1917
これはすばらしい。
全編ワンカット、と宣伝していて、最初はそれを意識して見ていたが、そのうち話に没入して忘れてしまった。
カメラがぐるぐる回り込むので、「あー、そうだった」と思い出す程度。
別に宣伝のために長回ししたわけではなく、臨場感や、息詰まる感じを高めるのに実に効果的。
計算しつくされているのがよくわかる。
全体に彩度が抑えられていて、画面が茶色・黒・グレーで塗りつぶされている。かなりうんざりするのだが、夜のシーンを見たら、これも計算だろうなぁと思った。
廃墟となった街が、照明弾の中で浮かび上がる。そして炎に照らし出される建物とその影。禍々しく美しかった。
そして、女性の手の感触、赤ちゃんの柔らかい声と体、森の中で響く歌声等、後半、いろいろな官能に働きかけてくる演出も見事。とくに桜の花のエピソードと、川を流れる桜の花びらの響き合いがよかった。
完成度にはうなったが、好きかというと、戦争映画はやっぱりいまいちだ。これは完全に個人的な好みだけどね。
エンドレス 繰り返される悪夢
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07BVQSHZ3/
いやー、これはよくできてるわ。
すごい緊迫感で90分間目が話せない。
それにしても、反復地獄、きつい。
原題は「一日」。
韓国語で「ハル」。
登場人物の名前にもなっています。
邦題は説明調すぎてださいけど、ぶちこわしというほどではないかな。
神機箭(シンギジョン)
Amazon ビデオのウォッチリストにずいぶん溜まっているので、古いのから見るかーという理由で見たのがこれ。日本ではDVD発売されてないそうだ。
2008年の作品だから、古臭いのはしかたないかな、と思ったが、2008年といえば、Good, bad, weird ですわよ。それに比べると、うーん、ちょっとね、という感じ。
歴史アクション大作ということで、戦闘シーンの迫力などはなかなかだが、全体にすべて定石どおりで、たいくつ。
しかし、こんなすごい兵器が実用化されてたら、中原に覇を唱えて一大帝国を築いていたかもね。歴史的にそうなっていないので、内容としてはSFと言ってもいいかも。
風水師 王の運命を決めた男
チョ・スンウとチソンを使っておいて、実にもったいない。ペク・ユンシクの風格はさすがだが、その息子役のキム・ソンギュンは、粗暴であんまり頭がよくないお坊ちゃまの役で、もうひとつ凄みに欠けたのも惜しい。
あと、ムン・チェウォン。ぜんぜん色気がなくて、妓坊の主に見えない。
チソンが風水師役で出たドラマがあったが、あれは高麗時代の話だったのよね。もっと昔にもっていって、もっとファンタジックにしちゃえばよかったのにねぇ。
風水師 王の運命を決めた男
まったくファンタジーじゃなくて、よくある権力争いの映画。
ただ、「明堂(ミョンダン。特別なよい運命をもたらす土地)に自分の父祖を埋葬したら富貴を極めることができる」という世迷い言が真実である世界、という前提。
ふつう、その御利益は子々孫々じゃないかと思うのだが、「二代の天子を出す」という、なんか中途半端なもので、大院君が出てくるので、あー、彼が最終的にこの土地を手に入れるのね、というのは最初から見えている。
これねー、舞台が1860年代じゃなければ、まあまあおもしろかったかもしれない。欧米列強がアジアに迫ってきて、従来の華夷秩序の枠組みがゆらいでいる、まさに世界史の転換点で、権力者たちが迷信にとらわれて右往左往するわけよ。馬鹿じゃないの? そういうことだから国が滅びるんだろ、という感想しかない。
権力争いも、正当な王位継承者対奸臣という価値観に、主人公が自分の私怨を重ねるというありがちなもので、つまらん。李成桂だって高麗から見れば、王権を簒奪した奸臣だっつーの。
逆謀-反乱の時代
主人公の特異な行動様式というのは、めちゃくちゃ気が強く、思いこんだら命がけ、別の言い方をするとアホなのだが、いまの王に命を捧げている。「なんでここまで?」という疑問は劇中でも登場人物の口から語られるのだが、答えはない。
主演のチョン・ヘインは文句なしにかっこいい。やさしくおっとりした顔立ちなのだが、この乱暴者の主人公を見事に演じている。彼のファンであれば、必見。
逆謀-反乱の時代
Amazon Prime Video で。
恒例タイトルの話だが、これは原題そのまんま。「逆謀」というのは「ヨンモ」と読み、韓国語で謀反のことだが、日本語ではふつう使わないよね。しかし漢字なので意味がわかるし、なんとなく意味ありげに見える。いいじゃん、これで。
さて、映画の中身だが、主人公が超人的に強く、切られてもなかなか死なずに動き回り、そのアクションが見どころ。しかし、薄暗い中で黒っぽい服装をした同士の戦いなので、小さな画面ではなにがなんやらわからない。
それと、話が演劇的にセリフで説明されて進み、カットバックなどで人物像の説明とかはまったくないので、「なんでこうなってるの?」という観客の疑問は置き去りにされ、話がどんどん進む。
109分という比較的短い映画だし、ある一夜が時系列で描かれているので、この演出はわざとだよね。ここはもう、好みとしか言いようがない。でも、ほかの人物はともかく、主人公だけは、この特異な行動様式の説明はちっとほしかった。
(つづく)
おもしろいか? いい映画か? というと、どっちも違うんだけど、じゃあ見る価値ないかと言われると、それもちょっと違うような気がする。
なにをどうしたらこういう映画ができあがるのか、という興味は満たせますよw
シネコンのいちばん大きいスクリーンだったけど、お客は20人くらいでしたww
映画は劇場で見たい。韓国映画多めです。
http://yhlee.org/movies