アクアマン
伝統的な英雄譚がちりばめられたシナリオ、ドルフラングレンやウィリアムデフォー、ニコール・キッドマンなど豪華俳優陣を揃え製作側の気合いも十分で最後まで楽しめるお話でした。今回敵役になった異父兄弟もギトギトの悪役ではなく剣を交えて頼もしい味方になってくれそうな品の良さがある。最後の裁き方も伝統にならっていて好みである。立ち位置的にマーベルのマイティ・ソーの弟ロキだな。血統継承のお話は時代劇よろしく最後は大衆がひれ伏すお約束があって本作も例にもれずその類の場面がある。とかく日本人好みな映画といっていい。キーアイテムの愛矛を手にカナリアカラーの正装になって気づく。ジャスティスリーグの時は完全体じゃなかったのねと。どうも北欧のタフな漁師のおっさんにしか見えてなかったので今回の深堀り話で出自といい、すごさがよくわかりましたよ。次作へのフリでブラックマンタを臭わしてますが、奴が暴れる話では因縁から灯台守の親父さんに死亡フラグが立ちそうに思うのは深読みしすぎか。なんか遠山の金さんや水戸黄門と変わらない感想になったか。それほど英雄譚の第1章としては基本踏襲ということなんでしょう。
ファースト・マン
鑑賞してからしばらく間を空けてみました。2D字幕で見たんだけど後で後悔。ロケット、テスト機、飛行シーンはまさに体感できるので深く味わいたい気持ちが強くなる。IMAX4DXって入ったことないけど、それで鑑賞したいな。機体の軋む鈍い音とかあのローテク時代を思うとそれだけで怖い。物語はやっぱりチャゼル監督の味が出てて当時の偉大な業績を礼賛するのではなく、その裏をしっかり描いていて納得。目指すものに向かって努力する姿なんかなく淡々と手順通りにオペして宇宙に飛んでいくのが、逆にアストロノーツのリアルな気にさせるのもいい。理系なんだな。感情の振れがあまりでてこない。だって人類から選ばれたエリートなんだから当たり前に努力してんだもんね。そのへんは宇宙兄弟辺りで予備知識仕入れていた影響もあるかも。月面を伝えるのに無音というのも納得。後で思うとリズムや音、間のとり方も全編月面を表現してたのかも。
7つの会議
池井戸潤の企業小説はサラリーマンの琴線にふれるテイストが特長で、どの作品も読後は明日もがんばろうという気持ちにさせる。さて本作はその池井戸原作の映画であるが、オーバーでクセの強い演技は演じる俳優だけでなく受け手の俳優にも影響していく。浮き上がりを押さえつけようと必死になって演じあうから、いつの間にか舞台劇のようになっていく。結局、企業の不正隠しの謎解きなんて最後までどうでも良い話でただただ企業の異端児の演技に失笑する。サラリーマンの生き様はあんなものではないだろうと観客に思われたら池井戸潤原作の物語は輝きを失う。どんなに現実にぶつかるラストであっても必ず明日もがんばるぞと思わせる心に響くセリフがあったりしたものだが、今回はそんなものはなし。及川ミッチーの演技テンションが一番まともな気にさせた。TVとは違い映画は興行のため主人公はある程度話題づくりできる俳優でなければならず、足を運んで鑑賞してもらう必要がある。だがその点が逆に本作をかなりしんどい出来にしてしまったと感じた。
ミスター・ガラス
実社会にスーパーヒーローとヴィランが実在したらという話をとてもリアルに描いていて、DCやマーベルのヒーロー映画より鑑賞後の後味が深く考えさせられて心に残る。残念なのは本作だけを見た人はたぶん何の話か最後までよくわからない気がするところか。アンブレイカブル、スプリットの2作を観て臨むべし。最低でもアンブレイカブルは観ておくべきか。ダークナイトにでてくる悪と善の存在はお互いを必要としているというテーマに本作は一つの回答を返している。上映館がマイナーな扱いなのも不満。マカヴォイの怪演は見事だし派手なアクションはないけどシャマラン監督の繋がりなさげな3部作を通しでみたいと改めて思った。
クリード2 炎の宿敵
スタローンの構築した黄金のワンパターンシナリオは世代が変わろうと不変なのを確かめに行ってきました。すごいですね、今作では闘う理由もパッケージ化されたようにスッキリして対決に向けて一直線です。増長・挫折・復活・訓練・再戦・勝利とプロット皿がちゃんと並んででてきます。前作もそうでしたがクリード役のマイケルBジョーダンは線が細くて迫力不足。なんで丸太の腕のドラコに勝てるか不思議です。クライマックスでかかるお馴染みのあのテーマは毎度胸を熱くしますが、今回はロッキーの「お前らの時代だ」というセリフが本当のシリーズ最後を感じさせます。実生活でスタローンと離婚したブリジットニールセンが最低なドラコの妻女役を再演してるのは笑った。ロッキー4見て行くのが正解。
ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生
シリーズ2作目でいよいよ本題に入っていく立ち上げの章。登場人物の紹介は前作で今回はその配置を定める話。原作者のJKローリングも何を書いてもアレになっちゃう作家なんだろうと感じさせるのは映画見てると至るところでハリー・ポッターに繋がっていく名前とかポロポロ出てくる。あんまりハマってなかった人にとって少しストレス。ただこのシリーズ、ハリーの反省をしっかりやって作ってる。当初のワクワクが薄れ物語終盤は陰鬱で暗く長い作品になったハリー・ポッターに対して、今回動物を出すことでコミカルなシーンを織り交ぜており光と闇の対決だけになってない点と、主役のニュートが通りすがりの魔法使いってキャラなことかな。主役が運命背負った人より流れ者の方がシリーズ化で処理するのはやりやすかろう。物語を無理矢理完結させなくても旅に出しちゃえばいいしね。俳優さんのエディもイケメン好青年だし安定感ある万人向けな映画といえますな。エズラミラーがまた出てるけど個人的には映画フラッシュでヒーロー早くやって欲しい。