ダンケルク(注意:全文ネタバレです)
自分には音と主題にどっと疲れた映画でした・・・「英雄」とは誰のことか。自分の命の危険を顧みず仲間を助ける者。その反対は、仲間を犠牲にしてでも自分だけは助かろうとした者。この二者の対比が主題なのだろう。だからドイツ軍の人物描写はあえて無し。そしてノーランの一貫したテーマである「嘘」も(書籍「クリストファー・ノーランの嘘」による)、生き残る為の嘘(身分の擬装)と、人を罪悪感から救う為の気づかいの嘘、頭を打ち付けて亡くなった若者を英雄として新聞記事にしてもらう嘘など、二者における嘘の違いが明白に描かれていた。フランス兵はこの二者の中間的存在か。映画のラストで、燃料切れを省みず味方を救い、脱出もせずに飛行機を敵地に着陸させたトム・ハーディーから、「クソ(非英雄的行為)」をガマンしきれずフランス兵を死なせて生き残り、罪悪感にまみれた帰還兵への切り返しショットが、ダンケルク撤退戦の真実を象徴する・・・。
ネオンデーモン(ネタバレ解題)
前作と同様に難解ですね・・・ロリコンのディーンはジェシーを見いだすも業界人の前で純朴さを露呈して敗北する。キアヌ・リーブスはジェシーの美に関心がない殺人鬼。ジェシーは権力者のカメラマンに気にいられて金箔を塗られた美の女神(ビーナス)として誕生するが、トントン拍子のモデルデビューが自信と共にナルシシズムの悪魔を生み、ジェシーの善良な内面(隣室の少女)はキアヌに殺され、さらに神話のナルシスが自分に見とれて水面に落ちたようにプールの底に落とされて死ぬ。その後三人の女達はジェシーの「美」を食べるが、死体愛好家でレズのルビーは満月の夜に月経(もしくは出産)時のような血を大量に出して喜びと共に恐らく死んだ。整形美人のジジは偽りの美がジェシーの真なる美に打ち勝てずジェシーの目をはき出して腹を刺して死ぬ。ただし、鏡を打ち割ってナルシシズム的自己を殺していたサラだけは、ジェシーがサラから仕事を奪いとったように自分もライバルから仕事を奪い取れるだけの美を手に入れていた。さらにジジが耐えられずはき出したジェシーの目も食べて完全なビーナスになった・・・というところでしょうか?
メッセージ⑧(ネタバレ)
これまで見てきたとおりUFOはカラの映画館の隠喩だ。そのUFOが縦から横になり、また縦になって消える。映画館で縦のものが横になり、また縦になるのは「跳ね上げ式の座席」。このUFOの動きも始まりと終わりを示しているのだろう。だがこの巨大シートに座っていた観客は一体誰なのか?ヘプタポッドか?それとも神だろうか?ルイーズの覚醒に際して神が顕現して成り行きを見届けて去って行ったということか。まるで『2001年宇宙の旅』でモノリスが猿の進化やスターチャイルドの誕生に立ち会ったように。(見ての通り『メッセージ』は『2001年』からオレンジの防護服やモノリスの矩形、そしてスターチャイルドを赤ん坊のハンナ等で借用している) https://eigadon.net/media/rA8mr4ZHVDUA7q3QA_c
上半期ハゲ映画、他も並べるといつもの皆さんが出てました。😀
スプリット J・マカヴォイ
ローガン パトリック・スチュワート
メッセージ フォレスト・ウィテカー
トリプルX再起動 V・ディーゼル
ワイスピ8 ドウェイン・ジョンソン
バーニング・オーシャン ジョン・マルコヴィッチ
キングコング サミュエル・L・ジャクソン https://eigadon.net/media/cG_yGUhUGT6hDUIRFMs
@meesuke これはどうも😅
OK,上半期ハゲ映画ベスト3
1 ラ・ラ・ランド JKシモンズ
2 パトリオット・デイ JKシモンズ
3 ザ・コンサルタント JKシモンズ
…朝からどうでもいいことを思いついちまったな。😅 https://eigadon.net/media/dLjF125IgOzimaDtC5A
メッセージ⑦(ネタバレ)
小説にはこれらの矛盾が無い。なぜならシャン将軍や軍事的危機は映画だけの後付のストーリーで、小説のヘプタポッドはただ単に言語を教え終わったらあっさり帰ってしまうし、映画のような軍事衝突も無くて、ルイーズが危機を救うような劇的な場面はないのだ。これらの映画の娯楽性のために観客が納得するような分かりやすい理由付けやクライマックスが、かえって「あだ」になったようだ。
最後に難癖もつけたけど『メッセージ』は映画について考えるという楽しみをタップリ味合わせてくれる名作だと思う。この映画自体がヘプタポッドの丸い文字であり、数週間その解読に多少なりともチャレンジしてみた。もし一つの映画を何度も見て受け入れるように自分の人生を受け入れるならば、じたばたせずに生きていけるのかもしれない・・・。
メッセージ⑥(ネタバレ)
まだ初見時の疑問点が残っている。ルイーズがシャン将軍に電話番号や妻の遺言を教えて貰うとき、ルイーズが何がなんだか分からないわ?という顔していたのが気になった。もうこの時点で人生全体の記憶を持っているのだから「この時が来るのを待ってました」という態度で迎えるべきなのだ。原作の小説の場合、覚醒後のルイーズがウェバー大佐と会話する場面で「そっちは即興でも、こっちはもう何度もリハーサル済みなのよ」とつぶやく描写があるので、映画での戸惑いの表情は論理的に間違ってると分かる。(この演出はこの時点で良くわかっていない観客のためのやむを得ない処置なのだろう)
もう一つ大きな矛楯がある。娘が死ぬ未来を知ったルイーズはそれでも結婚して娘を生む覚悟をするのに、未来を見通せるヘプタポッドが3000年後の未来に人類に助けて貰うために来たというのはおかしい。ヘプタポッドは運命を受け入れる覚悟をしていないことになる。ルイーズも軍事衝突を回避する努力はしても、娘の死を回避することはしないという矛盾がある。⑦へ