7つの会議
池井戸潤の企業小説はサラリーマンの琴線にふれるテイストが特長で、どの作品も読後は明日もがんばろうという気持ちにさせる。さて本作はその池井戸原作の映画であるが、オーバーでクセの強い演技は演じる俳優だけでなく受け手の俳優にも影響していく。浮き上がりを押さえつけようと必死になって演じあうから、いつの間にか舞台劇のようになっていく。結局、企業の不正隠しの謎解きなんて最後までどうでも良い話でただただ企業の異端児の演技に失笑する。サラリーマンの生き様はあんなものではないだろうと観客に思われたら池井戸潤原作の物語は輝きを失う。どんなに現実にぶつかるラストであっても必ず明日もがんばるぞと思わせる心に響くセリフがあったりしたものだが、今回はそんなものはなし。及川ミッチーの演技テンションが一番まともな気にさせた。TVとは違い映画は興行のため主人公はある程度話題づくりできる俳優でなければならず、足を運んで鑑賞してもらう必要がある。だがその点が逆に本作をかなりしんどい出来にしてしまったと感じた。