『七つの会議』3回目
今回は見る前にNHKテレビドラマ版「七つの会議」を見ておいたので、それとの違いと映画版の良さとそれでも微妙に感じた部分がある。
今回の映画版は
営業一課と二課の違いを短時間で見せ、
ねじ六や経理課、カスタマー室のエピソードを若干コンパクトにしつつ、焦点であるネジの問題を1シーンで見事に見せて、後半の会社ミステリーをより面白くしている。
あと、テレビドラマ版にて随所で気になった人物をくっきり映せない点や会議室のチープさなどは流石に映画だからかクリアされ、くっきりとした映像に関しては改めて映画の力を見た。
しかしながら、今時の営業部の大きい会議でプロジェクター&スクリーン、パワーポイントを使わずに紙の資料のみでの説明というのが今時の会議にしてはリアリティーに欠ける。
『バーニング 劇場版』②
とにかく見た後のジワジワ込み上げて来る感覚が半端ない。ああ、これこそが映画だよ。
ベンがジョンスに突如打ち明けるビニールハウス燃やしがもちろん一番のヒントで「燃やす(バーニング)」とは罪悪感・うしろめたさのことである。
ジョンスにしては大学は出たのに職に就かずバイト生活で、小説家なのに未だに作品がなかったりもこれに当たる。
ヘミがいなくなった後にヘミの自宅マンションに行って大家にマスターキーで開けて中に入るのもそうだし、ヘミが飼っていたネコ(ボイル)も本来このマンションでは飼ってはいけないんだからヘミは違反行為をしながら飼っていた。さらには旅行前に他人に預ければいいネコをわざわざジョンスに頼むのも同じ。
この映画で起こる行動を「うしろめたさ」から考えると色々腑に落ちる。
傑作なり。
『七つの会議』初見
「半沢直樹」シリーズや「下町ロケット」、「陸王」の池井戸潤原作作品の映画化。2013年にNHKのテレビドラマ版が既にある。
部品メーカーの東京建電を舞台に、ノルマ未達で部長に怒られてばかりの原澤課長とミステリアスな営業1課の万年係長八角が親会社&関連会社まで巻き込んだデータ改ざんによるリコール隠しを描いたサラリーマンドラマ。社長、部長、営業課、経理課、親会社、下請け会社など会社組織の関係をフル活用した展開は池井戸潤原作お馴染み。その面白さは確かにあるが、
メインキャストが一般生活ではあり得ないぐらいオーバーリアクション。
北川部長役の香川照之のそれは「半沢直樹」や映画版の『カイジ』などでも見られるから辛うじて悪くないが、八角さんを演じる野村萬斎がとんでもなくクッサクサな演技。彼につられて原澤課長を演じる及川光博など他のキャストも大袈裟なクッサクサ演技の連続。
その臭い演技はドラマ映画の演技から逸脱した大根臭さで、はっきりいって大人の学芸会である。
……今日もう一度確かめるためにもう一度見る。
『フロントランナー』
実話ベースの政治家のスキャンダルの映画で1988年のアメリカ大統領選挙において最有力候補(Front runner)だっあゲイリー・ハートが不倫をマイアミ・ヘラルド紙にすっぱ抜かれてさあ大変、という感じ。
まさしく男の失脚とパパラッチのようなマスコミ報道との戦いを描いていて見応えある。選挙キャンペーン中でありながら対立候補との戦いよりもマスコミとの戦いだね、これ。
ただ、肝心の不倫のシーンはゲイリーとドナが一緒にいた状況という程度で薄いが、見る側もゲイリーの不倫を追いかけるマスコミ側の視点でそこは見る。プラス、それ以前の行け行けどんどんの宣伝戦略なんかはいかにも80年代後半のブッシュ政権以前のレーガン政権末期の雰囲気は感じられる。
男の失脚というわりには絶望感はマイルドかな。
『十二人の死にたい子どもたち』(二回目)②
前半の議論や会話がぎこちないのはある意味人生経験が浅いハイティーンらしいとも自殺志願の少年少女のうっくつ&鬱性質のあらわれとも見える。加えて、舞台となった新しめの廃病院というのがまたどこか無機質なものを思わせる演出になっている。
過去の『十二人の怒れる男たち』の系譜の作品との最大の違いは、決によって決まるのが自分の生き/死ににあるので、さすがに必死である。が、比較的死にたがる女子勢のそれは、過去の同系列の作品の早く議論を終わらせたがる大人たちにもダブってくる。
参加者の中には病魔で死が迫っている者もいて、そこはほんのり黒澤明の『生きる』をチラリと感じられるものがある。
