『ラ・ヨローナ ~泣く女~』5月10日(金)公開②
旦那が仕事で出ずっぱりの実質2児のシングルマザーが主人公という設定がかなり生きている。主人公アンナはソーシャルワーカーの仕事の中でも幼児虐待疑いがある家を訪問するソーシャルワーカーで、最初はその相手先の子供2人が女悪霊の標的にされ、後になぜかアンナの2人の子供→アンナを交えて母子3人が襲われる。
この襲われる場所が屋内・屋外問わずで、狭い車の中や病院の廊下、自宅の庭、室内のカーテンごしなどエニウェアで襲いかかる。この辺りは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の脚本を担当したゲイリー・ドーベルマンが製作に関わっているだけのことはある。
その『IT~』との共通点もいくつかある。まず、女悪霊ラ・ヨローナの子供への誘き寄せ方が上手い。もう一つ、後半で見られる子供の勇気も通じるものがある。
あとこれは偶然だろうが、恐怖を増長させる演出で「8時だヨ!全員集合」での探検コントの時の「志村ー、うしろー」的な子供のショットが随所で見られる。「うしろー」はドリフだけでなく万国共通なんだね。
『ラ・ヨローナ ~泣く女~』5月10日(金)公開
『SAW』、『インシディアス』、『死霊館』シリーズのジェームズ・ワンのプロデュース。
これが無茶苦茶怖い。
怖いシーンのわんこそば状態。
17世紀半ばにメキシコで起きた惨劇が70年代のロサンゼルスで再現されてしまう。
「ラ・ヨローナ」はスペイン語で「泣く女」を意味するらしく、呪われた相手は昼夜問わずこの女悪霊に襲われる。
とにかく怖いものを見せるツボを心得ており、カメラアングル、小道具、SE、音響をフル活用し、一瞬の静寂の後、確実な恐怖が襲ってくる。この静寂、一瞬の間合いが絶妙で、見る側も身構えて恐怖を体験出来る。
この映画の素晴らしさはラ・ヨローナのメキシコの民俗学みたいな所から引っ張り、後半はその対抗として胡散臭げな呪術を用いる。そこは『エクソシスト』的なクラシカルさと、メキシカンテイストが見事に決まっている。