国宝鑑賞。 

なんかもうちょっといろんな意味でドロドロするかと思ったのだけれど、それは『昭和元禄落語心中』でしたね。ちょっといさかいもあったりするけど、二人が爽やかすぎて。なんかもう、顔面が眩しいほどに爽やか。引きずられてるわけでもなかろうが、二人の関係も結果としては爽やか。
血筋に対する羨望や家を継ぐことや才能に対する嫉妬、例え本気で怒っていてもお互いのことなら茶化して矛を収められるのに、アキコちゃん(だっけ?)みたいな他の人のことなら本気で怒れてしまう。そこに私の求めるドロドロとの乖離?限界?を感じる。
それでもやっぱり、同じ演目を前半と後半の二通りの目線を感じられたり、本来歌舞伎ってあんなに顔に寄って見ることはできないので(ここでも顔面の爽やかさが効いてくるし)映画として観ることの醍醐味もあったりで、豪華な体験だった。

JUNK WORLD鑑賞。 

あいかわらずすごかったー。内容的には過去編だけど、前作より時間的にも世界的にもスケールが大きくなって、人手と技術の増加を感じる。
ロビンかわいい。喋り方が神様モードになるのもかわいいね。ずっとずっとずっとトリス様を守ってるのもかわいいね。保護モードを解除されてもなお守りたい存在。自分を送り出してくれる人だと知っているから、どんな形になっても守り続ける。ロボット?と人間?だけど、親愛の情が双方向なのがたまらない。
ダンテも渋かっこいい感じでたまらなかった。
字幕版で観たのだけれど、ところどころ微妙にわかって(ガッテンショー!)、思わず笑ってしまって悔しい。エビチリ⁈エビチリ‼︎エビチリの訴求力🤣

MaXXXine マキシーン鑑賞。続き。 

父親殺しまで含めた成功譚となればマキシーンの栄光には一生父親の影がついて回るわけで、独り立ちしても殺しても、いつまでも支配されてるのと同じかもしれないな、と。特段実力もない(と私は思ってるんだけど、実際どうなんだろう?)のに、時の人になることで成功する。それを「才能」と取ってしまうところがマキシーンの悲劇だったりするのかな。

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MaXXXine マキシーン鑑賞。 

一言でいえば、期待外れだった。
なんだろう、絶望してほしかったのかな、マキシーンに。そんな楽しみ方、性格悪すぎない?って自分に対して思うんだけど、そういうのがないと彼女の魅力っていまいち光らない気がする。あと、ナイトストーカー要素のかみ合わせがビミョー。年代を同じに設定しただけで関係ないといえばそれまでなんだけど、事件自体それほど寄せてるわけでもなく…。
支配的な親・親殺しという共通点でパールとマキシーンを見ているので、パールの母親と違ってマキシーンの父親は…と話がひっくり返るのが面白さなのかもしれない。ストーリー的な納得はいくけれど、あれだけドラマチックに盛り上げたにもかかわらず、そこにカタルシスを感じなかった。ただ、父親の丁寧なお膳立て&きちんと踏み台にするマキシーン、と考えると、ステージママ/パパの行きつく先にも思えたのは面白かった、かも。

We Live in Time この時を生きて鑑賞。続き。 

アルムートもトビアスもそれぞれ自分の考えがあっても折り合いをつけながら一つの家族を作り上げていく。自分の意志も大切だけど、それよりも大切にしたいと思える関係、思いやりってこういうことなんだろうなぁ。
トビアスとたぶん同じくらいの年齢というのもあって、(最近見たいろんなキツい作品よりももっと今の私の核心に迫る)キツい部分もあった。タイムリミットとか選択とか。弱っていく自分、「死んだ母親」になるのが嫌なのは、アルムートが命を燃やし尽くしても価値がある生活を送っている、成功している強い人だからだ、と思ってしまう。そういう拗ねた見方をする自分が汚ぇなーと思う。

