Dude (Tamil/2025)をNTFLXで。 

Love Today (2022)、Dada (2023)あたりの系譜に連なるリアル若者映画のパロディー的なもの。従兄妹で幼馴染の二人、従妹の方から大胆な求愛をするが、従兄の方は恋愛感情ゼロと言い拒絶する。しばらくして従兄は埋もれていた愛に気づき再びアプローチする。その時彼女には別の恋人ができていた。すれ違いで相思相愛の相手を逃すという点で「デーヴダース」、愛する相手の自分以外の男との恋路を応援するという点で「シラノ・ド・ベルジュラック」。プラディープはLove Todayで見てたけど、これほどに身体能力が高いとは知らず、冒頭の結婚式シーンで目を見張った。どう見ても南インドの基準でもイケメンではない相貌だが、表情の多彩さがそれを忘れさせる。ダヌシュとの差別化は言語化が難しいが、成功しているように思える。ストーリー展開のテンポもいいし、腹を抱えて笑うところがあった。サプライズ・セレブレーションの仕掛人という職業のフワフワ加減と、血も凍るカースト主義者の伯父というコントラストがすさまじい。マミタ・バイジュも上り調子のヒロインとして認識した。

Kaantha (Tamil/2025)をNTFLXで。 

英語字幕がよくない、ところどころ抜けていて、また意味がよく分からないところもあった。1950年代のマドラスの映画界が舞台。孤児から身を起してスーパースターになったTKM。彼の恩師であり、数年前からの確執で今は絶縁しているアイヤと呼ばれる監督、アイヤが見つけ出し才能を開花させようとしている元ビルマ引き揚げ者の若い女優。プロデューサーの懇請でこの3者がホラー映画を作ることになるが、撮影現場は異様な雰囲気、しかし女優とTKMは惹かれ合い、密会を重ねる。重厚でレトロな雰囲気がよい。DQの演技は絶賛されているが、タミル初のホラー映画の内実がもっとはっきり示されればさらに感動できたと思う。実在映画人のモデル問題は完全にフィクションと分かる。過去のスターたちの逸話から満遍なく拾ってきている。製作者は明らかにMahanatiにインスパイアされているが、劇終の謝辞には同作の製作陣の名前はない。推理ドラマとしてはグダグダで、そもそもあのテープがなぜ録音されたのかが分からない。ラーナーが演じる警察官は、後半のリフレッシャーだが、造形に説得力が足りない。

8 Vasantalu (Telugu/2025)をNTFLXで。 

The Girlfriendと並び本年のテルグの女性映画と紹介されていたので。しかしこれは同類ではない。主な舞台はウーティー。ウーティーを舞台にした多くの作品と同じく、きらきらビジュアルに盛んなポエムの引用。この感じなんだったっけと頭の中が痒くなったが、ずばりそれだというのは思い出せず。Andala RakshasiやHi! Nannaが近いか。ヒロインのシュッディが17歳にして極東武術の達人かつ作家というのがもうぶっ飛びすぎてる。毎日鍛錬している様子もなく、作家としてカシミールなどの景勝地を巡って贅沢三昧。それでも異性にはいたって簡単に心を明け渡す初心さをもつ。しかし初恋が裏切られたときに、「お前を殴り倒したいが、そうしない。なぜなら母は私を女王として育てた。女王は葬儀においてさえ尊厳を持って悲しむ」という中盤がクライマックスか。これは作中で言及される作家チャラムの影響があるようだ。武術(礼のしかたなどにニセモノ感あり)といい、友人役が日本の製靴会社に就職するところといい、日本の影がある。すごいアクションシーンがある。

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