そしてこの映画の最大の演出は『十二人の怒れる男たち』に日本の現代のハイティーン気質を被せたことにある。ルックスもそうだが気質にもどこか現代的なものが感じられる。
『十二人の死にたい子どもたち』(二回目)
見れば見るほど『十二人の怒れる男たち』のオマージュ作品であることがわかる。
プラス、ゼロ番案件等解決しなければならない問題もいくつかあり、ミステリー要素が加わった好アレンジ。
前半の会話のぎこちなさはまるでシュミレーションゲームやRPGのような機械的なものを感じたが徐々に炎が燃え広がるように各キャラクターがヒートアップし、どこか人間らしささえ感じるようにもなる。
要の面白さは『十二人の怒れる男たち』に乗っ取りオセロの黒が徐々にペラペラとめくり上がるようになるそれと同じ。ズルいぐらい『十二人の怒れる男たち』と同じで、そりゃあ面白く、否定しようがない。
原作の小説がいいのか、1957年版の『十二人の怒れる男たち』、1991年の『12人の優しい日本人』、ロシアリメイクの『12』と比べて12人の個性が最も際立っている。
エンドロールの異様に明るい曲がよりカタルシスを増幅させ、見終わった後爽快になる。
2018年版『サスペリア』
ここまで酷いリメイクも記憶にないぐらいの改悪。
大筋のアメリカのバレリーナのスージーがドイツのバレエの名門学校にバレエ留学をするという点だけ同じで、あとは大胆な改変。
なによりも、冒頭のパット(この映画ではパトリシア)の惨殺シーンや有名なウジ虫のシーンがなく、盲目のピアニストも義歯の下男、マダム・ブランクの甥っ子の少年もいないし、男女共学だったのが女子校に、白人オンリーだったキャストも黒人が混ざったり、まあ色々といじっている。
学校内の装飾も鏡張りの部屋が多くなっただけで、オリジナル『サスペリア』特有の赤い部屋がない。あと校長室のアイリスもない。
主人公スージーがバレエで倒れるシーンはあるが血を流してなく、医者の診察や以降赤ワインを飲むシーンもカット。
その上、1977年の西ドイツを席巻していたドイツ関口台のハイジャックやバーダー/マインホフの親衛隊による暴動をいれ時代にリアリティーを持たせているが、さらにミステリアスさと魔力が薄れている。
本来の魅力を削ぎ、余計なリアリティーを入れ、これ以上ないオリジナルのレイプ。
ここまで酷いのもなかなかない。
『翔んで埼玉』2月22日公開
試写見た。
すんごい面白かった!!
何よりも漫画「翔んで埼玉」を見事にアレンジし、戦国合戦風にしている。
映画『テルマエ・ロマエ』二部作を手掛けた監督だけあり、GACKTと二階堂ふみを中心に見事に異世界の「翔んで埼玉」を作り上げた! 考えてみれば、「翔んで埼玉」のdis感覚は『テルマエ・ロマエ』に通じ、堂々とした埼玉差別・disと埼玉と千葉の小競り合いが面白い。
埼玉県民で千葉県の高校に通い、東京で働いているボクには頭からラストまでよく分かる埼玉&千葉の小ネタ満載! 冒頭からNACK5でさいたまんぞうの曲を聴いているし、草加せんべいを使ったネタはお見事。
クライマックスの流山での決戦方法がこれまた面白い埼玉県対千葉県。
風景の感じもかなり的を射た描き方で、熊谷、所沢、春日部、野田や常磐線の中とかも野菜・魚介類の行商
の籠だらけで実に痒いところに手が届いている。
そしてGACKT、二階堂ふみ、中尾彬、伊勢谷友介、京本政樹、竹中直人、ブラザートム、麻生久美子、武田久美子などイメージぴったりの起用。
見事なり!
『フルメタル・ジャケット』の感想です。
確か二十歳くらいの時に鑑賞。
当時見たときは、隠れた名作という印象だったけど、例の鬼軍曹の罵倒シーンが有名になり、誰もが知るところに…。
お前はシーツのシミから生まれた・・・のくだりは、笑ったなぁ。
テーマを先鋭化させることで、戦争の本質をえぐり出す、キューブリックならではの視点。
名作は、時の流れに沈んでしまうのではなく、浮かび上がるものなんだなぁと改めて思います。
必見です。
https://eigakansou.life/%e3%83%95%e3%83%ab%e3%83%a1%e3%82%bf%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88/