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We Live in Time この時を生きて鑑賞。 

単なる難病ものだったらシラケて見ちゃうかもしれないところを、子供の存在やプロポーズの時期等の「答え」を知っている状態から、彼らの人生をタイムラインにあてはめていくことになる。読み解いていくような感覚があるので「悲しい物語」としてではなく楽しく見られた。アルムートはレズビアンかバイセクシャルだったようだし、二度目の病気発覚の後「異性愛を全力でやりぬく」のシーンがあったので、子供はいても結婚は必要としてないカップルだったのかな。彼女が子供を産むと決めた理由・彼がプロポーズをすると決めた理由/その内容は言葉にされたりしない。描かないってことは限定されないってことで、鑑賞者が自分の経験や感情に結び付けやすいんじゃないかなーという気がする。まぁ、それこそめちゃめちゃ異性愛規範な鑑賞者像だけど。

JUNK HEAD鑑賞。
独特のビジュアルと世界観、突然食われたりするハードな環境…の割にゆるゆるっとした見た目と良い感じの話で、もにゅもにゅした動きも気持ち悪くてかわいい。終盤のアツい展開もすごい。おまえらだったの?!って思わずつっこんでしまった部分が一番だけど、とにかくそこここで面白シーンがあって、こういうの、好き。
それにしても、だ。制作風景が最後に流れるんだけど、すげー!!!としか言いようがない。こういうの作る技術もそうだけど、根気もすごい。しかもほぼ一人!

テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ鑑賞。続き。 

詐欺師が骨董屋の主人で、酸素ボンベを下げた老人である彼が言う「古いものなんか誰も興味を持たない」は、きっとテルマにとっての真実だ。500ドルの恩情の理由は、ギリギリの仲間意識かもしれない。それでもなお、腐らずに人生をまっとうしようとする、一人で生きられる限りは一人で生きたい!というテルマの姿は、かっこいいし、応援したくなる。良い家族や友人がいるからあのテルマなのかもしれないし、あのテルマだから良い家族がいるのかもしれない。
私の大大大好きなコールソンさん(のクラーク・グレッグ)が出ていたのもとても良いですね☺️

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テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ鑑賞。 

ものすごく『ミッション・インポッシブル』シリーズだった。いろんな意味で。全然ゆっくりだし、最先端(超先端)なガジェットも出てこないけど、身近な電子機器とコネを駆使したオレオレ詐欺への復讐。やたらスリリングに盛り上げてくる音楽。コネといっても93歳だから、おおむねあっちに行ってるか、病気か、施設に入ってるかだ。盗んだバイク(スクーター)で走り出したら持ち主に追いつかれて旅の道連れにする。〇〇さんに似てるわ!とか言って話しかけに行っちゃう老人あるある。そういうものすべて、愛しくて面白かった。邦題には「やさしい」とあるけれど、リベンジってつまり、自立して生きたいという願い、できると証明しなきゃいけない、社会のお荷物ではいたくないという切実な感情で、「やさしい」と括るのはあまり上手くないような気もする。

リライト鑑賞。 

最初のパートはなかなか寒くてつらかったけど、そこさえ我慢すればちゃんと面白かった。のだけど、よく考えるとすげー怖い話だと思う。
みんなよりハードな現実を生きていて世界を少し恨んでいるトモエが、みんなが求める転校生を独り占めすることで世界に復讐する話だもの、これ。未来の自分から騙されていたことも教えられているからヤスヒコを含めて恨んでもおかしくないわけで、クラスのみんなから好かれているたった一人を、別に好きでもない(かはわかんないけど)のに、自分に依存させて未来に帰らないようにさせてしまう。そして学生時代に気づいていればおそらく救いになったであろうシゲルの好意も見落としたまま大人になっている。それぞれに今の生活に満足しているけれども、全然誰も救われていない。
誰への気持ちが一番大きいかといえば、ヤスヒコへの恋心よりも、作品を書けた(かつ、どうしても書いてもらわなければならないし、潰さなければならない)ミユキへの執着が大きい気がしてる。青春キラキララブストーリーよりも、青春ドロドロ愛憎劇の方が好みなので、私はこっちの解釈で行きます。

Pearl パール鑑賞。
『X エックス』の方が面白かったかも。
がんじがらめの生活から自由になりたい、スターになりたい。それは気の毒だし、結局母親の言う通りになってしまったのもさらにかわいそうではあるんだけど、パールがすごく子どもっぽくてうんざりしちゃった。恨み言長台詞を聞いてなお。遠くにある眩しい世界を垣間見ての憧れは、実のところ間近にある眩しい世界への妬みであって、そういうのってよくあると思うし、そのうえまあまあ自由にした結果が虐殺かぁ、ふーん、みたいな。それよりは、あれを見て添い遂げられる(事実添い遂げた)ハワードすげぇな…がデカい。そっちの心理の方が気になる。戦争帰りなのは関係あるのかな?とちょっと思ったりとか。

