろ母親と祖母がそれぞれ娘/孫娘を失い、息子/孫息子を得るということを受け入れるに至るプロセスに主軸が置かれています。少しシーンのつなぎやカメラワークになんとなくこなれない印象があり、のめり込みにくい映画になってしまっているのですが、各人物の作り方は丁寧で、あと作中に出てくる本のタイトル以外に「トランスジェンダー」のような言葉を出さず、ひたすらレイを「男の子」と描写しているのにも好感を持ちました。そしてエル・ファニングの演技がすごい。声の出し方、仕草、表情すべてを男の子にしてきてるし、女の子扱いされたときの顔つき、男の子扱いされたときの笑顔がとてもいい。普通に少年でした。高い声で歌い出して低く調整する様子など、とてもリアル。
映画だと『ベティブルー』、『お熱いのがお好き』、『エマニエル夫人』、『赤ちゃん教育』、『フランシス・ハ』などが好きです。
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