未公開DVDスルー『バレー・オブ・バイオレンス』
ブラムハウス・プロダクション×タイ・ウェストの低予算西部劇。『サクラメント』にもちょっと感じられたタイの西部劇素養から考えれば自然な着地点と言えるジャンルかも…。
ドル三部作を意識したという監督の語りに反して内容は『許されざる者』(1992)的善悪反転地味西部劇路線。イーサン・ホークとトラボルタのキャラクターなんかあからさまな立場逆転のための性格と役職付けになってる。
タイ監督要素は随所にあり、イーサンの回想をPOV風に見せたり、西部劇アイコンの一つで撃たれた相手の落下スタントをホラー演出として見せてるところが楽しい。ホテルの各部屋の見せ方や姉妹のやり取りには出世作『The house of the devil』や『インキーパーズ』で見せた空間ごとの見せ方の引き出しの多さが発揮されてて見事。
ただ地味な内容にツイストを利かせ過ぎててサービス不足なのが難点。勧善懲悪が望めないストーリーとはいえもう少し銃撃戦のカタルシスは欲しい。愛犬要素が作品の個性になるまであと一歩止まりなのもなあ…。
『ReLIFE リライフ』。平祐奈と池田エライザのパートは古澤健作品なら「もう一声!」と言いたくなるもどかしさに満ちてて勿体無さMAX。
恥ずかしさ全開のモノローグやダサさ丸出しの横移動スローモーションや画面分割は、もっとクドく徹底してやれば独自の世界観が生まれたろうに後半はすっかり無くなって中途半端な印象。
文化祭や夏祭りの描写のしょっぱさも辛い。ここら辺は廣木隆一の『PとJK』の充実した描写を知ってる自分の期待値の高さも原因だと思うが。
もともと中川大志扮する海崎新太が全然ダメ人間じゃないキャラクターのつまらなさと、終盤のドラマの転調があまり映像的に映えない原作に起因した問題点が今一つ改善されてない脚色も残念。
覗き見反復とか色彩設計(階段や壁&扉の赤の強調!)など魅力的な細部もたくさん見受けられて実に惜しい…。
シネフィル