サブスタンス鑑賞。余談。 

↑に唯一笑ったと書いたけれど、エンドロールで監督のスペシャルサンクスにキャスト名に並んで、「血まみれになってくれたエキストラの皆さん」的なこと書いてあったのも笑った。
あと、レイ・リオッタの名前もあって、デニス・クエイドの役って、もともとレイ・リオッタのつもりだったのか…

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サブスタンス鑑賞。続き。 

誇張表現が強いほど受け取る嫌悪感も増すので、何を見ても「うわぁ」と引いてしまったが、唯一笑ったのはやっぱ最後のステージのシーン。『キャリー』みたいだと思った。得意の絶頂となるはずのシーンで血まみれになるって。そこで、怪物を作ったのはおまえらだよ!と言わんばかりの惨状になるのが小気味よかった。でももっとやっても良かったと思う。返り血で勝手に阿鼻叫喚なのは面白いけど、彼女が意図的に傷つけたのは自分だけって思うと悲しいが強まるんだよ…。
本当なら自分が自分のこと好きだったらそれで十分なのに、容姿が良くないとみんなから愛されなくなり、自分に価値がないと思い込むこと。彼女自身がモンスターになってしまったけれど、モンスターを生み出したのは彼女にそう思い込ませた社会の方だよなぁ。と、製作の意図は受け取れている(と思う)けれど、こんなまとめ方をすると、映像の強烈さ・ユニークさに似合わず、なんとなくよくある優等生っぽい小ぢんまりした感想に落ち着いてしまう、変なバランスの映画だった。

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サブスタンス鑑賞。 

観ている間はいろいろと気圧されてしまって、あまり頭が働かなかった。エアロビシーンがテレビCMくらいの長さで、それがずっと圧倒的明るさで描かれる。だから映画全体として、ずーっと通販のCMを見てる、しかもすごく強引な押し売りをされているみたいな感覚があって、そのうえどんどん情報を詰め込まれる。商品は若さ・美しさ・肉体!今すぐこれを手に入れろ!持ってないおまえは無価値!広告やCMってそういう強い情報(価値観)が見ようと思ってなくても入ってくるから、浴びていると疲弊する。
それに加えて、エリザベスの頃は少なくともエアロビの番組ではあったのに、スーの番組では彼女の体は胸・お尻・脚・顔などと切り取られて映し出される。バラバラにされて提供されると、そこにいるのが一人の人間であるという意識が薄れ、消費が加速する。

リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界鑑賞。続き。 

そしてあの写真。不意の一瞬をとらえたように見える一枚が、自分を、自分の作品の魅力を引き出すために、あの状況で最大限に作りこんでいく様子に、彼女の行動力や知性、センスにもしびれた。

そんなわけで映画自体も面白かったけど、『サブスタンス』と近い時期に見て良かったなーとも思う。(かつて)容姿に恵まれた女性が、その縛りからとっくに解放されて、それを武器にしないで生きていられる。同時に、容姿どうこうとは別の理由での悩みや苦しみが尽きないのも人生で…という控えめなビターさもたまらなく好み。

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リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界鑑賞。 

トップモデルだった時代がありながら写真家に転身、戦場写真家として云々という経歴を、去年『シビル・ウォー』を観た時に周辺情報として知った。そのリー・ミラーについてなので、とても興味があった。モデル時代や転身という部分はこの映画では描かれない。写真家として成功した(そして家庭人としては上手くいかなかったようにみえる)彼女を切り取った潔さ。戦時下のファッション誌として女性ならではの視線で撮られる写真、あるいはおそらく彼女が女性だからこそ心を許す被写体みたいな描写、そしてもちろん戦場カメラマンとしての仕事、あらゆる部分でとても惹きつけられた。
悲惨さを描く方法としてショッキングな画やセリフを見せればいいわけではないのだと、改めて認識した。映画では本来臭いって伝わらないのに言葉もなく鼻を覆ったり、シャッターを切る彼女を映した後は殺戮現場は見せずに写真が差し込まれたり。上品というと言葉が変だが、その抑えた演出でも十分残酷さが伝わってくる。鑑賞の体験として面白かった。

ノスフェラトゥ鑑賞。続き。 

その点で意地悪な見方をすると、トーマスやフレデリックみたいな"理性"の男社会から見ると、違うルールで生きている異国の男はモンスターだけれど、エレンにとっては昔馴染みで理解者なのでそんなに怪物でもなかったのかもしれない。つまり、妻の言葉に耳を貸さなかった男が自分で妻を昔の男に引き渡した上に、自宅のベッドで寝取られ死した二人を見せつけられるという、ホラーとは違う嫌さのある作品にも見えて、ちょっと面白い。

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ノスフェラトゥ鑑賞。 

元の『ノスフェラトゥ』は観てないんだけど、結構そのまんま『吸血鬼ドラキュラ』がベースなんだなー。船旅!禍々しくて良いー☺️(それはそうと、水を渡れない吸血鬼でもドイツだったら陸路で行けるのでは?)
今となってはエセ科学と呼ばれるものが最先端の科学だった時代の医療や女性の体・精神の見方とか、精神病院の"地下牢"とか。子どもっぽい空想や女性の自立心は抑えなければならない、閉じ込められなければならないもの。女性的・異教的なものは科学や理性に相手にされていない。そういう時代感とゴシックホラーな色合いは大好きなので観てて楽しくはあった。
ただ、結果としては病気(新型コロナを連想させる)にオカルトで対抗したフランツ教授大勝利ってどうなの?だし、エレンが自主性を持った責任を背負わされて死んだのを"愛"とか美談にされてめでたしめでたしに見えてしまって、今作る意味?今っぽさとの噛み合わせ?がうまくいっているかはよくわからない。

パディントン 消えた黄金郷の秘密鑑賞。 

巣立ちを寂しく思う物語。密入国した?パディントンがイギリス国民と認められたって考えると感慨深い。大好きなご家族を自分の故郷へ連れていく話。相変わらずかわいくてよくできてたなー。全体的にちょっとドタバタ感強くなって、空回りっぽさがなくはないけど。
絶対一回は女装入れてきて笑う。イギリス人(アントニオ・バンデラスは違うのだが)、女装好きだよね、知らんけど。あと1・2で警備員だったおじさんがCA役で出てくるのも笑った。オリヴィア・コールマンが存分に力を発揮…あまりにキャラが強くて引くくらい😅
しかしやっぱりサリー・ホーキンスの不在が寂しい。今回のお母さんがダメってことではないんだけど…。
どうでもいいけど、ドラゴンフルーツって中南米原産か。なんか勝手に東南アジアの方かと思ってた。あと遺跡。マチュピチュっぽいのはもちろんだが、エルドラドの入り口になってるところなんかは石の組み方が教科書で見たことある!クスコだ!ペルー!😊🐻😊と思った。子ども向けと侮ってたわけではないんだけど、勉強になりました。

X エックス鑑賞。
セックスとバイオレンス!セックスしてもしなくても景気良く死ぬ!血みどろホラー!なんだけど、なんだか悲しくなってしまう。なんだろう、このもやもやした気持ち。若者が田舎に行く系ホラーの盛り合わせ作品だから『クライモリ』も当然連想して、あれの何作目か忘れたけど、殺人鬼一家のセックスシーンがあったのを思い出した。あれはあれで絵面が汚くて嫌なんだけど、この老夫婦のセックスを笑いとかホラーとして受け取っちゃうってどうなんだろって、ちょっと思ったりもして。まぁ、そんなことはこの映画にとっては些末な点なのだけれど。とかいって、そこでモヤモヤしてるくせに、「心臓、そこでは大丈夫だったのに、ここではダメだったんだーw」って、笑っちゃった。ごめんな、じいさん。
ポルノが芸術かみたいな話を作中でしてたのもあって、湖の上からのショットとか美しくて、芸術点高いホラーって素敵。地味ガールが『ウェンズデー』のジェナ・オルテガだったのが嬉しい☺️

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映画ドン-映画ファン、映画業界で働く方の為の日本初のマストドンです。

映画好きの為のマストドン、それが「映画ドン」です! 好きな映画について思いを巡らす時間は、素敵な時間ですよね。